「受付係の竜王」から10年 糸谷哲郎八段の哲学と将棋「人生とは」

 将棋の糸谷(いとだに)哲郎八段(35)は異色の棋士として知られる。竜王のタイトルを経験し、順位戦A級在位5期を誇る超トッププレーヤーでありながら、プロ入り後に大阪大文学部と同大院文学研究科で西洋哲学を学んだ経歴を持つ。8日、東京都渋谷区の将棋会館で指された第82期名人戦・B級1組順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)で羽生善治九段(53)戦に臨む直前、地元の大阪で「指す哲学者」と会った。

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 西

 

 

 姿2014

 当時、26歳の若き竜王になった直後の糸谷は関西棋士有志のグループ「西遊棋」で開催したイベントで受付係を買って出た。ファンと交流しながら、名簿の名前を確認しつつ会場に招き入れていく様子に周囲は驚いていたが、糸谷はずっと続けてきたことを肩書によって変えることを良しとしなかった。

 単刀直入な言動を好む一方で、人一倍の謙虚さと旺盛なサービス精神を持つ。

 糸谷は言う。

 「棋士は『先生』と呼ばれた…

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この記事を書いた人
北野新太
文化部|囲碁将棋担当

囲碁将棋