トップ 特集 テーマで行く旅 海外旅行 国内旅行 特選 海外出張 海外検索

愛の旅人

「吹雪物語」「日本文化私観」
»〈ふたり〉へ坂口安吾と矢田津世子―京都・伏見、秋田・五城目

 駅を降りて大きな鳥居をくぐると、ぽつぽつ雨が落ちてきた。まだ午後4時過ぎというのに、京都・伏見稲荷大社の境内はうす暗く沈んでいる。

写真

伏見稲荷大社の千本鳥居。鳥居の列が果てしなく続き、異次元へ迷い込んだような感覚にとらわれる=京都市伏見区で

写真

さまざまな願いが記された神石が奉納される=京都市右京区の車折神社で

写真

大本教本部には戦前の弾圧で破壊された石像が残されている=京都府亀岡市で

相関図

  

写真

  


 殿
 122稿
 
 宿85
 
 宿70
 26稿
 6
 30宿31
 14稿
 


 3015
 稿30
♪  ♪  ♪

 「手紙はやっぱりいけない。会って下さい。僕は色々話さなければならないやうな気がします。(中略)思っていることを、うまく書くことができません。会って下さい。そして話しませう」。400字詰め原稿用紙のます目通り、丁寧な万年筆の筆跡とうらはらに、切迫した息づかいを感じさせる。日付は1936年3月16日。住んでいた東京・本郷の菊富士ホテルからだ。

 津世子と知り合って4年、同人誌の仲間として、プラトニックな恋人として、ふたりは互いの家に出入りする仲だった。安吾は翌日のデートに備え、話す内容を予行演習したという。そのうち、彼女に年上のパトロンのような男がいることを知り、絶望する。この手紙の3カ月後、「僕の存在を、今僕の書いている仕事の中だけ見てください。僕の肉体は貴方の前ではもう殺そうと思っています」という手紙を出して、つらい恋愛に自ら終止符を打つ。京都に行くのはその半年後だ。

 安吾は京都を彷徨(ほうこう)する。

 「社殿の前に柵をめぐらした場所があって、この中に円みを帯びた数万の小石が山を成している。自分の欲しい金額と姓名生年月日などを小石に書いて、ここへ納め、願をかけるのだそうである」(「日本文化私観」)と安吾が書いた車折(くるまざき)神社は京都市街の西、嵐山の手前にある。「一管のペンに一生を託してともすれば崩れがちな自信と戦っている身には、気持ちのいい石ではなかった」

 境内の様子は現在もさして変わらない。社殿の前にやはり丸い小石が積まれ、「祈願 年商1000万円目標達成」「年商1億 年収3000万になりますように」といった字が読み取れる。特別祈願のご案内という案内板には、商売繁盛や家内安全のほかに金運上昇、債権回収などの項目もあった。

♪  ♪  ♪

 112182
 殿殿1
 寿57殿70姿
 78 
 7
 
文・牧村健一郎 写真・荒元忠彦
(01/20)
︿

 39315511
 936


ここからツアー検索です

ツアー検索

情報提供元 BBI
ツアー検索終わり ここから広告です
広告終わり

特集記事

中国特集へ
∧このページのトップに戻る
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。 Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.