10歳少女、女性器切除で死亡 父は「文化」と主張 ソマリア

Members of African Gay and Lesbian communities demonstrate against female genital mutilation, 23 January 2007 at the Nairobi World Social Forum venue in Kasarani, Nairobi.

画像提供, AFP

アフリカ東部ソマリアで伝統的な女性器切除(FGM)処置を受けさせられた10歳少女が17日、出血多量で死亡したものの、父親は国の伝統文化だと正当性を主張した。

ダヒール・ヌル氏の娘は、伝統的な切除師のもとで処置を受けた2日後に死亡した。

ヌル氏は22日放送の米ラジオ局「ボイス・オブ・アメリカ(VoA)」に対して、危険は承知の上で「地元の人たちは(女性器切除に)納得している」と述べ、国の「文化」の一部だと付け足した。

ユニセフ(国連児童基金)によると、ソマリアでは98%の女性と少女が、女性器切除を経験している。

ソマリアでは憲法上、女性器切除は禁止されているものの、非合法にはなっていない。女性の外性器の一部もしくは全てを切除したり切除したりする。医療上の必要がないこの処置は、女性に深刻な健康被害をもたらす危険がある。

ソマリア中部ドゥサマレブのハナノ病院では、アブディラフマン・オマール・ハッサン院長がVoAに対して、「あのように切り刻まれた人を見たことがない」と話した。ハッサン院長は、少女を助けようとした医師団の1人だった。

ハッサン医師によると、少女は出血多量のほか、破傷風にも感染していた。性器切除に殺菌されていない道具が使われた可能性が高いという。

しかし、父親のヌル氏は、娘が死んだのは誰の責任でもなく、誰を訴えるつもりもないと話した。

ソマリアのガルカヨ平和開発教育センター(GECPD)のハワ・アデン・モハメド所長は、たとえ父親が訴えたとしても、ほとんど何の意味もないだろうと話す。

「切除処置を施した女性は逮捕されていない。仮に逮捕されたとしても、確実な処罰を保証する法律がない」とモハメド氏はロイター通信に話した。「ソマリア全土で毎日のように起きていることの一例に過ぎない」。

ソマリアで女性器切除を刑法違反にしようとする動きはあるものの、宗教上必要だと信じる有権者の反発を避けたい政界が立法を先延ばしにしている。処置を受けていない少女は、周囲から嘲笑されることもあるという。