USエアウェイズ1549便の不時着水で﹁機長すげー!﹂と思った人も、このシミュレーションはまだ見てないんじゃ?
米連邦航空局︵FAA︶が回収したボイスレコーディングに残っていた操縦士と管制官の生の交信記録の声を、各時間ごとの機体の位置に忠実に重ねて再現したシミュレーションです︵追‥実際の機体はボーイング737ではなくAirbus 320︶。文章で分かったつもりになっていた機長の0コンマ何秒の判断力、鋼の肝力に改めて圧倒されます。
カクタス1549︵1549便のコードネーム︶のチェスリー・B.・サレンバーガー機長︵57︶はバットマン、アイアンマン、Admiral Adama全部束にしたよりまだカッコいい!!! 1980年まで元空軍戦闘機パイロットだった人だし、安全対策の専門家で、グライダーも操縦するんだから、動じないのは当たり前なんですけど、それにしても…すごいです。
動画は1分26秒まで早送りに。そこで鳥の群れがファンに突入し、あらゆるアクションが始まります。テターボロ空港じゃなく、ハドソン川に突入を決めるまでにご注目。‥
[交信記録全訳︵参考‥スマブラ屋︶]
AWE1549: あー、こちらカクタス1549、鳥に衝突。両エンジンとも推進力を失った。ラガーディアに引き返す。
L116 ︵NY離陸管制官︶: OK、分かった、ラガーディアに戻るんだな。左旋回、機首を、えーと、2-2-0に。
AWE1549: 2-2-0
L116︵ラガーディア管制塔に向かって︶: タワー、出発便を止めて。緊急で戻る便がある。
LGA︵ラガーディア︶: 誰だ?
L116: 1529︵←言いまつがい︶。 バードストライクだ。全エンジンとも機能停止。エンジンの推進力を失った。直ちに引き返す。
LGA: カクタス1529か。どっちのエンジンだ???
L116: 両エンジンの推進力を失った、と言っていた。
15:28:05 L116: カクタス1529。もし確保できたら、1-3滑走路に着陸トライしてみたいか?
AWE1549: 無理だ。それではハドソン川に墜ちて終わりだ。
L116: 了解。カクタス1549、滑走路3-1は左場周経路だ。︵←さっきコードネームの番号を間違えたと思ったら今度は聞いてないし。こいつ、こんな鈍いの?︶
AWE1549: 無理だ。
15:28:36 L116: OK。着陸に何が必要だ。︵←大きな鉄の○玉さ︶
L116: カクタス1549、4番滑走路に左場周経路が希望なら4番滑走路も空いてるぞ。
AWE1549: どの滑走路も着陸できるか分からない。我々の右には、何かない? ニュージャージーには何か? テターボロとか?
L116: OK。そう、右側にはテターボロ空港がある。
L116: テターボロに行くか?
AWE1549: YES。
L116: テターボロ、あー、実はempireだ。ラガーディアの出発便が緊急着陸で入ってくる。
TEB︵テターボロ空港︶: OK、どうぞ。
L116: ジョージ・ワシントン・ブリッジ上のカクタス1529︵←また?︶が、空港に今すぐ入りたがってる。
TEB: こちらの空港に来るんですね。了解。何か支援は要りますか?
L116: あー、イエス。バード・ストライクだ。1番滑走路に入れていいか?
TEB: 1番滑走路。グッドです。
L116: カクタス1549、2-8-0で右旋回して。テターボロの1番滑走路に着陸できる。
AWE1549:無理だ。
L116: OK。テターボロはどの滑走路がいいか?
AWE1549: ハドソンに入る。
︵ラガーディア側、しばし沈黙。気持ちは分かる︶
15:29:33 L116: すまないが、もう一度言ってくれ、カクタス
最後のところで、もう一人のパイロットが最後の交信を繰り返すのが聞こえます︵追:着水時の音声は作者scrapironfish氏が挿入したシオックスシティUA-232 DC-10便墜落時のものです。CVR。不快な方は下の動画をご覧ください︶。恐怖と驚きが半々という調子で。いやあ、マジで大人になったらこの機長みたいになりたいです。もう大人だけど。
[Thanks Kat]
[Thanks readers]
Jesus Diaz(原文/訳:satomi)
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