2,000年前の人骨が海の底から発見されるという大ニュース。
﹁アンティキティラ島の機械﹂って聞いたことありますか? 1901年、ギリシャにあるアンティキティラ島で、沈没船からある機械が回収されました。
昔のからくりオモチャかなにかだと思い、数十年ほったらかしのままでしたが、調べ始めてみたところ、なんとも謎の多い機械だったのです。そして2006年には、ある衝撃的な事実が判明しました。
なんと、紀元前150年から100年の機械だったのです。これは古代ギリシャの天文学と数学に基づいて製作された天体の動きを調べるための機械だと判明しました。その時代のものとは思えないほど高い精度の機械で、その精巧さから﹁世界最古のコンピュータ﹂と呼ばれています。
そして今回、アンティキティラ島の機械が見つかった同じ沈没船から、2,000年前のものと思われる人骨が発見されたのです。さらにこの人骨から、DNAが抽出できるかもしれないとのこと。
この人骨はギリシャ共和国の文化・スポーツ省とウッズホール海洋研究所︵WHOI︶の研究者によって発見されました。水深50メートルで作業していた考古学者が、0.5メートルの深さの砂面に埋まっていた人骨の一部を発見。さらに掘り進めていくと、顎と歯がついたままの頭蓋骨、脚、肋骨、腕の骨が見つかりました。
人骨は2000年も海の中に眠っていたにも関わらず、とても状態が良いため、研究者たちはまだ骨の中に遺伝子情報が残っているだろうと話しています。これからDNA採取が可能か調査をするようです。もし採取に成功すれば、海中で見つかったサンプルからDNA採取に成功した初めての例となります。
現在のところ、この人骨は若い男性とみられていますが、DNA採取に成功すると髪の色や目の色がわかるだけでなく、どんな祖先でどこから来たのかまでわかってきます。
アンティキティラ島の沈没船は、考古学者にとってはまさに夢の世界。
ウッズホール海洋研究所の考古学者、Brendan Foleyさんは﹁考古学者たちは、祖先が作ったものを通して昔の人間について研究するが、アンティキティラ島の沈没船では、昔の人間を直接、研究できるのです﹂と語っています。
沈没するまでこの船は、機械などの高級品を、東地中海からローマなどへ運送するために使われていました。船はかなり大きく、数階建ての作りになっていて人もたくさん乗れたみたいです。
残された証拠では、紀元前65年にこの船は嵐に遭って流され、岩にぶつかり沈没してしまったとみられています。1900年に海綿採りをしていたダイバーによって発見され、のちに船内に残されていた工芸品などが回収されました。
考古学者たちは、この船の貨物がまだ海の底に埋もれているんではないかと考えていたようで、古代の遺骨を見つけるというのはものすごく珍しいケースだそうです。他にも今回の掘り出しでは、大きないかりや、敵の船を攻撃するための武器など色んなものが発見されています。
人類の歴史につながる、重要なものが隠されていそうなアンティキティラ島の沈没船。今回の人骨の発見も含め、今後の研究に期待です。
image by Brett Seymour, EUA/WHOI/ARGO
source: Woods Hole Oceanographic Institution、Nature News
George Dvorsky - Gizmodo US﹇原文﹈
︵岩田リョウコ︶
![アンティキティラ島の沈没船から人骨 1](https://media.loom-app.com/gizmodo/dist/images/2016/09/160921antikythera2.png?w=640)
![アンティキティラ島の沈没船から人骨 2](https://media.loom-app.com/gizmodo/dist/images/2016/09/160921antikythera3.png?w=640)