... 辺見十郎太と村田新八、桐野利秋の三人は大の仲良しじゃったげな。あるとき、おいたちさつまさんゆうしときごくらくたとさんめ﹁俺達ゃ薩摩の三勇士じゃっで、ケ死んだ時ゃ三人連なんでいっしょに極楽い行こや。例えあとさきやくそくケ死んでも、先の世で ...
津田太愚. 西郷を巡る人々4辺見十郎太辺見十郎太は薩摩藩士だ。戊辰戦争で活躍した。維新後、近衛陸軍大尉になる。山犬のような男で、武闘派だった。明治6年( 1873 )皇居が焼けたとき、新宿の遊郭で遊んでいて救援に間に合わなかった。このことを糾弾 ...
... 辺見十郎太の息子です﹂老人はさらに胸をはった。肩をそびやかした。老人は怪訝そうに宮之原をみつめ、次の瞬間、天井を仰いで慨嘆した。その目から大涙があふれ、ハラハラと床に散った。﹁もうしわけありません、不勉強でとっさ明治戊申の戦役といわれて ...
... 辺見十郎太の一徹な男の意地だったのかもしれない。話はまた変わるが、西南戦争の猛将で知られる辺見十郎太の夫人が書いた手記がある。それによると、西郷隆盛はよく辺見十郎太の家を訪ねて、諸用件を話していたという。しかし十郎太は、一度だっ妻の私を ...
... 辺見十郎太の恋情を描いた短編である。辺見十郎太と言えば、西南戦争の薩軍の猛将として、有名である。五尺三寸の剛刀を背に帯び、戦いに臨むに当たっては地面に一線を画し、その線から退く者は味方であっても切り捨てたと言う。そのため、辺見の持ち場 ...
... 辺見十郎太は大刀をぬいて、軍の先頭にたち、喚声をあげて官軍の陣地に突撃した。続いて本隊、後衛が薩軍最後の死力をふるって突入したからたまらない。官軍は不意をくらってさんざんに追いまくられ、左右に退却すつみたいる。その中央をみごとに突破して ...
... 辺見十郎太がその連隊旗を振ったりした薩兵は、ほとんどが牛尾郷の人達であった。また、これはずっと後の話になるが、ぶん取った連隊旗を、熊本城にこれ見よとうち振った辺見十郎太が、牛尾郷なぞの兵を率いて、大口に布陣したが、二個旅団の官軍に敗れ ...
... 辺見十郎太と佐藤の命によて檄を飛ばし、 ﹁薩軍の目的は豊後進出にあり﹂と、沿道に宣伝して歩いたのは池上四郎であた。した糧米二千五百俵のうち僅か五十俵を薩軍のために残して、あとをすべて馬車に積載させ、わざと豊後路に運搬させた。⻄郷三田井は ...
... 辺見十郎太は、大西郷岩崎谷の最期の直後、押しよせ官兵を切って切って切りまくり、松の木に拠って割腹したが、とても恐ろしい形相で、死後も寄りつけなかったという。覚悟していたさすがの辺見もはっとして恐れ入った。そして﹁他日、事があったら、先生 ...
... 辺見十郎太をかえりみて笑い出した。にな﹁何をお笑いなさる?﹂辺見がきくと、﹁まるで夜ばいのごつある﹂﹂と答えた。西郷も女好きで、夜ばいの経験はいくらもあったらしい。と進むうちに、辺見十郎太が、﹁もう、ゆはごわんすめいか?﹂と言った。ここら ...