政府の拉致問題対策本部は3月28日、横田めぐみさんの拉致事件と、家族の活動を描いたアニメ﹁めぐみ﹂のストリーミング配信を、﹁政府インターネットテレビ﹂で始めた。アニメはコピーフリーのWMV形式でダウンロードすることができるほか、コピーフリーのDVDも制作し、全国の地方自治体などに無料で配布する。英語・中国語・韓国語版も用意した。
拉致事件を描いた漫画﹁めぐみ﹂︵双葉社刊︶を25分間のアニメにまとめた。めぐみさんが拉致される前の横田家の様子や、救出活動に奮闘する家族の様子を描いている。アニメを活用することで子どもや若者にも訴えかけるのが狙い。制作費は2000万円弱。
声優は、めぐみさん役が高山みなみさん、滋さん役が山寺宏一さん、早紀江さん役が深見梨加さん。アニメ化を知った山寺さんの呼び掛けで集まったといい、全員ボランティアで引き受けた。
政府インターネットテレビでストリーミング再生できるほか、各国語版のダウンロードも可能だ。コピーフリーのDVDには各国語版を収録し、地方自治体や海外の日本大使館などに無料配布する。地方自治体がDVDをコピーして、学校や図書館に配る――といった利用を想定している。
アニメを見る横田滋さん。時折、ハンカチで目を押さえていた
めぐみさんの父親・横田滋さんは﹁分かりやすく正確な内容で、よくできている。悲しくて見てられない部分もあった。映像が訴える力は強い﹂と話す。母の横田早紀江さんは﹁1人で見て涙が止まらなかった。当時の部屋の様子も細やかに表現されていて、胸が苦しくなった﹂と明かした。
山寺さんは﹁アニメの仕事に20年関わっているが、コピーフリーというのは初めて。拉致問題に関してはこれまで傍観者だったが、声優の仕事で何かできることがないかと考え、参加することを決めた。リハーサルでも涙が止まらなかった﹂と話した。
拉致問題対策本部事務局の河内隆総合調整室長は﹁拉致問題の解決には国民の理解が必要と考え、アニメを制作した。アニメを活用した拉致問題の広報は初めて﹂と述べた。
後列左から、脚本を担当した三井秀樹さん、監督の大森英敏さん、本そういちさん、山寺宏一さん、深見梨加さん、ナレーションを担当した羽佐間道夫さん、河内隆総合調整室長。前列左から横田滋さん、横田早紀江さん
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