今の10代、特に女子中高生は、独自のケータイ文化を作っている。ケータイ小説や、プロフィールページ﹁プロフ﹂、個人サイト﹁ホムペ﹂などがこれまで、“大人”たちに発見されてきた。最近は﹁リアル﹂が流行していると話題だ。
記者︵30歳♀︶は、10代のリアルをのぞいてみて驚いた。彼らは、大人から与えられたサービスの枠にとらわれずに、主体的にサービスを再構築しているのだ。
リアルは﹁リアルタイム﹂の略で、﹁リアルタイム日記﹂﹁リアルタイムブログ﹂と呼ばれることもある。自分の気持ちや状況を、テキストや絵文字、画像でリアルタイムに更新して友達など身近な人に見てもらうというもので、特定のサービス名称ではない。投稿は、携帯メールで行われることが多い。
リアルは一見、携帯ブログと見分けが付かない……というか、タイトル欄がない以外はブログとほとんど同じだ。実際、ブログや写真日記のサービスをそのまま転用し、リアルと名付けて使っているユーザーも多い。専用サービスもあるがあまりメジャーではなく、ホムペサービスの1機能として提供されていることもある。
chip!!ブログで作ったリアルの例。テンプレートは大量に用意されている上、カスタマイズも細かく可能で、さまざまなデザインに対応している
Alfooは、画像のサムネイル付きで更新できる。どのサービスもケータイ絵文字には対応しているが、デコメで作った絵文字には非対応のサービスも
人気のサービスプラットフォームは、PCネットユーザーには耳慣れないものばかりだ。メジャーなのは、ホムペサービス﹁chip!!ブログ﹂﹁@peps﹂﹁Mobile Space﹂などで、それぞれ、リアル用をうたったブログ機能がある。メール更新できる写真日記サービス﹁Alfoo﹂や、デコメで更新できる日記サービス﹁Decoo﹂も人気。リアル専用サービスとしては﹁CROOZ リアル﹂がある。
それぞれ﹁メールで文章を投稿し、ブログのように更新できる﹂という点で共通しているが、それ以外の機能――コメント欄の有無、デコメ絵文字への対応・非対応、背景画面の編集機能など――はサービスによってまちまち。ユーザーは好みのサービスを選び、設定を細かくカスタマイズした上で、リアルへのリンクを自分のホムペやプロフに貼り付けている。
﹁Mobile Space﹂のホムペのトップページから﹁@peps﹂のリアルにリンクするなど、サービスを組み合わせて使うのもごく普通。両方それぞれにブログやリアルの機能はあるが、欲しい機能を選んで使っているようだ。PCネットユーザーに分かりやすい例で例えると、﹁mixiのユーザーページにGREEの日記機能を置く﹂ようなイメージに近い。
女子中高生のリアルをのぞいてみよう。﹁今起床﹂﹁まぢばーり眠い﹂﹁理科のテストとか終わった 死んだね……﹂﹁やば、早く到着しすぎた﹂﹁誰かめるるしよ﹂﹁○○くん大好き﹂﹁EXILEが14人 やだなー﹂など、絵文字入りの短い文章を、つぶやくように更新しているものが多い。主語も状況説明もなくいきなり感情が書かれていたり、写真が投稿されているものも多く、いかにも﹁リアルタイム﹂だ。
使い方はそれに限らない。その日あったことを日記のように詳細に書いていたり、自作の詩を書いているものもあり、﹁リアルだからこう書かなくてはいけない﹂というルールはないようだ。コメント欄付きのリアルは、﹁乱入してけ〜﹂﹁気軽に書いていってね﹂などコメントを推奨しているケースも多いが、コメントが付いていることはあまりなかった。
リアルは﹁PCサービスで言えばTwitterに近い﹂と言われることもある。﹁いつでも気軽に、目的なく更新し、友人に近況を伝える﹂という意味では確かにTwitterに近いが、特定のサービスプラットフォームに依存しておらず、内容も組み合わせも完全に自由――という点でTwitterと異なる。リアルはサービスではなく、携帯によるネットコミュニケーションのある種のスタイルだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.