「海賊版が跋扈(ばっこ)する海外市場で“本物”は売れるのか」――アニメイトや講談社など5社が出資するジャパンマンガアライアンス(JMA)は2月28日、同社がタイで展開している漫画・アニメグッズの販売店について、取り組み内容を報告した。売上額は想定以上で「初年度から黒字化する見込み」という。
バンコクの店舗で売られているタイ語の漫画
JMAは、アニメイト、KADOKAWA、講談社、集英社、小学館が2015年9月に設立した合弁会社。日本発のアニメや漫画が海外で人気になる一方、海賊版が流布している現状を問題視し、﹁海外ファンが本物の作品やグッズに触れる機会を増やす﹂という目標を掲げている。第1弾の取り組みとして、同社は昨年2月にタイ・バンコクに“タイ版アニメイト”﹁JMA バンコク店﹂をオープンした。
﹁海賊版の影響もある中で、これだけ売れるとは﹂――JMAの國枝信吾社長は、出店から1年間をそう振り返る。売上額は明らかにしていないが、﹁日本国内の同サイズのアニメイト店舗と比べると非常に好調な滑り出し﹂という。
バンコクにオープンした“タイ版アニメイト”
國枝社長によれば、同店の会員登録者数は約3.5万人で、売り上げの約49%を占めるという。会員の月間平均購入額は1530円︵現地だと漫画が5〜7冊買える額︶といい、﹁タイの大学初任給が4万2000円程度と考えると、購入単価は高い﹂と國枝社長は話す。﹁タイ市場が醸成されている雰囲気を少しずつ感じる﹂︵國枝社長︶。
現地生産の商品に加え、日本から輸入する商品の売り上げも好調。﹁日本から輸入するため単価が高い。海賊版の影響を受けると思っていたが、AV商品が売上額の9%を占めるほどに伸びるとは予想外﹂という。
会員登録者数は約3.5万人
AV商品は売上額の9%を占める
海賊版が多く流通するタイで、売り上げを伸ばせたのはなぜか。國枝社長は﹁本物志向のユーザーが増えている﹂と分析する。
﹁進出前は、グッズなどが日本から正式に供給されておらず、並行輸入か版権処理をしていないグッズがほとんどだった。本物が手に入らないから、海賊版を買っていたユーザーがいた﹂
これを踏まえ﹁現地に本物を持ち込むことが最大の対策と考えていた﹂︵國枝社長︶。さらに日本の漫画家を招き、店舗前のスペースで海賊版反対イベントを開くなどしたところ、﹁ショッピングセンターなど人目につくところからは海賊版は消えた﹂という。
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