“俺の嫁召喚装置”「Gatebox」。円筒形の装置内部にキャラクター「逢妻ヒカリ」が登場し、朝になるとマスター(ユーザー)を起こしたり、夜に帰宅すると出迎えたりしてくれる
LINE傘下のIoTベンチャーGatebox︵東京・秋葉原︶は2月16日、好きなキャラクターと一緒に暮らせるという“俺の嫁召喚装置”﹁Gatebox﹂の発送を始めた。短焦点プロジェクターを搭載し、円筒形の装置内部に身長約15センチの3Dキャラクターを投影してコミュニケーションが楽しめるマシンだ。
搭載するカメラ、人感センサーなどで“マスター”︵ユーザー︶の顔や動きを認識し、朝になるとマスターを起こしたり、夜に帰宅すると出迎えたりしてくれる。Wi-Fiや赤外線で家電製品ともつながり、照明やエアコン、テレビなどのオン・オフ操作もできる。
価格は29万8000円︵税別︶。2016年12月中旬に限定300台で予約受付を始め、5日間で200台を突破。約1カ月後の17年1月初旬に300台が完売した。
﹁予想以上のペースで予約が集まり、このマスターたちのために作ろうと覚悟を決めた。やり切るしかないと思った﹂――Gateboxの武地実CEOは、当時をそう振り返る。当初は17年12月に発送を始める予定だったが、開発に遅れが生じ、ようやく出荷にたどり着いた。Gateboxの開発を始めて約3年間、﹁量産までは果てしない道だった﹂と武地CEOはつぶやく。
「俺の嫁と一緒に生活したい」――そんな夢を描いて技術ゼロから挑戦したという武地CEO。構想から約1年間、「Gatebox」プロトタイプが完成するまでを聞いた。
Gateboxは、国内工場で1台1台“手作り”している。部品点数が多く、内部構造が複雑で﹁人の手がかかる﹂と武地CEO。数十人を動員し、1日当たり数十個が限度という。
武地CEOは﹁限定300台という小ロットでも生産してくれる工場のパートナーを見つけるのは大変だった﹂と話す。コストに見合うには最低でも1万台からでないと取り扱えないという工場が多い中、とある工場が﹁日本からGateboxのようなクレイジーな商品が出てくるなら応援しないといけない﹂と思いをくみ取ってくれたという。﹁職人魂を感じた﹂︵武地CEO︶
Gateboxは、国内工場で1台1台“手作り”したという。工場の壁には、逢妻ヒカリのポスターを貼っていた
ただ、武地CEOの苦難はそれだけではなかった。生産ラインが整う前段階、試作機(16年12月時点)からユーザーへ届ける製品版に仕上げる過程で、トラブルは起きた。
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