「親が誰なのか知らない」孤児院育ちCoCo壱番屋創業者の壮絶半生
2012.04.28 11:00
「戸籍上は石川県生まれですが、両親が誰なのかわかりません。兵庫の孤児院で育ち、3歳の時に雑貨商を営む夫婦に引き取られました。ところが養父がギャンブル(競輪)にはまって財産をなくし、夜逃げするように岡山に移ったんです」
こう語るのは、名古屋から生まれた﹁カレーハウスCoCo壱番屋﹂の創業者・宗次徳二︵63歳︶である。﹁壱番屋﹂は国内に1229店舗を展開し売り上げは721億円になる。彼の半生は壮絶である。電気も水道もない生活が何年も続いた。泣いている暇もなく、学校から帰ると養父の帰りを待ちながら、ローソクの灯りで掃除や炊事をするのが仕事だった。だが、そんな養父だが、嫌いにはならなかったという。
﹁大好きでした。年に一度だけ、職安でもらう年末一時金で私の大好きなリンゴを二つ、お土産に買ってきてくれる。あのリンゴの味は格別でした﹂
宗次はほぼ毎日、名古屋・栄の街を早朝掃除する。﹁お金を自分のために使うのは恥ずかしくてできない﹂という。時計は9800円、シャツは980円で、自宅は接待用に少し大きなものを建てたのだが、﹁それも恥ずかしいこと﹂だと話す。
﹁週刊現代﹂がぶち抜き10ページの大特集﹁2012年版﹃全国長者番付﹄を実名公開する﹂で、47都道府県の大金持ちをリストアップし、何人かにインタビューしている。
私が週刊誌の現場にいた頃、たしか5月1日だったと思うが、高額納税者、いわゆる長者番付というのが発表になった。国税庁から新聞には1週間ぐらい前に名簿が手渡される。その名簿を親しい新聞記者から流してもらって、こちらも取材を始める。中でも売り物は芸能人やスポーツ選手の番付であった。作家・文化人というのも人気があった。これがゴールデンウイーク合併号の売り物だったが、毎回トラブルになった。それは5月1日前に雑誌が発売されるためで、国税庁からはもちろんのこと、新聞社も資料を流した犯人捜しに躍起になったが、われわれは知らぬ存ぜぬで押し通した。それが2005年を最後に発表が中止されてしまったのである。
﹁当初の目的であった﹃第三者のチェックによる脱税牽制効果﹄の意義が薄れているという指摘があることや、政府による犯罪の助長になってしまっていること、2005年4月1日から個人情報保護法が全面施行されたことを受け、この制度は06年︵2005年度分︶から廃止された﹂︵ウィキペディアより︶