更新日:2014年2月1日
1.天(てん)
本を立てた場合、上に見える切り口(各ページの最上部)。この部分を金色に塗ったものを「天金」といい、色染めをしたものを「天染め」といいます。次項の「地」とともに大阪府立図書館の所蔵図書には府章を押印し、どの図書館で借りた本か見分けやすくしています。
2.地︵ち︶
﹁天﹂の反対側。本を立てた場合、下側になる切り口︵各ページの最下部︶。
3.小口(こぐち)
広義には、本の「のど」を除いた3方の辺のことをいいます。この場合、上の小口を「天」、下の小口を「地」といい、のどの反対側の小口を「前小口」もしくは単に小口といいます。狭義には、前小口だけをさします。
天だけでなく三方を金色に塗ったものを「三方金(小口金)」、マーブル模様をつけたものを「マーブル染め」といいます。また、辞書や事典などで半円形の切り込みを入れたり、各項目の一文字目を小口に出したものを「つめかけ」といいます。
さらに、製本の際に化粧断ちせずに、ペーパーナイフなどで各ページを切りながら読んでいくものを「アンカット製本」といい、この製本の小口を「アンカット小口」といいます。
4.のど
本のページの余白部分。本の中身が背に接する部分。
5.喉布︵のどぬの︶
本の中身と表紙を取り付ける布。
6.はなぎれ
花布、端布とも書きます。﹁本製本﹂の中身の背の上下に付いている布。上のものを﹁ヘッドバンド﹂、下のものを﹁テールバンド﹂といいます。また、総称としてヘッドバンドといったり、略して﹁ヘドバン﹂ともいいます。現在は装飾用。
7.表紙︵ひょうし︶
本の中身を保護するための外装。開きはじめの側を表表紙︵おもてびょうし︶、反対側を裏表紙といいます。図書・雑誌には表紙がありますが、新聞にはありません。表紙の種類としては、革で作られた﹁革表紙﹂や、角を革でおおった﹁角革︵角皮︶﹂、背から数cmのところで別の革や紙で継いだ﹁継ぎ表紙﹂などさまざまな名称があります。
8.折り返し︵おりかえし︶
紙表紙などで薄いものの場合に、小口を内側に折り返していたまないようにした折り返し部分。
9.角(かど)
本の表紙の2つの小口が交差した点。通常は直角ですが、丸く仕上げた「角丸(かどまる)、丸隅(まるすみ)」や、洋装書などに多い革・クロースを貼り付けた「角革(角皮)(かどかわ)」、金属を貼った「角金(かどかね)」装丁もあります。
10.見返し(みかえし)
狭義には、表表紙︵おもてびょうし︶の裏側をいいます。一般的には表表紙・裏表紙の内側に貼り付けて、本の中身と表紙をつなぎ合わせている﹁見返し紙﹂のことです。表紙と本の中身を張りつける﹁力紙﹂︵ちからがみ︶と、﹁遊び紙︵遊び︶﹂があります。
11.扉︵とびら︶
見返しの次にあり、書名、著者名、発行所名などを記してある部分。2ページにわったているものを﹁見開き扉﹂といいます。上質紙を用いて本文と区別しているものもあります。
12.標題紙︵ひょうだいし︶
本文の前にあってタイトルなどが書いてある紙。洋書では、表題紙に書誌データの重要な部分を記してありますが、日本では多くが﹁奥付﹂に記載しています。
ちなみに、標題紙に書かれている標題を﹁標題紙標題﹂といいます。
13.ジャケット
ジャケット本の表紙やレコードにかけられている覆︵おお︶い。昔は、本が読者の手に渡るまでの汚損防止用のものでしたが、現在は宣伝・広告もかねて凝ったデザインのものが多くなっています。
図書館でも昔はジャケットを取り外して提供していたところが多かったようです。
14.帯紙︵おびがみ︶
表紙やジャケットの上から本の下部に巻き付ける、宣伝を印刷した細長い紙で﹁腰巻﹂﹁腰帯﹂ともいいます。
15.チリ
ちりとも書きます。表紙を別の紙で作り、本をくるんで仕上げる際、本の中身より少し大きくするために、はみだした表紙の内側部分。約3ミリほどのものが多いようです。
16.背︵せ︶
本の綴じられている方︵﹁のど﹂︶の外に面しているところ。または、その部分を保護している表紙の部分。通常背文字がさまざまなレイアウトで工夫して書かれており、読書欲をそそらせるように配慮されています。
多くの図書館では、背の下から1cmぐらいのところに、請求記号の付いたラベルを貼りつけています。ちなみに中之島図書館のラベルには、上段がNDC︵日本十進分類法︶、中段はNDCごとの受入順番号と﹁N﹂、下段は巻数または複本の情報で、ピンク色のラベルを貼りつけています。
古い図書︵平成2年度以前に受入れした図書︶は紺色のラベルが貼りつけてあり、上段はODC︵大阪府立中之島図書館図書分類法︶、中段はODCごとの受入順番号で、中段の数字が奇数なら洋装書、偶数なら和装書をさします。機械上は﹁#﹂が中段の数字に付与されていますが、図書に貼りつけてあるラベルには書かれていません。
17.折込み︵おりこみ︶
一般的には、新聞の折り込み広告を指しますが、図書についてでは、図書の版型より大きな紙を折り畳んで綴じ込むこと。文芸雑誌の目次や地図・統計表に多く用いられます。最近では雑誌の広告にもみられるようになりました。
18.折れ込み︵おれこみ︶
製本時にページの角が小三角に折り込まれてしまったもの。通常製本時に小口を少しカットするので、折れ込みがあるとそのページだけ製本後の小口より外へ出てしまいます。
折れ込みをもどす際に製本後の小口のところにあわせてカットしなおす必要があります。
19.白ページ
図書の中で何も印刷されていないページ。
20.平︵ひら︶
書物の表紙のたいらになっている部分。一般的に表紙の平には書誌事項︵タイトル、著者、出版社など︶が書かれています。書店で見られる﹁ひらづみ﹂は表紙の平を上にむけて積んでいるということです。
21.背文字︵せもじ︶
書物の背に付けられる書名、著者名などの文字。製本時に文字を入れることを﹁文字入れ﹂といいます。中之島図書館の雑誌の合本製本の際には、金属箔をつけて型押しする﹁箔押﹂︵はくおし︶を行っています。
﹁箔押﹂した﹁背文字﹂
22.前書(まえがき)
本文の前に著者などがつける文章。著者以外が記したものを他序︵たじょ︶といいます。序、序言、端書︵はしがき︶などともいいます。
23.後書︵あとがき︶
本文の後ろに著者などがつける文章。感想や出版に対する謝辞や意外な裏話などが掲載されています。跋︵ばつ︶、跋文、後序、後記などともいいます。
24.前付︵まえづけ︶
本文の前に付けられている部分のこと。口絵︵くちえ︶、扉︵とびら︶・標題紙︵ひょうだいし︶、献辞︵けんじ︶、謝辞︵しゃじ︶、前書、目次などから構成されます。本によっては独立したページをとっているものもあるようです。