2015年上半期・フリーゲームの潮流~フリゲの現状と、話題作の特徴をじっくり語ってみた
もぐらゲームスで日頃から紹介している﹁フリーゲーム﹂。2015年の上半期は、突如現れた大作フリゲ。ゲームシステムにこだわったフリゲ。人気ジャンルであるホラーゲームの傾向変化。制作ツールの多様化。フリゲのリアルイベント。…などなど、さまざまな話題が出てきた時期であった。
今回は、そんなフリーゲームの環境が動いた半年を振り返りつつ、話題作の特徴を語り合い、そして﹁今後のフリゲはどうなるんだろう?﹂と予想する企画として、2015年上半期に話題となったフリーゲーム作品、それらを取り巻く環境を、もぐらゲームスのメンバーで語り合った。
作品ごとに﹁ここが面白かった!﹂という内容を語ったほか、前回の座談会に引き続き、もぐらゲームスメンバーそれぞれのお気に入りの1作を選んでみたので、フリーゲーム好きはぜひ読んで頂きたい。また﹁このゲームも話題だったよ!﹂というご意見がある場合は、例によってぜひtwitterやはてブなどでコメントを頂ければ幸いだ。
まずは突如現れた2つの「大作フリゲRPG」を語ろう!
水原由紀
もう半年経ったんですね……早いこと早いこと。半年前の座談会では、2014年の有名どころや賞を獲得したもの、あるいは名前の知られた作者や個人の注目作なんかについて話しました。で、同じような流れで今回も進めていきたいと思います。半年経ったから色々新作が出たりフリゲの受容環境が変わったりしていそうなので、楽しみですね。
Noah
前回の記事を見ていると、有名フリーゲームが並ぶね。前回は1年分まとめて振り返ったからというのもあるけど、この1月から6月までは、どんな良作があったかな。
- poroLogue
- 2014年はホラーゲームが人気となりつつも、ウディコンなどのシステム重視の作品が多くあったね。年末に出た『ざくざくアクターズ』も、いまではクリアした人は出てきただろうね。
『ざくざくアクターズ』(DLはこちら)
- すんくぼ
- 『ざくアク』は水原先生どうですか。前回の座談会でものすごい期待していたのでw
水原由紀
いやー、超がつくほど面白かったですよ!今年はこれ以上の大作RPGはまず出てこないだろうなーと思わされました。ボリューム大だったので、社会人になった今はクリアに少し苦労しましたが、﹃らんだむダンジョン﹄に引き続き、ストレスを減らす工夫が随所に凝らされたマップ設計やシステムはすごいですよ。今回はあれだけたくさんキャラクターを出しても全員区別がきちんとつくし、キャラ被りもなし。システム面のみではなく、キャラの魅力を最大限引き出してましたね。シナリオやキャラ付け含めて総合力が高い。
- すんくぼ
- 実際にどんなゲームなのか、軽く面白さのエッセンスを説明してもらえると…。
水原由紀
すんくぼさんのプレイしたフリゲで言うと﹃Hero and Daughter﹄に近いと思います。あの設計からして、tachiさんもおそらく参考にしてるはずです。要は、一回あたりの戦闘をオート戦闘や多少の選択で勝てる程度まで軽量化し、マップ上に配置されている宝箱をじゃんじゃん回収してレアアイテムを探しつつ、シナリオを進行させる、って感じです。
- poroLogue
- 基本的には、敵を倒して、レアなアイテムを手に入れて、キャラクターを強くするハック&スラッシュの楽しさという感じなのかな。
水原由紀
そうそう、いわゆるハクスラっぽい感じですね。﹃ざくアク﹄は﹃らんダン﹄と比較して、ハクスラ要素や宝箱回収・レアアイテム探索要素を少し削ってオマケ要素︵﹃次元の塔﹄というダンジョンがそれに当たります︶とし、メイン部分はシナリオや演出を大幅強化して普通のRPGにした、といったところでしょうか。とはいえ敵バランスには上記のような﹁軽量化された戦闘﹂は残ったままですね。あと、こっそりキャラグラフィックがほぼ全部自作になってます。﹁上手い!﹂というよりは﹁あったけぇ……﹂って感じの絵ですね。
- poroLogue
- 女の子要素というと、『らんダン』はキャラクターに女の子が多かったけど『ざくアク』はもう少し小動物的というか、あたたかみのあるキャラが多い印象があるw
- 水原由紀
- 確かに小動物っぽいですね。特に主人公のデーリッチがw
『らんだむダンジョン』(DLはこちら)
- すんくぼ
- プレイ時間50時間は超えると書いてあるけど、水原先生は実際どれくらいやられたんですか。
水原由紀
クリアまでは確か36時間かかってますね。とはいえ、これは開発途中版をかなりやりこんでたので、中盤くらいまでは展開やマップ構造が全部頭に入ってたからですが。そうすると40時間くらいは見込んでおくといいのかな、と。
- すんくぼ
- なるほど…この上旬は他にも大作系のRPGはあったのかな。6月に公開されたFF12風のフィールド上でのシームレスなバトルを売りにした『Tactical Chronicle』は30~100時間を売りにしてるね。触りしかプレイしてないけど、面白かった。ガンビットが結構見事に再現されてるのでFF12の戦闘が楽しかった人にはたまらないとおもうw
『Tactical Chronicle』(DLはこちら)
- 水原由紀
- 30~100時間って幅ありすぎですね。触ってみるかー。
- Noah
- なかなか今の時代、大作系は敷居が高いと思われがちけど、『ざくざくアクターズ』『Tactical Chronicle』のようなゲームはしっかり評価されているってことだね。
poroLogue
﹃Tactical Chronicle﹄は、世代交代システムも興味深いので、じっくりやりたい作品だね。先日、このゲームをもぐらゲームスで記事にした時には、とても大きな反響があったので、多くの人に求められていた作品だったんだと思う。
大作フリーゲームRPG﹃Tactical Chronicle﹄。100年間かけて自分だけの戦術を完成させろ!
「フリゲならでは」のシステム設計が見える力作短編
- poroLogue
- この半年は、短時間で遊べるRPGが目立った気がするな、最近だと『ローズマリーダスト』とか『カリスは影差す迷宮で』とか。
- すんくぼ
- 今上げてくれたのは、昨年評価が高い作品を作った作者さんの新作だね。『ローズマリーダスト』は『ロードライトフェイス』の作者さんの新作で、『カリスは影差す迷宮で』は『黒先輩と黒屋敷の闇に迷わない』の作者さん。
- 水原由紀
- udさんと饗庭淵さんですね。
poroLogue
そうそう、ふたつとも方向性は異なるけど、制作者さんのこだわりの感じられる作品だったと思う。特に﹃カリス﹄は﹃魔王物語物語﹄﹃イストワール﹄などの、探索要素の強いRPGが好きな人は凄い楽しめると思う。
フリーゲーム﹃カリスは影差す迷宮で﹄ 。下された任務は﹁仲間殺し﹂。限られた期限を上手く使う遺跡探索RPG
『カリスは影さす迷宮で』(DLはこちら)
- すんくぼ
- ビジュアルが強烈だけど、探索RPGとしてはかなりしっかりしてるよね。
Noah
個人的に、最近ウケているゲームは、ゲームシステムに工夫をこらしているゲームがより多くなってきてるような気がしていて、そういう意味では、選択されるゲーム制作ツールも、﹃RPGツクール﹄系からWOLF RPGエディターなどになってきていた中、﹃カリス﹄はRPGツクールXPなので、その辺りのツール選択事情も興味深いところかな、と。
- 水原由紀
- あとは昨年翻訳されてブレイクした『OFF』みたいにビジュアルや「世界観エンタメ」的方向、って感じですね。
話を戻すと、『ローズマリーダスト』は一時間くらいで終わる短編で、パズル要素の強いゲームですね。回復手段が非常に限られているので、HPやTPといった、自分の持っているリソースをいかに切り分けていくかが重要になります。アンディーメンテやステッパーズ・ストップの作品のように、切り詰めた設計を思わせるところがありましたね。
- poroLogue
- ツールに関しては、制作者さんに結構話を聞くので、その辺りの事情も後ほど話してみたいな。いま話題にあがってる『ローズマリーダスト』については、水原くんの言ってくれたように、アンディーメンテやステッパーズ・ストップ、それとspace not far作品のような、ノンフィールド系RPGの流れを汲んでいる気がする。フリーゲームだと、『ローズマリーダスト』のように、RPGの「リソース管理」に注目したRPGはこれまで人気になってるね。そこはコンシューマゲームの流れとはやや異なる特徴なのだろうか。
『ローズマリーダスト』(DLはこちら)
- Noah
- ああ、そのリソース管理はすごく言おうと思ったw
- すんくぼ
- かなりストイックというか、立ち止まって一歩一歩考えるようなプレイ感になるよね。コンシューマーのRPGだとどうしてもリアルタイムだったりアクション性だったりに流れがちだけれども。
Noah
なんというか、今の流れからいうとアクションゲームとかパズルゲームにはしづらいし、ミニマムなゲームかつ今までにないものを志向していくと、自然とリソース管理ゲームになるような感じはある。それか、先ほど言っていた世界観・ビジュアルで魅せるゲームにするか。
フリーゲームにおける「クトゥルフ」の人気
- すんくぼ
- 世界観という意味では、クトゥルフ系のゲームも増えてきた。
- 水原由紀
- ここしばらくTRPG方面で人気を博していたクトゥルフ系ですが、昨今になってフリゲ方面にも入ってきたって感じなんでしょか。昔からクトゥルフモチーフのフリーゲーム自体はあるとは思いますが、どうなんでしょ。ビジュアルノベル系は結構ありますよね。ただクトゥルフ自体が幅広く、TRPGプレイヤー以外にも知られるようになったのってここ数年のような気がします。
- poroLogue
- フリゲの作品だと、先日記事にした『クトゥルフの弔詞』も人気作だったけど、最近だとクトゥルフRPGの『SAVE』や『if.C』が発表されたり、フリゲ方面にもまたクトゥルフ人気が来たのかもしれないね。
『クトゥルフの弔詞』(DLはこちら)
『SAVE』(DLはこちら)
『if.C』(DLはこちら)
- Noah
- 探してみたところだと、意外に腰を据えてクトゥルフ全開です、というよりは、ゲームのモチーフが、分かる人にはわかるぐらいのクトゥルフ要素、っていうのが昔は多かった気がする。『ヴァーレントゥーガ』とかそうなのかな。
- poroLogue
- ヴァーレントゥーガは、敵の勢力のひとつに、クトゥルフの要素を持った敵キャラクターがでてたりするね、テーマとして扱っていると言うよりは、まさに「わかるぐらいの要素」だけど。ちなみに『SAVE』がこれまでのクトゥルフのフリゲと違うのは、クトゥルフという要素を押し出しつつも、キャラクターの造詣としては、「おぞましくもかわいい」という新ジャンルを立てたことかもしれない。
- Noah
- 今までは、「クトゥルフって知ってる?」「クトゥルフ知らないかもしれないけど」から入り気味だったのが、今は「クトゥルフ知ってるよね!」って感じになってきている感はあるね、TRPGとか色々なもので知ってる人が実際に増えてきているのかな。
- 水原由紀
- CoCと、ニャル子さんがきっかけかなあ……。(※CoC…Call of Cthulhuの略。TRPG作品『クトゥルフの呼び声』のこと)
- すんくぼ
- それだけ多くの人を惹きつけて、ジャンルを超えて広がっていく世界観というのもなかなかすごい。
- Noah
- クトゥルフ神話は、設定としてはキャラクターも立ってて世界観も面白いし、特定のイデオロギーに染まっていないという意味で他の神話よりも扱いやすいかも。「リソース管理」+「クトゥルフ神話」なフリゲとか面白いかもしれない。
フリゲの人気ジャンル「ホラーゲーム」。その傾向の変化を追う
poroLogue
人気の要素を組み合わせて新しいゲームを作る試みは面白いかもしれないね。このまえ遊んだ﹃バグのセカイ﹄も、ホラー×バグという要素を組み合わせた作品で人気になってたね。
フリーホラーゲーム﹃バグのセカイ﹄。バグったゲームが、現実を侵食する。
『バグのセカイ』(DLはこちら)
- すんくぼ
- 『バグのセカイ』はだいぶ話題になっていたね。
poroLogue
﹁ふりーむ!﹂に上がってたときに一目見て気になったんだけど、決して一発ネタというわけではなくて、演出としても、ゲームとしても非常に丁寧に作られていた。ファミコンのバグを思い出す世界は凄い怖いんだよね。
- 水原由紀
- あれ『零』シリーズの『刺青の聲』的な、現実に異世界が侵食してくる系でしたね。
- Noah
- フリーゲーム界でも単にホラーゲームというだけではなくて、演出や世界観として斬新さにこだわった作品が出てきて幅が広がっている感じはあるね。逆に、お化け屋敷的なホラーゲームというだけだと今はタイトルが多すぎて、ちょい厳しい感じはある。もちろん継続的に出ているホラーゲームは厳しい競争を勝ち抜いているだけあってすごいのが多いけど。
- 水原由紀
- 言われてみれば2012~2014年ごろと比較して厳しくなってきてますね。数も多いし。
すんくぼ
ホラーアドベンチャーは、確かにかなり独特なものじゃないと生き残れなくなってきている感。昨年末に出て今年にヒットした﹃獄都事変﹄とか、キャラクターがほぼ全員男で女性受けしたりとか、雰囲気が洋風っぽさがなくて戦前の日本っぽかったりと、かなり独特でした。
フリーゲーム﹃獄都事変﹄。個性的な獄卒たちと亡霊のホラーアドベンチャーゲーム。
『獄都事変』(DLはこちら)
poroLogue
﹃獄都事変﹄はかなりヒットしているよね、キャラクターの人気も高くて、これまでになかったホラゲという印象があった。あとは、ホラーゲームの中でも演出にこだわったゲームといえば、さいきんプレイした﹃虚白ノ夢﹄は、グラフィックの怖さだけではなくて、徹底的にマップの雰囲気や演出で怖がらせてくるので、久しぶりに進めるのが怖くなってしまった作品だった…w
フリーホラーゲーム﹃虚白ノ夢﹄。運命に囚われた少女の物語と、巧みな恐怖演出が味わえる
『虚白ノ夢』(DLはこちら)
- Noah
- 『虚白ノ夢』はそういう作品なのねー。
- poroLogue
- さいきん自分が遊んだホラゲだと『無痛少女』や『雨宿バス停留所』も、おそろしい怪物の造詣がホラーゲームとしてとても怖くて印象的だったんだけど、『虚白ノ夢』はその逆を突く感じで、マップを歩いてるときに出る音とか、細かい演出が怖かったんだよね。
『無痛少女』(DLはこちら)
『雨宿バス停留所』(DLはこちら)
- Noah
- 神は細部に宿る。
- poroLogue
- まさに。徹底的に「プレイヤーの心の隙」を突いてくるホラー演出は珍しいと思ったので、ぜひとも体験してほしい作品ではある。
- 水原由紀
- ホラーADVも演出的に進化し続けてるのであれば何よりですね。今後の生き残りはやはり先鋭化やクオリティアップにかかってるってことでもありますから、それはそれでハードルですが。
- poroLogue
- 新しいホラーの形式がどんなものかは今後も見てみたいね。
- すんくぼ
- 露骨に怖がらせる系というところでいくと、恐怖の森の流れを汲む3Dホラーでは『The Rabbit House』があったけど、3Dは3Dで怖がらせ方って難しいんだなあという印象でした。
『The Rabbit House』(DLはこちら)
- poroLogue
- おお、『The Rabbit House』。
- Noah
- ニコニコ動画とかYoutubeの実況でも結構伸びてたしね。
- すんくぼ
- 血を求めているうさぎさんが足音だけ聞こえて、見えないところから近づいてくるのは非常に怖かったですね。あとはステージが単調だったので、もう少しメリハリあると良かったw 惜しい作品という感想です。とはいえ、『The Rabbit House』は単に「おどかし」だけではない怖さを出していくって意味では結構よかったけどね。
- Noah
- いよいよ夏になるんで、これからいろんな怖がらせ方のフリーホラーゲームが増えてくることに期待したいっす。
- すんくぼ
- またホラゲの季節か…。(結局未だにホラーは苦手)
Unity、ツクール、ウディタ…フリゲ制作のための「ツール選択」
- すんくぼ
- ツールの話にもなってきちゃうけど、ついこの前レビューした『少女繭中』はウディタ製のホラーアドベンチャーでした。
『少女繭中』(DLはこちら)
- すんくぼ
- 双子の姉妹のザッピングや、ドロドロしたストーリーもさることながら、ウディタはRPGが多いと思っていたので、移動が横スクロールというところだったり、UIがツクール系のホラゲアドベンチャーと一線を画していたのも印象的。
- poroLogue
- さっきNoahからも出たツール選択の話にもつながるけど、ウディタって意外とアドベンチャーの作品も出ているんだよね。RPGツクールだと『カリス』みたいなシステムにこだわりのある作品が出てくるなか、ウディタはむしろアドベンチャー寄りの作品が作りやすいのかなという印象。
- 水原由紀
- ウディタに比べてツクールの方が、技術コミュニティ的な意味での蓄積があるってことなんでしょうかねえ。
poroLogue
web上の掲示板で以前からあったツクールスレッドなどが、制作者同士の切磋琢磨の場として機能してた側面もあるのかもね。ツールに関しては、作者の方にお話を聞いてると、ウディタやツクールなどで制作しつつ、Unityなどにも移行する動きが出始めている印象を受けます。
- すんくぼ
- Unityも増えてきているんだね。
- Noah
- より自由度の高い開発ツールに移行しているのかな。しばらくはツール選択の時代が続きそう。個人的にはブラウザゲームが来るとは思うんだけどね…やっぱり、ダウンロードの手間なく遊べるというのがブラウザゲームの最大の強みかなと。
- poroLogue
- ブラウザゲームというと、Unityはブラウザ対応してるのもいいよね。さっき挙げた『無痛少女』もunity制のフリーホラゲで、ブラウザでも遊べるね。
- すんくぼ
- Unityは自由度が高い一方で機能も比較的使いやすく、既に知見が色々溜まっていて、マルチな出力ができるというところが魅力的なんだろうなー。さすがにUnreal Engine 4製のフリゲというのはまだ見ないので…w
- 水原由紀
- UE4製のフリゲ……いったいどれだけハイエンドなグラフィックなんだ……。
- poroLogue
- 元々ブラウザ対応していた「ノベルスフィア」や「PLiCy」、今後ブラウザに対応予定の「Script少女のべるちゃん」などツールも増えてきているから、ブラウザゲーム移行の流れは楽しみにしたいね。
- 水原由紀
- 海外のフリゲタイトルだと、Win用-OS X用-ブラウザ用と3つ準備してるのがデフォみたいなところありますからねえ。
「Script少女のべるちゃん」で制作された作品『Killer in the Forest』
ゲーム実況やリアルイベントから見る「コミュニケーション」
- Noah
- というわけで、上半期も盛りだくさんだったフリーゲームですが、最近は皆どこを見てフリーゲームをやっているのだろうか……最近、実況でフリーゲームを知ったって例は減ってるんじゃないかなと思っていたり。
- poroLogue
- フリーゲーム制作者さんがSNSで積極的に情報発信する時代でもあるので、特定の作者さんの作品が好きになった人はそちらを追っていたりするのかなあ。「ふりーむ!」とか「夢現」をチェックするのはコアユーザーだろうか。
- Noah
- 確かに、以前よりはSNSなどでの口コミでの広がりがより強い気はしているかな……何より自分自身がフリーゲームの実況をあまりみなくなってしまった。
- poroLogue
- そうなのか…ちなみに、最近実況を見なくなってしまった理由ってあったりするのかな?
Noah
うーん、体感ではフォローしている実況者さんが任天堂のゲームとかコンシューマをやる機会が多くなったので、目にする機会が減ったのは単純な理由としてはあるかな。﹁なんかそういうデータあるんですか?﹂と言われるとわからないんだけども。
すんくぼ
フリゲ実況自体、あまりランキングで上にこなくなってきている気がする。実際、フリーゲームタグとかで調べた時に、再生数が一定以上になった動画の数はこの上半期すごく少なかった。
水原由紀
最近でもSplatoon発売直後は実況タグ全部Splatoonでしたからね。インクまみれ。なんというか、フリーゲーム実況自体の数が減っているような気がする、というのは体感レベルですが確かにあります。みんなマインクラフトやってるんじゃないか? 的な。
- Noah
- それはあるね。
水原由紀
Co-op要素があるので、ほかの配信者・生主・実況主、さらにリスナーとも交流したり一緒に遊べたり、と。﹁会えるアイドル﹂じゃありませんが﹁一緒に遊べるタイトル﹂の人気がすごいですね。
- poroLogue
- 多人数プレイが出来るゲームの実況も人気になってきたってことかあ。
- 水原由紀
- フリゲの実況だと、基本的には実況主(=プレイヤー)のプレイを見ている・そのリアクションを楽しむ、というだけですが、こういった一緒に遊べる、マルチプレイ搭載のゲームだとその体験をほんとに共有できるのが強いなあ、と。
- Noah
- たぶん、皆ゲーム実況者のしゃべりが聞きたいので、本質的にはフリーゲームではなくてもいいんだと思う。どちらかと言うと、マインクラフトのような題材での、コミュニケーション性みたいなのが楽しいのかもしれない。
- 水原由紀
- フリゲのリアルイベントが盛り上がってるのもそういう需要なのかもしれませんねえ。仮想であれリアルであれ、同じ空間を共有するというか。
- すんくぼ
- なるほどねー。ただ見るだけの共有から、ゲーム自体の体験の共有みたいなところにより共有の度合いが深まってきた感。
- 水原由紀
- まあ取り上げてるゲームの性質ではなく実況者や生主の性質が真っ先に出てきますからねえ。
- poroLogue
- リアルイベントと言えば、ゲルテナ展の記事はすごい反響があったね。さっき話していた「ブラウザ化」と「リアルイベント化」の流れは増えてくると楽しそうだなあと思う。
『ib』(DLはこちら)
- Noah
- コミュニケーションの極致みたいなところもあるからね、リアルイベントは。
- poroLogue
- ああたしかに、そう考えると、実況のコミュニケーション性の楽しみとも繋がる気はするね。
- Noah
- よりリアルなユーザー同士のコミュニケーションという方向性に進みつつあったり、ゲームそれ自体から、「ゲームを楽しむ人」という人間にスポットライトがあたっている状況はなかなか面白い感じはあるかも。
2015年上半期・もぐらゲームスメンバーのお気に入りフリゲは?
- Noah
- それじゃあ、折角なので、この上半期イチオシだったフリーゲームをそれぞれ発表して終わりましょうか。
poroLogue
恒例のイチオシフリゲ…じゃあ、一旦自分から行きますかね。自分は﹃嘘つきジニーと磔刑の国﹄かな。人気のフリゲRPG﹃停滞少女﹄の作者の方の新作なのだけど、今回の話題にもでた﹁リソース管理﹂という要素に注目した、アナログゲームのような細やかさが楽しめる作品だったと思う。
フリーゲームRPG﹃嘘つきジニーと磔刑の国﹄。倒した敵を入手して戦わせる、戦術性の高いゲームデザインが光る
『嘘つきジニーと磔刑の国』(DLはこちら)
- Noah
- 今回も出た話として、リソース管理ゲームというのはやっぱり要素として面白いですよね。
- すんくぼ
- ゲームをプレイする上での、やりごたえ みたいなところに関わるのかなあ。
- 水原由紀
- 『停滞少女』のころと比較するとガッチガチにシステム作ってますよね。面白かった。マテンロウ計画さんの新作が出たことはホントに喜ばしいです。
- poroLogue
- やりごたえという意味だと、試行錯誤してなんとか敵を攻略するという、用意されたハードルを越える楽しみに特化してる面もあるから、自分とゲームとの戦いという感じもある笑 お次は水原さんどうですかな。
- 水原由紀
- えっと、これ……話の流れ的に、『ざくざくアクターズ』以外に何を言えばいいんでしょうか……というか前回の座談会の時点でそういう前フリされてましたよね?(笑)
『ざくざくアクターズ』(DLはこちら)
- すんくぼ
- 2015年ベストはざくアクという発言がww
- poroLogue
- そういえば前フリがそうだったっけw
- Noah
- 期待に違わぬという感じですね。
- poroLogue
- 『らんダン』の作者の期待の新作という事で、今年のベストにあげる人も多いのではないかな。より進化した探索と物語の楽しみを味わえるよね。
- 水原由紀
- キャラゲー的にもRPG的にも素晴らしかったです。まだ要素を追加していく予定らしいのでまだまだ楽しみが続きますね!
- poroLogue
- 進化を続ける『ざくアク』…お次はNoah氏どうでしょう。
Noah
うーん、それが、自分はこの上半期出たフリーゲームで、というと、絶対これ、というイチオシのものはなかったかなという感じです。プレイがやや浅かったのかもしれないけど、絶対これはプレイしないと、というものはあまりなかった……。個人的にプレイしたゲームでは2012年に発表されてる﹃ぼくは勇者じゃないよ﹄が面白かったんだけど。
﹁王道﹂からの魅力的な逸脱 レトロ風フリーゲームRPG﹃ぼくは勇者じゃないよ﹄
『ぼくは勇者じゃないよ』(DLはこちら)
- poroLogue
- 『ぼくは勇者じゃないよ』は、ドット絵のあたたかみがありながらシリアスな物語が印象的だったね。
- Noah
- 僕はちょっと泣くぐらいストーリーが好きでした、あれはよかった。あと、メインじゃないとこでもストーリーが絶妙にエグくて、この上半期のゲームじゃないけどやるべき作品の一つかなと思います。『ユトレピアの伝説』なんかもそのドットゲームの部類なんだろうと思うけど、これも2014年作品でいずれも範囲外でした。
『ユトレピアの伝説』(DLはこちら)
- すんくぼ
- いつやっても楽しい名作ということですな。
- poroLogue
- ドット絵のフリーゲームは定期的に出てくる気がするので、今後も追っていきたいですねえ。
- すんくぼ
- ドット絵は海外でも根強い人気だし、海外製のゲームにも引き続き注目したいね。
- poroLogue
- たしかに。最後のイチオシはすんくぼ氏ですかな。
すんくぼ
プレイした中では異色作ですが﹃インフレクエスト2﹄ですかね。次エリアに移ったときの敵の強さの上がり方が半端無くて、これまでプレイしたどんなRPGとも違うプレイ感が違ったね。その後自分もインフレして、ボスの前に来る頃には片手で捻れるくらいになっているので難易度の曲線みたいなの書いたらすごい振れ幅だった。鬼畜ゲー実況者のまっくすさんが作ったということもあり、鬼畜モードがあったりと、とにかく難易度に対する感覚が異常になるゲームでしたね。
﹃インフレクエスト2﹄人気実況者が400時間かけて作ったフリゲは、インフレが半端ないRPGだった
『インフレクエスト2』(DLはこちら)
- Noah
- 難易度の曲線。
- poroLogue
- インフレというと、RPGではないけども『クッキークリッカー』を思い出すなあ。クリッカーみたいなインフレを取り入れつつ、それをRPGに落とし込んだのが面白いと思った。
- すんくぼ
- あとは未プレイだけど、今年上旬はSTGのフリゲが注目作が多かった気がしていて、死に舞さんが連載で取り上げた『弾幕シミュレーション296』と『MECHA Ritz』はやりたいなあと思って積みゲー状態です。
『弾幕シミュレーション296』(DLはこちら)
『MECHA Ritz』(DLはこちら)
- 水原由紀
- 例年の傾向から言って、夏休みが近づくにしたがって大作もより増えてくるでしょうから、こっから先がどうなるのか楽しみですね。
- すんくぼ
- まだあと半分あるからねえ。
- poroLogue
- たしかに…長編も年末にかけて出てくるだろうし、今年もまだまだ楽しみですね。