日本大学付属校の謎 「日大○○」「○○日大」なぜまちまち
全国高校野球選手権大会が始まりました。予選参加4014校で最大勢力といえば日本大学の付属勢22校。そのうち1校が甲子園に駒を進め、1995年以降は途切れることなく毎年出場しています。以前から気になっていたのですが、同じ付属校なのになぜか校名が﹁日大○○﹂﹁○○日大﹂とまちまちです。何か理由があるのでしょうか。
日大のホームページによると付属高校は現在23校あり、所在地も北海道から九州まで全国に広がっています。ただし、校名の由来については詳しい記載がありません。疑問を解消するため、東京都千代田区にある日大本部を訪ねました。
3分類ある付属校
日大広報部によると、付属高校は学校の歴史や運営母体によって違いがあり、付属・準付属・特別付属の3つに分かれるといいます。その分類には基準があり、学校名から容易に判別できることが分かりました。
分類 | 校名 |
---|---|
付属 | 日大、日大桜丘、日大鶴ケ丘、日大藤沢、 日大豊山、日大豊山女子、日大三島、 日大明誠、日大山形、日大習志野、日大東北 |
準付属 | 大垣日大、土浦日大、岩瀬日大、宮崎日大、 佐野日大、長崎日大、長野日大、札幌日大 |
特別付属 | 日大一、千葉日大一、日大二、日大三 |
﹁日大+地名﹂など日大が前につく名称は、学校法人日本大学が設置する付属高校で、日大豊山、日大藤沢など関東を中心に11校あります。日大が直接運営しているのが﹁付属﹂です。
一方、今春の選抜大会に出場した大垣日大など﹁地名+日大﹂の学校名になるのが、準付属高校です。日大と特別・準付属校契約を結んだ法人によって設置された高校で、例えば宮崎日大は運営母体が学校法人宮崎日本大学学園。日大とは別の学校法人が運営しているのが﹁準付属﹂で8校あります。
また、今回甲子園に出場している日大三など﹁ナンバースクール﹂4校は特別付属高校に分類されます。かつては日大の付属でしたが終戦直後に分離され、現在は日大と特別・準付属校契約をしている高校を指します。日大三の場合、学校法人日本大学第三学園が、日大一、日大二もそれぞれ別の法人が運営。もともと日大の付属で、その後分離独立した学校が﹁特別付属﹂というわけです。日大三は昨秋の明治神宮大会で優勝、春の選抜でも4強に入り、今大会の優勝候補でもあります。
付属病院名にも違い
一見ばらばらのような付属高校名には、一定のルールがあることが分かり、納得できました。ところで、駿河台日本大学病院、日本大学板橋病院、日本大学練馬光が丘病院といった付属病院名にもばらつきが見られます。高校と同じ区分でもあるのでしょうか。
日大に問い合わせたところ高校のような分類はなく、駿河台病院だけ﹁日大﹂が後にくるのは、東京都へ届け出た医療機関名による違いだけだということでした。学内では﹁○○病院﹂と呼んでいるため、大学名の前後はほとんど関係ないそうです。
﹁この名前は順序が逆じゃなかったか?﹂。新聞記事の校閲をしていると合併した企業の名前などについて疑問に思うことがたびたびあります。固有名詞を正しく表記するには資料などできちんと確認することが大事ですが、このような﹁知識﹂も必要になってきます。
︵小林肇︶