日銀、景気判断を上方修正 金融政策は現状維持
共通担保オペ言及なし
日銀は10~11日に開いた金融政策決定会合で、﹁量的・質的金融緩和﹂を継続する方針を全員一致で決めた。公表文では﹁マネタリーベース︵資金供給量︶を年間60兆から70兆円に相当するペースで増加するように金融市場調節を行う﹂との方針を維持した。景気判断は6カ月続けて引き上げた。
共通担保方式の資金供給オペの期間延長に関する決定や提案はなかった。一方、昨年12月に導入を決めた﹁貸出増加を支援するための資金供給﹂の実施予定を会合結果の公表文と同時に公表。期間3年間の低利による資金供給の総額が3兆円弱に及ぶことを明示した。
金融政策運営については、消費者物価の前年比上昇率で2%とする﹁物価安定の目標﹂の実現を目指し、﹁安定的に持続するために必要な時点まで﹃量的・質的金融緩和﹄を継続する﹂と述べ、﹁上下双方のリスク要因を点検し、必要な調整をする﹂とした。
これに関して木内登英審議委員が﹁2%の物価安定の目標の実現は中長期的に目指すとしたうえで、﹃量的・質的金融緩和﹄を2年程度の集中対応措置と位置付ける﹂との議案を提出した。同議案は賛成が木内氏の1人、反対が8人で否決された。
国内景気については﹁持ち直している﹂として、前月に示した﹁持ち直しつつある﹂との判断を前進させた。海外経済が﹁全体としては徐々に持ち直しに向かっている﹂との見方を示したうえで、輸出は﹁持ち直している﹂と指摘。前月の﹁下げ止まっている﹂との判断を改めた。
消費者物価の前年比は﹁マイナスとなっている﹂との見方を維持。予想物価上昇率に関しては前月と同様に﹁上昇を示唆する指標がみられる﹂との判断を改めて示した。
景気の先行きについては、﹁緩やかな回復経路に復してく﹂との見通しを維持。物価の先行きは﹁次第にプラスに転じていく﹂と指摘し、前月の﹁マイナス幅を縮小したあと﹂との記述を削除した。リスク要因をめぐる記述に変化はなかった。
黒田東彦総裁は15時30分から記者会見を開き、決定の背景や景気の現状、最近の金融市場の動きについて語る見通しだ。︹日経QUICKニュース︵NQN︶︺