「クラウドデザインパターン」をAmazonが公開。システム冗長化、突発的トラフィック対応、動的コンテンツ処理など45種類
2012年3月5日
Amazonクラウドを使ったシステム設計の際に直面する典型的な問題に対して、解決策を分かりやすく分類、解説した「AWSクラウドデザインパターン」(略称CDP)が公開されました。Facebookページも開設されています。
作成したのはAmazonのスタッフやサードパーティのエンジニアら。
CDPのWebサイトはWikiで作られているため、誰でも新たなデザインパターンなどを追加可能。現在45種類のパターンが登録されており﹁あと3つ加えると“CDP48”と言えるようになるので、ぜひ追加してください﹂︵玉川氏。JAWS Summit 2012でCDPの公開について説明した際に︶と、呼びかけています。
45種類のパターンが9のカテゴリに分類
それぞれのパターンには、名前、解決したい課題、クラウドでの解決方法、実装方法、解説図、メリットと注意点、関連パターン情報などが含まれています。 例えば、サーバの障害時やバージョンアップ時に瞬時にサーバ切り替えを行いたいときに使えるのが﹁Floating IPパターン﹂。Elastic IP Addressサービスを利用してサーバのIPアドレスを付け替えることでサーバの入れ替えを実現すると説明されています。 1台のWebサーバから、負荷が増えてWebサーバを増やしていくときに使えるのが﹁Clone Serverパターン﹂。マスタサーバのコンテンツをrsyncでコピーする方法を選択することで、マスタサーバの変更をせずに負荷分散ができますが、マスターサーバが単一障害点になるデメリットもあると説明されています。 処理待ちをキューで管理し、処理要求が一定上増えたら自動的に処理サーバを追加したい、という要求に対応できるのが﹁Job Observerパターン﹂。 こうしたパターンが以下の9つのカテゴリに分類されています。 ●基本パターン ●可用性を高めるパターン ●動的コンテンツを処理するパターン ●静的コンテンツを処理するパターン ●クラウドへデータをアップロードするパターン ●リレーショナル・データベースのパターン ●バッチ処理のパターン ●運用保守のパターン ●ネットワークのパターンパターンを組み合わせたシナリオも解説
3月3日に行われたAmazonクラウドのイベント﹁JAWS Summit 2012﹂では、このデザインパターン公開の発表とともに、デザインパターンを組み合わせてソリューションを構築する3つのシナリオについてのセッションが行われました。 1つ目のシナリオは、画像や動画など静的なファイルのコンテンツを多くのユーザーに配信するWebサイトを、Movable Typeを利用して構築するシナリオ。2つ目は可用性、耐障害性が求められるECサイトを、EC-Cubeを利用して構築するシナリオ。3つ目は、キャンペーンやマスメディアの露出などによって突発的なトラフィックの発生が予想されるWebサイトをWordpressを利用して構築するシナリオです。 それぞれのセッションの動画が公開されているので、以下に紹介しておきます。 コンテンツ配信サイト構築シナリオ ECサイト構築シナリオ キャンペーンサイト構築シナリオあわせて読みたい
≫次の記事
「クラウドアーキテクティング原則」。クラウドデザインパターンの背後にある、システム設計の原則とは
≪前の記事
Amazon CTOに聞く、NoSQLデータベース「DynamoDB」がクラウドに何をもたらすのか?
「クラウドアーキテクティング原則」。クラウドデザインパターンの背後にある、システム設計の原則とは
≪前の記事
Amazon CTOに聞く、NoSQLデータベース「DynamoDB」がクラウドに何をもたらすのか?