第四回 「晴れ薬」
必ず晴れるロシアの祝日。恐るべきロシアの天気操作技術。
日本はもう梅雨の季節でしょうか?
ロシアは白樺の幹とグリーンの葉のコントラストが美しい季節になりました。一年のうちで最もさわやかで過ごしやすい季節です。
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記念式典が行われるモスクワ中心のクレムリン。
国家の重要な祝日には必ず晴れます。 |
さて、ロシアでは、戦勝記念日(5月9日︶、モスクワ市の日︵9月初め︶、サンクトペテルブルク300周年記念式典︵2003年5月29日︶など、重要な祝日には必ずといってよいほど晴れます。
いや、曇りの日もあったと思いますが、私が知っている限りは、少なくとも雨が降ったことがありません。どうしてでしょうか?
実は、ロシアではこの日、国家レベルで大規模な﹁雨雲払い﹂が行われているのです!
えっ? それはなんですか?
う〜ん。つまりですね・・・・そのための技術が確立しており、ほんとうに運用されており、その結果、きちんと晴れてるということです(→詳細は後述)。
晴れを人工的に作り出す技術は、1960年代から実用化され、1970年終わりごろから︵1980年のモスクワオリンピック、11月と5月の労働パレードなど︶大都市での大式典の際に実施されるようになりました。
なんと、モスクワでは1981年より今まで、大きな祭日︵デモやパレード、共産土曜奉仕日、モスクワ市の日︶には一度も雨が降ったことはないのです︵驚異!︶。
天気を良くする理論はどの国でも知られているそうですが、本格的に運用されているのはロシアだけ。この分野の研究は戦前より行われ、実用技術ではロシアは今、文句なしに世界のトップを走っているといいます。
外国でもロシアの技術者が活躍しています。ウズベキスタンのイスラム教の祭典のために良い天気を作り出したり、ベニスでは濃霧対策をおこなったり、キューバやイラン、クウェートでは逆に雨を降らせているとのことです。
【関係者インタビューより】
・「いまは事実上なんでもできる。雨雲を追い払うことは簡単。雨を呼ぶことも楽々。ひょうを防ぐこともできますよ」(大統領府事務総長)
・「必要な量の雲を散らす薬は購入済み。戦勝記念日に雲を「攻撃」するにあたって、我々は千トンのドライアイスとそのために必要な量の液体窒素を用意する」(市財務局長)。
・「臨戦態勢でのぞむ」とのこと。しかも市の予算を堂々と使っている。
・ロシア戦勝記念日の間(2005年5月7〜9日)、雨雲を追い払うため市は約100万ドル(約1億1千万円)を投じた。「この日のために用意されているひとつの催しも、雨のために中止になってはいけない」(モスクワ市住宅経済整備局長)→気合い入りすぎ |
ちなみに、モスクワ市の日のときは飛行機が2交代制で待機。最大8時間滞空できる飛行機が用意されるそうです︵やりすぎでは?︶。ペテルブルグ300周年記念祝典の時にも、2千6百万ルーブル︵約1億円︶が費やされたとのこと︵国民の血税をそんなに使っていいのか?︶。祝日を晴れにするためにロシア緊急事態省、市内務省、空軍、気象観測所、気象台の何百人もの専門家が参加するといいます︵なにもそこまでしなくても・・・︶
さてこの﹁晴れをつくりだす技術﹂。実際にどのような手順で行われるのでしょうか?
︻﹁良い天気づくり﹂作戦の概要︼︵2005年5月戦勝記念日の場合︶
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イメージ図(実は航空ショーの様子)。 |
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気象観測飛行機 |
・まず気象衛星や地上気象観測装置、気象観測飛行機で分析。
・雲行きが怪しくなり次第、特別装備(天候観測装置や雲に作用する物質など)の12機の空軍機(イリューシン18等)がスクランブル発進。
・方位探知機のデータはすべてコクピットに無線で伝えられ、雨の可能性がある場所は電波探知機の画面に赤色で表示される(本格的すぎ)。
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どどどど〜と「晴れ薬(?)」撒きまくりの様子 |
![](danyaku.jpg) |
これが雨雲を「せん滅」する「ヨード銀」入り「弾薬」!
まさに戦争!
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・﹁良い天気づくり﹂作戦は朝7時から夜11時まで行われる。
・飛行機はモスクワ100kmゾーンで液体窒素とドライアイスを散布することによって、雨雲を追い払う。
・飛行機から空中散布される﹁晴れ薬﹂として使われるのは、液体窒素、ヨード銀の弾薬、粉上物質、炭酸ガスなど、雲の種類にあった成分が使われる。
・ドライアイスが低層の雲を薄め、液体窒素が雨層雲を散らし、ヨード銀の弾薬包が雨積雲をせん滅する︵気分はもう戦争!︶。
・飛行機の機体につけられたとりつけれた銃火発生装置から雲に﹁一斉射撃﹂をくわえる。
・その結果、雲は霧散し、目的地︵つまり町︶に達する以前に雨となって地面に落ちる。
・つまり、町に近づく前に雨を降らせる。水分をなくした雲は都市に入ったときにはすでに雨雲ではなくなっている
・・・と、分かったような分からないような・・・、そういうしくみらしいです(笑)
しかし、すごい技術と気合いの入りようですねぇ〜。ほんとうにやっているのですね〜(笑)。私はロシアに来て、最初これを聞いたとき、信じられませんでした。その後、日本の友人にも話したのですが、みんな信じてくれませんでした。ひよこさんも信じてくれませんでした。
もっとも学者の話では、薬品が効かない雲もあるので、100%晴れる保証はないとのことですが、いままでの﹁成果﹂︵24年間、記念日に雨なし︶を考えるとこれは十分スゴイ・・・。
さて、気になる環境への影響ですが、専門家によるとドライアイスや液体窒素は環境に無害とのこと。﹁環境に優しい物質を使っている﹂と関係者は強調しています。
﹁すべてモスクワ郊外、50〜150km地域に散布。薬品は攻撃的なものではなく、モスクワ市の環境に影響することもない﹂とは、空軍のスポークスマンの弁。
しかし、薬まかれた上に雨を降らされる大都市郊外の住人はたまったものじゃないですよね〜。
![](DSCF0776-70.JPG) |
ちなみに、このような(雨雲をつくりだす?)
地上装置もあるそうです。 |
さて、散布薬の効果がなくなった後の天気への影響について、専門家は問題ないと言っていますが、多くのモスクワ住人が
﹁人工的に良い天気を作り出した後は、1週間雨が続く﹂
と苦情を言っているそうです。
これは、神の領域に近づいた人類への警告なのかどうか・・・︵ようわからん・・・︶
︵以上の情報ソースはすべて現地のロシアの新聞・雑誌・インターネットの記事より集めたものです︶。
gonza 2005/6/3
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