TX開業10年

千葉県の5駅周辺も大きく発展 槌音鳴りやまず

つくばエクスプレス・流山おおたかの森駅近くには高層マンションが建ち並ぶ。周囲には開発途中の土地も多い=千葉県流山市西初石(山本浩輔撮影)
つくばエクスプレス・流山おおたかの森駅近くには高層マンションが建ち並ぶ。周囲には開発途中の土地も多い=千葉県流山市西初石(山本浩輔撮影)

千葉県の柏、流山市民の交通環境を激変させたつくばエクスプレス(TX)が、開業10周年を迎えた。かつては「大きな建物」がほとんどなかった両市内のTX駅周辺には高層マンションが立ち並び、10年間で各駅前の風景も一変。いまも開発の槌音は鳴りやまない。

TXは平成17年8月24日に開業した。秋葉原(東京都千代田区)-つくば(茨城県つくば市)間の東京都、埼玉県、千葉県、茨城県内に20駅ある。県内では南流山、流山セントラルパーク、流山おおたかの森の3駅が流山市内に、柏の葉キャンパス、柏たなかの2駅が柏市内に造られた。

中でも、新興住宅街の代表的な駅として地域に定着しているのが、流山おおたかの森駅だ。JRの駅もあり「TX以前」から開発が行われていた南流山駅の周辺地区も大型マンション建設が進んでいる。

1日の乗降客(今年6月)は、南流山駅が3万3600人、流山おおたかの森駅が3万3500人。両駅はTXでは秋葉原駅(6万2800人)、北千住駅(東京、4万4800人)に次ぐ3、4位となっており、5位以下に大差をつける。総務省がまとめた昨年の人口移動報告では流山市が2387人のプラスで県内トップとなっており、これが「TX効果」によることは両駅の乗降客数からも疑いない。

同市はこの好調を、共働き世代にターゲットを絞った誘致策の成果と分析する。観光資源や産業も少ない同市は市の将来をTXにかけ、開業直前の16年に近隣市との人口争奪戦に勝つため庁内にマーケティング課を設置した。「母になるなら流山市」のキャッチコピーを掲げ、子育て施策の充実をアピール。都内主要駅には住民誘致のイメージポスターを掲示した。

新住民の購買力にも着目し、流山おおたかの森駅前には、高級な衣料や食材が手に入る大型ショッピングセンターを配置。多くの買い物客を集める。




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流山、柏両市の沿線開発の競い合いはさらに激しさを増しそうだ。(江田隆一)

つくばエクスプレス

秋葉原-つくば間58・3キロを最短45分で結ぶ。昭和60年の運輸政策審議会答申で具体化し、平成3年に1都3県と沿線自治体が出資して運営会社の首都圏新都市鉄道が設立され、17年8月24日開業。17年度の1日当たり輸送人員は15万人。26年度は32万6千人。

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