【ニューデリー=岩田智雄】インド南部ケララ州トリバンドラムで行われた国際映画祭の会場で、上映前の国歌を流している最中に起立しなかったインド人の男女12人が、「無礼な行為だ」として、公務員の命令に対する不服従の疑いで地元の警察に逮捕された。インドの最高裁が最近、映画館では上映前に国歌を流し、観客は起立しなければならないとの判断を示したことを受けた措置という。
騒ぎが起きたのは12日。警察によれば、12人は国歌が流れている間、周囲からの起立要請に応じなかった。いずれもまもなく釈放されたが、罰金を科せられる可能性が高いという。
現地紙インディアン・エクスプレスによると、逮捕された1人は、観客が席を取り合っていたため、立ったら席がなくなると思ったと説明したという。
PTI通信によれば、逮捕を問題視した市民らが13日、トリバンドラムの会場前で﹁映画館は娯楽を売る場所だ﹂などと書かれたプラカードを掲げて抗議運動を行った。
南部タミルナド州チェンナイの警察によれば、市内の映画館でも11日、男女7人が国歌の最中に起立しなかったところ、別の集団に暴行を受ける事件が発生した。