睡人亭トップ→睡人亭亭主プロフィール
亭主簡介
個人情報
●山田 崇仁︵やまだ たかひと︶ 偉そうな名前ですが、一応これが本名です。 ●出生地‥尾張国 ●現住所‥洛中 ●資格‥博士︵文学 立命館大学︶現職
●国立大学法人滋賀大学非常勤講師 ●立命館大学非常勤講師元職
●立命館大学文学部一号助手 ●聖泉大学非常勤講師 ●日本学術振興会特別研究員︵PD︶ ●京都大学人文科学研究所 21世紀COEプログラム﹁東アジア世界の人文情報学研究教育拠点﹂ COE研究員専門
●中国先秦史 特に春秋史 今の所、政治史や軍事史を中心に研究中 最近、中国史学に於けるコンピュータの利用についても、研究? を進めている︵趣味という話も・・・︶趣味
●歴史研究??? ●コンピュータいじり︵専門と変わらない…︶。最近は時間がないのでやっていませんが、学生の頃はよくゲームセンターに行ったり、徹夜でファミコンをしていました。 ● 他にもクラシック︵最近気に入っているのは、バッハとモンティベルディ︶・姫神・マドレデウス等を聞くのも好きです。最近はザバダックもお気に入りです。CDも300枚以上は有ると思うんですが、詳しいことは不明・・・ ●読書は、必要上、歴史関係が主です。西洋史・日本史等も興味の赴くままに読んでます。 ●なにげに読むと言うより、その時々の研究対象や、気になったことを中心に本を漁る事が多いです。システム構成
●一応自作機︵WinXP, VISTA︶, IBM ThinkPad X61 ●Webサイト開発環境 ●Em Editor8︵要するに手書き︶ ●閲覧チェック環境 ●Internet Explorer︵今は8系列︶ ●Mozilla Firefox︵今は3.5系列︶ ●Google Chrome︵今は2.*系列︶学術業績
単行本
- 『電脳中国学』(共著) 漢字文献情報処理研究会 好文出版 1998-11
- 『電脳中国学2』(共著) 漢字文献情報処理研究会編 好文出版 2001-11
- 『パソコン悠々漢字術2001』(共著) 文字鏡研究会編 紀伊国屋書店 2000-12
- 『パソコン悠々漢字術2002』(共著) 文字鏡研究会編 紀伊国屋書店 2002-4
論文︵特に断り無きときは単著き︶
﹁春秋楚覇考﹂修士学位請求論文 ︵1995年3月︶立命館大学 春秋期の大国である楚国の覇業とはいかなるものであったかについて考察した論文。改稿して論文02として公開。本論文により、立命館大学より修士︵文学︶の学位を授与された。 ﹁淅川下寺春秋楚墓考-二号墓の被葬者とその時代-﹂ ﹃史林﹄京都大学80-4︵1997︶ pp.67-93 河南省最南部の淅川から出土した楚墓のうち、最大規模の二号墓の被葬者が、報告書に示してある被葬者とは異なり、春秋後期初頭の政権担当者である人物の墓である事を証明し、彼の一族の盛衰と彼の政治的役割について考察した論文。 ﹁東洋学におけるインターネットの利用について﹂ ﹃人文学と情報処理﹄15号︵1997︶ pp.63-68 1997年当時の東洋学におけるインターネット利用について、問題点の解説やインターネットリソースの紹介を中心に述べた論文。 ﹁春秋楚覇考-楚の対中原戦略-﹂ ﹃立命館文学﹄第544号︵1988︶ pp.24-52 論文01を改稿したもの。但し本論文には、新たに春秋期の人口を基準とした国力比較という観点から、楚覇と中原の晉覇の特徴について述べた章が加わっている。 ﹁春秋楚国研究﹂ 博士学位請求論文︵1998年3月︶ 立命館大学 楚の王や貴族たる世族の系譜・世族そのもの・楚覇についての三点を主軸に、春秋期楚国について分析を試みた論文。本論文により、立命館大学より博士︵文学︶の学位を授与された。 ﹁電脳東洋学を語る前に―漢字を巡る問題と﹃康煕字典﹄―﹂ ﹃人文学と情報処理﹄24号︵1999︶ pp.2-7 1999年当時、話題となっていた日本文芸家協会等によるJIS漢字コードやUnicodeへの批判について、それが如何に漢字に関しての無理解とヒステリー的状況から生み出されてきたのかを、批判者が金科玉条のように挙げる﹃康熙字典﹄を使って反批判した論文。 ﹁電子テキストと中国古典―﹁書物の情報表示形式の適正化﹂を媒介として―﹂ ﹃人文学と情報処理﹄24号︵1999︶ pp.79-84 電子テキストには、印刷された書物とは異なる書式が求められているのではないか、という観点を、﹁書物の情報表示形式の適正化﹂をキーワードに述べた論文。 ﹁﹃國語﹄韋昭注引系譜資料について―N-gram統計解析法による分析―﹂ ﹃立命館史学﹄22号︵2001︶ pp.38-75 ﹃國語﹄に対する諸注釈のうち、三国呉の韋昭よる注釈︵以下韋昭注と略︶が纏まって現存する最古のものである。韋昭注序には彼の用いた資料が記されるが、そこでは﹁系譜については﹃世本﹄を参考にした。﹂と述べる。韋昭注で﹃世本﹄の引用を明言する部分は極僅かだが、それとは別に系譜関係の注文が数多く見られ、序文から判断する限り、これらは﹃世本﹄を典拠とする可能性がある。そこで本論では、韋昭注に見られる系譜関連の注文を分析し、それが﹃世本﹄の佚文か否かについて検討する事を主題とする。本論で試みた、既存佚文のN-gram解析の結果を利用して他の文献との比較分析という作業自体の有効性は、﹃世本﹄の系譜関係の文書構造の想定と、今まで知られていなかった﹃世本﹄佚文の発見及び可能性の提示という形で実を結んだ。 ﹁電脳東洋学的授業の試み授業の実践報告﹂ ﹃漢字文献情報処理研究﹄第3号︵2002︶漢字文献情報処理研究会 pp.62-67 コンピュータやインターネットの情報ツールを、専門分野の教育にどういかしたらよいかについて、授業の実践報告を兼ねてまとめたもの。現在でも中国歴史学を対照とした同様の講座は、申請者しか行っていない。 ﹁歴史記録としての﹃春秋﹄―N-gramモデルと統計解析法による分析―﹂ ﹃中國古代史論叢﹄︵2004︶ 立命館東洋史学会叢書二 pp.横13-42 中国哲学の根本経典である﹃春秋﹄は、魯国の年代記に対する解釈手法をその方法論とする。では、﹃春秋﹄自身を歴史記録として見た場合、どの様な特徴が現れるかについて、N-gram方式による言葉の数値化を元に分析したもの。これによって、﹃春秋﹄は魯を中心とした情報の密度の濃淡や、春秋期の画期となった晋覇の影響を大きく受けた事が明らかとなった。 ﹁﹃孟子﹄の成書時期について―N-gramと統計的手法を利用した分析―﹂ ﹃立命館東洋史学﹄第27号︵2004︶ pp.横1-27 学会発表06を論文にしたもの。﹃孟子﹄のテキストをN-gram方式で数値化した情報を分析した結果、﹃孟子﹄にみえる孟子の言葉は、孟子自身のそれを記録したもの︵孟子に仮託した後世の言説ではない︶事を明らかにした論文。これにより、﹃孟子﹄が前4世紀末の言語資料として使用可能なことが確定された。 ﹁中国戦国期の語彙量について―N-gramとユールのK特性値を利用した分析―﹂ ﹃漢字文献情報処理研究﹄第5号︵2004︶ pp.93-101 戦国期の諸子百家文献を定量的な視点から分析した論文。その手法として、N-gram方式によって収集された語彙の総量をユールのK-特性値を用いて分析した。本論で行った語彙の総量や独自あるいは共用される語彙を数値化した値を分析した結果、儒家・道家は多様な言葉を保持し、墨家は貧困、法家︵韓非子︶は洗練、雑家︵﹃呂氏春秋﹄︶は諸学を折衷した言葉を用いている事が明らかとなった。また、時系列で見れば、言葉の多様性は前3世紀初唐を一つのピークとなり、前3世紀後半には言葉を整理して絞り込む方向性を見せる事が確認された。この推移は、天下統一へと移る時代を反映して、言葉も前3世紀後半以降新たな言葉︵概念︶の乱立が収まり、一定の整理の方向へと向かっていたことを反映していると評価することができる。 ﹁﹃礼記﹄中庸篇の成書時期について―N-gramモデルを利用した分析―﹂ ﹃中国古代史論叢﹄続集︵2005︶ 立命館東洋史学会叢書四 pp.97-143 ﹁﹃周禮﹄の成書時期・地域について﹂ ﹃中国古代史論叢﹄三集︵2006︶ 立命館東洋史学会叢書五 pp.96-150 13, 14は、N-gram方式によって収集された数値化された文字列傾向を、複数の手段を用いて分析し、それぞれの文献が何時・何処で成書されたかを考察した研究である。本論での分析の結果、﹃中庸﹄は前4世紀前半と﹃孟子﹄以前に存在した二つのテキスト群を前3世紀後半に新たなテキスト群を付加してまとめたもの。また、﹃周禮﹄は前三世紀後半に戦国の齊の稷下の学問を反映して編纂されたものと結論づけた。 ﹁春秋三伝の先後関係について﹂ ﹃東亜文史論叢﹄2006年特集号 東亜歴史文化研究会編︵2006︶ 清末以来、その先後関係について議論がなされてきた﹃春秋左氏傳﹄﹃春秋公羊傳﹄﹃春秋穀梁傳﹄の所謂春秋三伝について、相互の引用関係や百里奚をキーワードとする先秦諸子文献との比較検討から、﹃春秋左氏傳﹄﹃春秋公羊傳﹄﹃春秋穀梁傳﹄の順に成書されたこと。﹃左氏傳﹄は﹃孟子﹄以前、﹃公羊傳﹄と﹃穀梁傳﹄はそれぞれ前3世紀に成書されたことを明らかにした。 ﹁唐代行政地理のデータモデル﹂︵牛根靖裕・白須裕之との共著︶ ﹃情報処理学会研究報告﹄Vol.2007, No.9 ︵2007-CH-73︶。情報処理学会 pp.57-64 京都大学人文科学研究所21世紀COEプログラムに関連する業績の一。﹁唐代行政地理の概念モデル﹂に基づき、実際の史料から概念モデルに即したデータモデルを提示する事を目的とする。内容は、以下の三つに分かれる。(I)﹁唐代行政地理情報﹂についての問題を整理。(II)関連史料の紹介とデータモデルの基本方針の提示。(III)﹃新唐書﹄地理志・﹃元和郡縣圖志﹄の二つの史料を対象としたデータモデルの提示。このモデルにより、単なるテキスト全文検索では実現不可能な﹁時間によって変化する行政区の状態遷移情報﹂﹁史料の内容に則した情報(異説を含めた)﹂の検索が可能となる。 ﹁唐代行政地理の概念モデル﹂︵牛根靖裕・白須裕之との共著︶ ﹃情報処理学会研究報告﹄Vol.2007, No.9 ︵2007-CH-73︶。情報処理学会 pp.49-56 京都大学人文科学研究所21世紀COEプログラムに関連する業績の一。オブジェクト指向分析/設計の成果物の一つに概念モデルがある。概念モデルは対象となる問題領域を理解するために、その問題領域に存在する主要な概念とその関係を表現する。本稿が対象とする問題領域は中国の唐代行政地理に関するものである。唐代の地理に関係する文献を理解するために、府州郡縣等の行政区及び、その設置、廃止、分割、合併、改名、所属の変更などの現象を捉えるための概念モデルを提出する。行政区の静的な情報のためにはクラス図を、行政区のライフサイクルを理解するためには状態遷移図を用いる。また、﹃新唐書﹄地理志、﹃元和郡縣圖志﹄などの文献ごとの概念モデルの違いについても議論する。 ﹁N-gram方式を利用した漢字文献の分析﹂ ﹃立命館白川靜記念東洋文字文化研究紀要﹄第一号 立命館白川静記念東洋文字文化研究所︵2007︶ pp.横1-23 筆者がここ数年行っている研究手法であるN-gram方式による文献分析の手法について、その効能や具体的な方法論・手順についてまとめたもの。複数の論文で同じ事を述べるのは煩雑になるので、基本的な概念や方法論を一個所にまとめ、導論としての役割を期待したもの。 ﹁曖昧な﹁唐代﹂概念﹂︵牛根靖裕との共著︶ 東洋学へのコンピュータ利用 第18回研究セミナー︵2007︶ pp.3-14 京都大学人文科学研究所21世紀COEプログラムに関連する業績の一。﹁唐代﹂と称される概念について、その曖昧さを議論したもの。これは、データベースに登録するなにものかが﹁唐代か否か﹂をどの基準で判断するかという事がどれほど困難かについて整理し︵例‥阿倍仲麻呂はいつから唐代の人物か? 安禄山はいつまで唐代の人物か?︶、COE21のプロジェクト﹁唐代知識ベース﹂では﹁唐代の史料に見えるものは﹁唐代の何か﹂として扱う﹂という方針を提出したもの。 ﹁唐代の行政地理﹂に関する﹁史料﹂問題﹂︵牛根靖裕・白須裕之との共著︶ 東洋学へのコンピュータ利用 第18回研究セミナー︵2007︶ pp.21-32 京都大学人文科学研究所21世紀COEプログラムに関連する業績の一。論文15を改稿したもの。論文15では紙幅の都合で省略した部分を中心に詳細に述べた。 ﹁複数文献を対象とする唐代行政地理情報の統合化﹂︵牛根靖裕・白須裕之との共著︶ ﹃情報処理学会研究報告﹄Vol.2007, No.78 ︵2007-CH-75︶。情報処理学会 pp.39-46 京都大学人文科学研究所21世紀COEプログラムに関連する業績の一。これまでに中国唐代︵618-907︶の行政地理情報をどのように記述したら良いかということについて、その概念モデルを提出した。また、その情報をどのように抽出するかという﹁資料﹂の選択基準の問題についても議論した。本稿は複数の文献が持つ行政地理情報を扱う上での問題点を提出し、基本文献﹃通典﹄州郡典、﹃元和郡縣圖志﹄、﹃舊唐書﹄地理志、﹃新唐書﹄地理志の各々が持つ情報及び概念をどのように統合するかについて議論する。複数の出所を持つ情報の統合という問題は、SemanticWebにおけるオントロジーの分散化とも多くの点で共通点を持つ。本稿では情報統合について、E-connectionsからのアプローチを試みるものである。 ﹁唐代資料引用のための語彙設計―書籍と版本とを対象として―﹂︵牛根靖裕・白須裕之との共著・共同報告︶ ﹃情報処理学会研究報告﹄Vol.2007, No.95 ︵2007-CH-76︶。pp.17-24 ﹁唐代行政地理の地図情報について﹂︵牛根靖裕・白須裕之との共著・共同報告︶ 人文科学とコンピュータシンポジウム︵じんもんこん2007︶論文集 pp.197-205 本稿は、﹁唐代行政区﹂を地図上に表示する際に生ずる問題点について検討する。まず初めに、﹁唐代行政区﹂を地図上に表現するために、行政の中心であった行政府治所の集合として捉えた。そして、地図上への図示は、行政府治所の所在地をマッピングする事で実現する方針を立て、実際のポイント設定手段について述べる。次に、上述の方法で地図上にポイントを設定した﹁唐代行政区﹂を﹁現代の行政区﹂とどの様に関連づけるかについて検討し、対応関係の概念モデルを作成した。歴史史料は、その質・量の制約により得られる情報に制限がある。そのため、﹁唐代行政区﹂の様に平面的な広がりを想定できない地理情報をどの様に扱うか、また現代の地理情報とどの様に関係付けるかについて、本論では抽象化した汎用的概念モデルを提示した。無論、ここでの方法は単に唐代の歴史地理情報のみならず、同様な制限を持つ歴史地理情報を扱う上で参考になるはずである。 ﹁文字なる表記の誕生﹂ ﹃中国古代史論叢﹄五集︵2008︶ 立命館東洋史学会叢書七 pp.73-109 書記言語︵書き言葉︶を使用する際に用いられる記号︵書記記号︶を﹁文字﹂と表記する事例は、始皇帝の建立させた琅邪台の碑文に見えるものがその初発とされてきたが、何故その表記が採用されたのかについて、明確な見解が提示されてこなかった。本論ではこの問題に対し、元々戦国期の言説である﹁書同文﹂を碑文に引用するに際し︵これに対する議論は論文23参照︶、﹁四字句+句末の押韻﹂という碑文の修辞上の制約を充たすために、秦系の書記記号を表す語彙である﹁字﹂を付与したまったくの修辞上の要求から生まれたものであるとした。また、その表記が書記記号を意味するものとして用いたのは、確認できる限り司馬遷が初めての人であり、少なくともそれ以降文字=書記記号の関係が普及したと結論づけた。 ﹁書同文考﹂ ﹃史林﹄91巻4号︵2008︶ 史学研究会︵京都大学︶ 始皇帝による天下統一︵紀元前221年︶以降に実施したとされる諸政策の一つに、︹文字の統一︺と称されるものがある。しかし、その実態については、今日でも多くの異論が提示されている。本論ではこれを解明するために、︹文字の統一︺政策の象徴とされる琅邪台刻石﹁書同文字﹂の語源﹁書同文﹂﹁書同名﹂の理解から説き起こし、それが︹任意の概念とその表現との関係を一意に定める︺と解釈する。それを踏まえ、統一秦期の︹文字の統一︺政策について検討を行う。まず︹文字の統一︺に必須の要素を整理し、次に秦の書記言語に関する政策の分析を行った。その結果、﹁書同文﹂﹁書同名﹂的志向が秦の文字政策に存在する事、加えて他の︹文字の統一︺に必須の要素を含んでいる事を確認し、統一秦期の文字政策は︹文字の統一︺と称するに相応しく、それは視覚を通じた秦の天下支配であると結論づけた。 Google Earthを利用した中国歴史地理情報の収集と公開―先秦~前漢を事例に― ﹃立命館文学﹄608号︵2008︶ 立命館人文学会︵立命館大学︶ 中国史に限らず、歴史を主要な対象領域とする者は、常に対象物の属する時間と空間を頭に置きながら研究を行うことになる。これらの要求を解決するための手助けとなるツール類としては、譚其驤主編﹃中国歴史地図集﹄︵地図出版社。1982年。全8冊︶は中国史分野の事実上の標準として位置付けられる。しかし、当該書は、既に出版後四半世紀を過ぎ︶、中華人民共和国で進行する行政区画の統廃合・名称変更といった情報の変革に対応し切れず、現在との関係で深刻な事態を招きつつある。そこで、歴史地理情報を簡単に地図上に時間や空間の変化を反映する事が可能なツール、特にコンピュータ上で気軽に扱えるものを探していたが、その中でGoogle Earthの利用を思い至ったのである。本論はGoogle Earthを使った中国歴史地理情報の集積についての筆者が行った作業を報告するものである。 書契考 ﹃中国古代史論叢﹄六集︵2009︶ 立命館東洋史学会叢書八 pp.89-111 ﹁書﹂に関連する書記記号の表現として、﹃易﹄繋辞伝下の﹁書契﹂が知られる。この表記は前漢末の劉歆﹃七略﹄によって﹁書契=文字の古称﹂と解釈され、それが後漢の﹃漢書﹄藝文志や﹃説文解字﹄序に取り入れられて現在に至る。これに対し、本論では﹁書契﹂を︵﹃尚書正義﹄序に引く︶鄭玄の﹃易﹄注に説くように﹁書=文字﹂﹁契=割り符﹂とそれぞれを分けて解釈すべきだとする解釈が妥当である事を、繫辭傳と同時期の成書であり、﹁書契﹂を使用する他の文献の用例との比較から明らかにした。そして、﹁書契=文字﹂なる認識は、前漢末の﹃七略﹄編纂の際に文字の歴史の一部として繫辭傳の記述が切り取られ、そして班固の段階までに﹁文字の古雅な表現﹂として再解釈された結果、発生したものである事を明らかにした。 ﹁文字﹂と﹁文﹂と﹁字﹂の関係︵2009︶ ﹃文字論―新常用漢字を問う―﹄勉誠出版。所収。 我々は、日常的に書き言葉を使用する際に用いる記号︵以下、書記記号と呼ぶ︶を﹁文字﹂と呼ぶ。また、﹁文字﹂ではなく単に﹁字﹂とも呼んだりもする。普段、両者の違いについて考える事もないだろうが、よく考えてみれば、同じ概念を表すのに二種類の異なる表記が行われるのも不思議な話ではある。従来、これ等の説明については、許愼の﹃説文解字﹄敍の記述が使用されてきたが、本論ではこの問題に対し、許愼の記述が間違いであり、実際には中原東部では﹁文﹂﹁名﹂、秦は﹁字﹂がそれぞれ書記記号を表す表記である事を明らかにした。また、﹁文字﹂という表記が出来たのは、琅邪台刻石︵始皇帝と天下統一を顕彰する碑である︶の撰文の時だが、その際には﹁字﹂は単なる脚韻字としての役割しか持っていなかった。そして、﹁文字﹂を書記記号の意味で使用したのは、現在確認できる限り、司馬遷である事を明らかにした。 韋昭﹃國語解﹄の地理史料に関して ﹃東亜文史論叢﹄2009年第2号 東亜歴史文化研究会編︵2009︶ pp.41-62 ﹁書﹂に関連する書記記号の表現として、﹃易﹄繋辞伝下の﹁書契﹂が知られる。この表記は前漢末の劉歆﹃七略﹄によって﹁書契=文字の古称﹂と解釈され、それが後漢の﹃漢書﹄藝文志や﹃説文解字﹄序に取り入れられて現在に至る。これに対し、本論では﹁書契﹂を︵﹃尚書正義﹄序に引く︶鄭玄の﹃易﹄注に説くように﹁書=文字﹂﹁契=割り符﹂とそれぞれを分けて解釈すべきだとする解釈が妥当である事を、繫辭傳と同時期の成書であり、﹁書契﹂を使用する他の文献の用例との比較から明らかにした。そして、﹁書契=文字﹂なる認識は、前漢末の﹃七略﹄編纂の際に文字の歴史の一部として繫辭傳の記述が切り取られ、そして班固の段階までに﹁文字の古雅な表現﹂として再解釈された結果、発生したものである事を明らかにした。研究ノート
-
- 「中国史学におけるコンピュータの利用について」
- 『立命館東洋史学』19号(1996)
-
- 「中国史学におけるコンピュータの利用について(続)」
- 『立命館東洋史学』21号(1998)
- インターネットの利用がメジャーになり始めた1996~98年当時の東洋学におけるインターネット利用について、問題点の解説やインターネットリソースの紹介を中心に述べた。
-
- 「中国学最大のデータベース―台湾中央研究院―」
- 『人文学と情報処理』19号(1998)
- 2007年現在でも中国学に於ける最大のオンライン古典文献データベースである、台湾の中央研究院漢籍電子文献について紹介したもの。
-
- 「フォーラム&インターネット紹介」
- 『別冊しにか コンピュータで中国語』(1999)
- マルチメディアやインターネットブームが一つのピークを迎えた1999年当時における状況を紹介したもの。
-
- 「初めてのN-gram CygwinもしくはPerlを用いて」
- 『漢字文献情報処理研究』第2号(2001)
- N-gram方式によるデータ収集のソフトウェアの使い方について紹介したもの。現在では、論文17の情報の方が新しい。
学会発表
-
- 「春秋中後期に於ける楚覇考」
- 一九九四年度春期立命館史学会例会(1994)
- 楚の覇業につき、春秋中後期における推移と特徴について述べた発表。上記「春秋楚覇考」に反映された。
-
- 「中国史学に於けるコンピュータの利用について」
- 一九九六年度春期立命館史学会例会 1996年6月 於:立命館大学
- 中国史学におけるコンピュータ利用の特徴と問題点を述べた発表。論文03・研究ノート01, 02に反映された。
-
- 「国語韋昭注の研究―地望に関する用語を中心に―」
- 立命館史学会第二十二回大会(2000)
- 『國語』韋昭注の地理関係の注釈について、その情報源を明らかにし、またその過程で韋昭注そのものの執筆時期の下限をも提示した発表。
-
- 「文学部的なコンピュータリテラシー―人文学と情報処理―」
- 漢字文献情報処理研究会第三回大会(2000)
- コンピュータ教育に、如何に文学部らしさを取り入れるか―この命題について、「テキスト処理」という観点から、発表者の授業の実際について報告した発表。上記『電脳中国学2001』に反映。
-
- 「統計学的手法を利用した先秦文献の分類に関する研究―『論語』を例にして―」
- 漢字文献情報処理研究会第五回大会(2002)
- 中国の先秦諸子百家文献の成書時期を統計的手法で解明の糸口をつかめないかについて、『論語』を材料に考察したもの。本報告では述べてはいないが、申請者は『論語』の基本的成書を前4世紀初頭程度に設定している。
-
- 「孟子は誰が書いたのか?―N-gramモデルと統計解析法による分析―」
- 2003年度立命館東洋史学会(2003)
- 『孟子』の成書時期や作者について、N-gramモデルと標準偏差を用いた分析を行い、『孟子』には孟子自身の言説が孟子存命当時の言語感覚で記録されている事を明らかにした。論文11に反映。
-
- 「Google Earthを利用した唐代地理情報の集積」
- 漢字文献情報処理研究会第九回大会(2006)
- Google社の提供する3D地球儀ソフトであるGoogle Earthを利用して、唐代の歴史地理情報を地図上に可視化する方法についての紹介。
-
- 「唐代行政地理のデータモデル」(牛根靖裕・白須裕之との共同報告)
- 情報処理学会研究報告:人文科学とコンピュータ研究会 2007年1月(CH-73)
- 京都大学人文科学研究所21世紀COEプログラムに関連する業績の一。論文16の口頭発表。
-
- 「唐代行政地理の概念モデル」(牛根靖裕・白須裕之との共同報告)
- 情報処理学会研究報告:人文科学とコンピュータ研究会報告 2007年1月(CH-73)
- 京都大学人文科学研究所21世紀COEプログラムに関連する業績の一。論文17の口頭発表。
-
- 「曖昧な「唐代」概念」(牛根靖裕との共同報告)
- 東洋学へのコンピュータ利用 第18回研究セミナー(2007)
- 京都大学人文科学研究所21世紀COEプログラムに関連する業績の一。論文19の口頭発表。
-
- 「唐代の行政地理」に関する「史料」問題」(牛根靖裕・白須裕之との共同報告)
- 東洋学へのコンピュータ利用 第18回研究セミナー(2007)
- 京都大学人文科学研究所21世紀COEプログラムに関連する業績の一。論文20の口頭発表。
-
- 「複数文献を対象とする唐代行政地理情報の統合化」(牛根靖裕・白須裕之との共同報告)
- 情報処理学会研究報告/人文科学とコンピュータ研究会報告 2007年7月(CH-75)
- 京都大学人文科学研究所21世紀COEプログラムに関連する業績の一。論文21の口頭発表。
-
- 「唐代資料引用のための語彙設計―書籍と版本とを対象として―」(牛根靖裕・白須裕之との共著・共同報告)
- 情報処理学会研究報告/人文科学とコンピュータ研究会報告 2007年9月(CH76)
- 京都大学人文科学研究所21世紀COEプログラムに関連する業績の一。論文22の口頭発表。
-
- 「唐代行政地理の地図情報について」(牛根靖裕・白須裕之との共著・共同報告)
- 人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん2007)報告
- 京都大学人文科学研究所21世紀COEプログラムに関連する業績の一。論文23の口頭発表。
書評
-
- 「書評『ユニコード漢字情報辞典』」
- 『漢字文献情報処理研究』創刊号(2000)漢字文献情報処理研究会
- 2000年当時、Unicodeの漢字情報を知る上で日本語で書かれた書籍としてはほぼ唯一であった書籍についての紹介。
-
- 「書評 『これからホームページをつくる研究者のために』ウェブから学術情報を発信する実践ガイド 岡本真著」
- 『漢字文献情報処理研究』7号(2006)漢字文献情報処理研究会
- 学術情報をインターネットで発信する際にはどの様にしたらよいかのノウハウが詰められた書籍の書評。
-
- 「書評 『ChineseCultureReview―中国文化総覧』Vol.1~3 朱大可/張閎主編 高屋亜希/千田大介監訳」
- 『漢字文献情報処理研究』7号(2006)漢字文献情報処理研究会
- 現代中国文化の断面を年毎に切り取って論評した書籍についての書評。
-
- 「「書評 『中国先秦史の研究』 吉本道雅著」
- 『立命館史学』27(2006)
- 中国先秦史を研究を語る際には欠かすことが出来ない書籍についての書評。
-
- 「『キーボード配列QWERTY の謎』安岡孝一/ 安岡素子 著
- 『漢字文献情報処理研究』8号(2008)漢字文献情報処理研究会
- キーボードが何故QWERTY配列になったかの歴史を解き明かした書籍についての書評。
当『睡人亭』では、私が趣味で作ったものや、適当に書き散らした物を提供しています。
『睡人亭』とは、作者が年がら年中ふがふが寝ている? 故に命名されました。