一見、手入れが行き届いていても、
昼間から雨戸を閉ざしたままの住宅が
あちらこちらに見つかりました。
※NHKサイトを離れます
住宅地を訪ねてみると、広い道路脇に小綺麗な住宅が整然と並ぶ、典型的な日本の郊外住宅地が広がっていました。どの住宅にも広い庭と車庫があり、近くには緑豊かな公園が点在しています。小高い丘の斜面に造成されたため、天気のよい日には遠くに富士山を望むこともできます。正直、一度はこんな家で暮らしてみたいと感じました。
高度成長期に開発された郊外住宅地は、都心に勤めるホワイトカラーと専業主婦の核家族世帯が移り住み、数々の“郊外神話”を生み出してきました。こうした住宅地では、居住者の高齢化が進み、世代交代の時期を迎えています。しかし、子どもたちのライフスタイルは、親の世代とは大きく異なります。多くの家庭が共働きを選び、交通の便のよい都市部のマンションなどを嗜好するようになっています。『専業主婦と核家族』を念頭に置いた郊外住宅地の設計思想が、ニーズに合わなくなっているのです。
(川口太郎教授)
管理が行き届かずに老朽化した空き家は、
周辺の環境や景観に“リスク”をもたらすおそれがあります。
こうした空き家は、放火の対象になったり台風や大雪などで倒壊したりして、周りの住宅や通行人に危険を及ぼすおそれがあると指摘されています。
ことし3月には水戸市で空き家や空き店舗などが焼ける火事が3軒相次いだほか、東京・葛飾区でも去年5月に空き家が火元とみられる火事で8軒が全半焼しました。いずれも警察が放火の疑いで捜査しています。
“20世紀の産物として生まれた郊外住宅地は、まだきちんと着陸できていないんです”。
高度成長期に各地に開発された郊外住宅地は、当時、都市部で働く人たちが、より豊かな住環境を求めて移り住む、いわゆる“住宅すごろく”の“上がり”と位置付けられていました。しかし、今、多くの住民が、必ずしも“上がり”ではなかったことに気づき始めています。私たちの取材に、谷口さんは次のように話してくれました。
管理が行き届かずに老朽化した空き家は、
周辺の環境や景観に“リスク”をもたらすおそれがあります。
“20世紀の産物として生まれた郊外住宅地は、まだきちんと着陸できていないんです”。