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浮田和民 | |
うきた かずたみ | |
1860.1.20(安政6.12.28)〜 1946.10.28(昭和21) | |
明治・大正・昭和期の政治学者 | |
埋葬場所: 4区 1種 25側 | |
肥後の国︵熊本県︶竹部出身。肥後藩士の子として生まれた。幼名は栗田亀雄。
栗田家が関が原の戦いにて西軍の敗将になり、宇喜田秀家の後裔であることから、浮田姓を名乗る。4歳の時、亀雄という名も和民と改めた。
1871(M4)熊本洋学校に入学し、指導者リロイ・ランシング・ジェーンズの薫陶を受ける。
1876洋学校の生徒35名︵熊本バンド︶が熊本郊外の花岡山で奉教趣意書に署名し、キリスト教を日本に広め、人民の蒙を啓くことを誓約した。
ここに署名をした人物は、浮田をはじめ、横井時雄、海老名弾正(12-1-7-18)、金森通倫(15-1-13)、徳富蘇峰(6-1-8-13)らがいた。
同年、ジェーンズから洗礼を受ける。洗礼名はトーマス。しかし、熊本は保守的な風土で洋学校に対する風当りは強くなり、生徒の多くは新島襄の開校間もない同志社に転校した。洋学校は翌年閉校。同志社英学校最初の卒業生となる。
1880(M13)﹁六合雑誌﹂創刊に参与、評論活動をはじめ、自由民権的な議論を展開、教育勅語発布にあたって﹁道徳は上帝の命令によるにあらず﹂と主張した。
1892アメリカに渡り、二年間、エール大学で史学・政治学を学ぶ。帰国後、同志社教授となり政治学、国家学、憲法の講義を担当。
1897アメリカン・ボードと同志社の分離独立問題をめぐる学内紛争により同志社を辞職。この背景は、浮田が﹁六合雑誌﹂にて﹁外国人宣教師論﹂で外国人宣教師を厳しく批判したことが、同志社の外人教師の激昂を買ったことに始まっている。
同志社辞任後、同志社の先輩であった大西祝の推薦により東京専門学校︵早稲田大学の前身︶講師として移籍、法学博士の学位を受け教授となり、文学部史学科教務主任、初代の図書館長、東京高等師範︵教育学部︶部長を歴任。
文学部、政経学部で西洋史学、政治学を講じた。早稲田大学では44年間にわたり同大学の発展に寄与した。
特筆すべき点は、山田一郎、高田早苗、安部磯雄らと共に早稲田政治学の基礎を形成しただけではなく、大隈重信のブレーンとしても高く評され、坪内逍遥は浮田を﹁早稲田の至宝﹂と呼んだ。
また1909〜1919︵M42〜T8)雑誌﹁太陽﹂の主幹として活躍し、﹁内に立憲主義、外に帝国主義﹂という自由主義的・民主主義的主張は当時の学生・知識人に大きな影響を与え、民主主義の主唱者である吉野作造(8-1-13-18)は浮田の影響の下から出てきたとされる。
そのため、民本主義につながる理論の最初に提唱者とされ、大正デモクラシーの先駆的な役割を果たした。
浮田の主張は﹁政体上の民主主義は君主国家と調和する﹂として、民意を反映する政体の必要を説くもので、選挙権拡張・比例代表制などを主張し、社会主義には対抗的で労資協調をこととしたが、労働者・婦人に同情的な社会問題の解決を説いた。
対外的には平和的帝国主義・朝鮮同化政策を説いた。
主な著書に、﹃西洋上古史﹄︵1899︶、﹃政治原論﹄︵1907︶、﹃倫理的帝国主義﹄︵1909︶、﹃日米非戦論﹄︵1925 渡邊金三共著︶など多数。
没後に追懐編纂委員会編で﹃浮田和民先生追懐集﹄︵1948︶がある。享年85歳。
和民と妻の末との間に5男4女を儲ける。多くの子供達が早死しており、二男の秀樹が家督を継ぐ。子供達全員が同墓所に眠る。
和民の三女の東の長男は洋画家の浮田克躬︵同墓︶である。日本麦酒支配人の石光真澄、陸軍少佐・諜報活動家の石光真清、陸軍中将の石光真臣(3-1-8-1)、大日本麦酒常務の橋本卯太郎に嫁いだ真津︵マツ︶の兄弟たちは従兄弟にあたる。
なお真清の娘の菊枝の夫は法学者の東季彦(10-1-1-16)。真津の息子は政治家の橋本龍伍。孫は首相を務めた橋本龍太郎、高知県知事の橋本大二郎。
<コンサイス日本人名大事典>
*墓石は和型﹁浮田家之墓﹂。墓誌が二基ある。浮田和民以降代々が刻む。
*人名事典では昭和20年没と記載されているものもあるが、墓誌の刻みを優先する。 *浮田はキリスト教徒として洗礼したが、後、キリストを神の子ではなく人間であるとするユリテリアンに転じ、さらにキリスト教に限らず、宗教の一般の必要性を強調。しかし、1912(M45)帰一教会の設立に参加するなど、紆余曲折を経る。純粋なキリスト教徒ではなく、キリスト教は生涯の一つの重要な基調として、通説や一般の風潮に対しても敢然と自説を開陳して動じない姿勢であったとされる。 | |
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