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雨みゆるうき葉しら蓮(はす)絵師の君に傘まゐらする三尺の船
御(みさ)相(う)いとどしたしみやすきなつかしき若(わか)葉(ば)木立(だち)の中(なか)の盧(るし)遮(やな)那(ぶ)仏(つ)
我歌
求めたまふや、わが歌を。
かかる寂(さび)しきわが歌を。
それは昨(きの)日(ふ)の一(ひと)しづく、
底に残りし薔(ば)薇(ら)の水。
それは千(ち)とせの一(ひと)かけら、
砂に埋(うも)れし青き玉(たま)。
憎む
憎む、
どの玉(たま)葱(ねぎ)も冷(ひやゝ)かに
我を見詰めて緑なり。
憎む、
その皿の余りに白し、
寒し、痛し。
憎む、
如(い)何(か)なれば二(には)方(う)の壁よ、
云(い)ひ合せて耳を立つるぞ。