チキン南蛮
宮崎県発祥の鶏肉料理
チキン南蛮(チキンなんばん)は、小麦粉と溶き卵を絡めた鶏肉を油で揚げ、甘酢(南蛮甘酢ダレ)に浸した宮崎県延岡市発祥の鶏肉料理である。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8c/Chicken_nanban_jetalone_in_Tsukishima%2C_Tokyo.jpg/220px-Chicken_nanban_jetalone_in_Tsukishima%2C_Tokyo.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d8/Chicken_nanban_don_by_rhosoi_in_Cupertino%2C_CA.jpg/220px-Chicken_nanban_don_by_rhosoi_in_Cupertino%2C_CA.jpg)
タルタルソースを掛けて提供されることも多い。
概要
編集
発祥当初は﹁鶏から揚げ甘酢漬け﹂と呼ばれていたが[1]、鶏のから揚げと異なり片栗粉は使わず、チキンカツと異なりパン粉も使われない。[1][2][3]。鶏胸肉に小麦粉をまぶした後、溶き卵を衣にして揚げ、それを甘酢ダレ︵南蛮ダレ、南蛮甘酢ダレ[4]︶に漬け込んで味付けする。胸肉を使用するのが一般的だが鶏もも肉を使うこともある。
宮崎県では、惣菜屋や飲食店で定番メニューとなっているほか、各家庭でタルタルソースを作るなど宮崎のご当地料理として、また家庭料理として広まっている。スーパーマーケットなど食料品小売店では、チキン南蛮用のタルタルソースや南蛮漬けのタレなどの家庭用商品が販売されている。高知県をはじめとした四国の一部地域では、タルタルソースの代わりにオーロラソースが用いられている。
九州創業の弁当販売チェーンほっともっとでは、3種のソースの違いで﹃チキン南蛮弁当﹄を区別し、限定商品として販売している。店舗手作りソースをかけた﹁チキン南蛮弁当﹂は宮崎県限定、企業オリジナルの滑らかな白いソースを後からかける﹁九州チキン南蛮弁当﹂は九州と一部地域限定、具の多いタルタルソースをかけた﹁チキン南蛮弁当﹂が通常販売となっている[5]。
首都圏や関西圏において宮崎料理を提供する飲食店のメニューのほか、コンビニエンスストアや持ち帰り弁当チェーン店で弁当のおかずとして取り入れられた結果、現在では日本中に広く浸透している。2007年には農林水産省による農山漁村の郷土料理百選の﹁御当地人気料理特選﹂にも選定された[6]。
発祥の店
編集
タルタルソースをかけずに提供する﹁お食事の店 直ちゃん﹂を元祖とする説[7]と、タルタルソースのかかっているチキン南蛮を提供する﹁おぐら﹂を元祖とする説[8][9][10]があったが、﹁おぐら﹂の方が5年ほど前に発売していたことがわかっている。
参考文献によれば、﹁おぐら﹂は創業昭和32年でチキン南蛮の発売が昭和40年頃、﹁直ちゃん﹂は創業昭和40年頃でチキン南蛮の発売が昭和45年頃である︵創業者の妻が証言︶。[11]
直ちゃん
編集
かつて延岡市内にあった洋食店﹁ロンドン﹂で昭和30年代に出されていた賄い料理の一つに、衣を付けて揚げた鶏肉を甘酢にさっと浸した料理があった。﹁直ちゃん﹂の創業者である後藤直は昭和40年頃に居酒屋﹁直ちゃん﹂を開業後、目玉商品を探して﹁ロンドン﹂に弟子入りし、チキン南蛮の原型を目にしたと言われ、昭和45年頃メニューとして売り出した。賄いだった時のままタルタルソースは使用せず、秘伝の甘酢を染み込ませている[12][13]。現在は店名も﹁元祖チキン南蛮 直ちゃん﹂としている。
おぐら
編集
﹁チキン南蛮﹂を考案したのは、おぐらの創業者甲斐義光の兄である甲斐照幸とされている。昭和40年頃に発売し、42年には人気を博していた。甲斐照幸は延岡にあった洋食店﹁ロンドン﹂のオーナーと古くから家族ぐるみの付き合いをしており、原型がここにあった可能性はあるという。[14]タルタルソースは発売当初からかけられており、スルメイカにマヨネーズをつけて食べるところから発想したという。
宮崎県内外ではタルタルソースかけのチキン南蛮が広まり、﹁タルタルソースと甘酢タレを併用する﹂というイメージが強くなっている[15]。
宮崎県内外ではタルタルソースかけのチキン南蛮が広まり、﹁タルタルソースと甘酢タレを併用する﹂というイメージが強くなっている[15]。
延岡市のイベント
編集参考文献
編集
●﹁チキン南蛮発祥の地宣言 延岡﹂﹃宮崎日日新聞﹄ 2009年6月27日。ウェブ上で公開されていない箇所に由緒が記載されている。
●﹁チキン南蛮 延岡に活力 きょう7月8日﹁発祥の地﹂シンポ開催﹂ ﹃宮崎日日新聞﹄ 2009年7月8日付 P.15。ウェブでは公開されていない。一面を使って﹁延岡発祥のチキン南蛮﹂の特集記事を掲載。チキン南蛮誕生の経緯、直ちゃんと延岡おぐら関係者の声やそれぞれの料理方法、客の声などが掲載されている。
脚注
編集
(一)^ ab“チキン南蛮 宮崎県 | うちの郷土料理‥農林水産省”. www.maff.go.jp. 2022年9月26日閲覧。
(二)^ “タルタルをかけない﹁元祖チキン南蛮﹂がスッゲーウマかった! 宮崎県延岡市﹃直ちゃん﹄”. ロケットニュース24 (2018年7月21日). 2022年9月26日閲覧。
(三)^ “基本のチキン南蛮”. recipe.yamasa.com. 2022年9月26日閲覧。
(四)^ チキン南蛮甘酢たれ 500ml,宮崎県物産貿易振興センター
(五)^ “﹁ほっともっと﹂発売から35年のロングセラー 九州チキン南蛮弁当500円4月2日︵金︶地域限定発売”. PR TIMES. 2022年9月26日閲覧。
(六)^ 農山漁村の郷土料理百選 九州・沖縄・の選定料理一覧
(七)^ ﹁宮崎観光資産フォトスケッチ6チキン南蛮︵延岡市︶﹂ Archived 2013年4月4日, at the Wayback Machine.宮崎日日新聞 MIYANICHI e PRESS 2009年5月2日付
(八)^ 朝日新聞 1997年9月11日付 夕刊、らうんじ面、P.3
(九)^ 家庭で味わう郷土料理百選 宮崎県の郷土料理︵選定料理︶チキン南蛮
(十)^ “こ、これが元祖の味か……!﹁チキン南蛮﹂発祥のローカルファミレスに行ってきた”. メシ通 (2019年5月24日). 2022年9月27日閲覧。
(11)^ ﹁チキン南蛮発祥の地宣言 延岡﹂﹃宮崎日日新聞﹄ 2009年6月27日。
(12)^ “タルタルをかけない﹁元祖チキン南蛮﹂がスッゲーウマかった! 宮崎県延岡市﹃直ちゃん﹄”. ロケットニュース24 (2018年7月21日). 2022年9月26日閲覧。
(13)^ ﹁元祖チキン南蛮の直ちゃん﹂ - 宮崎県情報サイト パワナビ パワーUPなお店︵2004年6月7日時点のアーカイブ︶
(14)^ “チキン南蛮誕生のお話”. 株式会社おぐら. 2024年2月17日閲覧。
(15)^ “タルタルをかけない﹁元祖チキン南蛮﹂がスッゲーウマかった! 宮崎県延岡市﹃直ちゃん﹄”. ロケットニュース24 (2018年7月21日). 2022年9月26日閲覧。
(16)^ “チキン南蛮発祥都市宣言とシンポジウム。”. 延岡というまちをアーカイブ化していくには。︵ブログ︶ (2009年6月28日). 2024年6月21日閲覧。
(17)^ “チキン南蛮 ~ 全国区の人気メニュー 発祥の地は延岡市”. 宮崎県季刊誌﹁Jaja﹂じゃじゃ. 2024年6月21日閲覧。