モウソウチク
イネ科マダケ属の植物
モウソウチク︵孟宗竹[7]、学名: Phyllostachys edulis︶はアジアの温暖湿潤地域に分布する竹の一種。種名は冬に母のために寒中筍を掘り採った三国時代の呉の人物、孟宗にちなむ。別名江南竹、ワセ竹、モウソウダケ。中国名は、毛竹︵別名‥貓頭竹、孟宗竹︶[1]。
モウソウチク | ||||||||||||||||||||||||
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分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Phyllostachys edulis (Carrière) Houz. (1906)[1] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
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和名 | ||||||||||||||||||||||||
モウソウチク(孟宗竹) | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Moso bamboo | ||||||||||||||||||||||||
品種 | ||||||||||||||||||||||||
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/46/Roots_of_Phyllostachys_edulis_shoot_in_Mount_Sengoku.jpg/220px-Roots_of_Phyllostachys_edulis_shoot_in_Mount_Sengoku.jpg)
特徴
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高さ10~20メートル、径は8~20センチになる常緑高木である[8]。中には高さが20メートル以上になるものもある[9]。モウソウチクの節は一輪状であるのに対し、マダケやハチクは節が二輪状であることから区別できる[8][9]。また、幹の太さは、モウソウチク、マダケ、ハチクの順に太く、モウソウチクの茎の表面は粉がふいたように白いのが特徴である[9]。
葉は被針形で長さ4~8センチと比較的小さく、幅は4~10ミリ、黄緑色で枝先に2~8個ずつ密集して付き、裏面基部には軟毛がある[8][9]。春に黄葉したあとに新しい葉に入れ替わる[9]。
根茎による繁殖力が強く[8]、地下茎を伸ばして分布を拡大する[9]。
花期は5月と9月だが,花はめったに咲くことはなく開花は数十年に一回ともいわれる[8][9]。花は両性花、風媒花である[8]。モウソウチクの場合には開花すると地下茎まで枯れてしまい、ハチクのように地上部分は枯死しても地下茎は枯れないものと違いがある[10]。
分布
編集原産地
編集日本国内への移入
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日本では北海道から南西諸島まで広く分布する[9]。北限は函館市とされている[8]。
日本への移入時期は1728年、1736年など諸説ある[8]。
801年︵延暦20年︶、京都府長岡京市の海印寺、寂照院の開山・道雄上人が唐から持ち帰った、また1228年︵安貞2年︶に曹洞宗の開祖・道元禅師が宋から持ち帰った、など諸説あるが全国へ広まったのは薩摩藩による琉球王国経由の移入によってと考えられている。﹁南聘紀考 下﹂によると元文元年3月に島津吉貴が、琉球在番として琉球行きを命じられた物頭野村勘兵衛良昌に孟宗竹を輸入するように命じ、勘兵衛は琉球滞在中に清より輸入し、元文3年に帰国すると吉貴のいる仙巌園に孟宗竹を献上したという。
利用
編集食用
編集竹材
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マダケに比べ完密度や材質の脆さなどがあり表面の緻密さも劣る[11]。それでも花器、ざる、かご、すだれ、箸の他、鉄製品やプラスチック製品が普及するまでは建築材料、農業資材、漁業資材などとしても用いられてきた。また2000年代以降、野球で使用されるバットの原材料としての利用も盛んとなっている。
園芸
編集突然変異によって竹に奇形や斑入りを生ずることがあり、その中から園芸的価値のあるものが選抜栽培される[8]。
耐用年数
編集平成20年度税制改正において、法人税等の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」が改正され、別表第四「生物の耐用年数表」によれば平成20年4月1日以後開始する事業年度にかかるモウソウチクの法定耐用年数は20年となった。
竹林の増加
編集詳細は「竹害」を参照
モウソウチクは食用︵タケノコ︶や竹材として利用されていたが、安価な代替の素材の輸入などにより利用されなくなり放置竹林が問題化した[8]。それによって引き起こされたモウソウチクの他植生への侵入によって、広葉樹の生長が阻害され枯死することが判明している。さらに、他の樹種の影響をうけにくい杉でさえもモウソウチクの特性︵3ヶ月で最大まで生長する。柔軟なので風が吹く度にしなってスギへ当たる︶により生長が妨げられ、放置されたスギ林へもモウソウチクがよく侵入して群落を拡大している[12]。
地下茎の拡大は根元の周りに地下まで約1メートルの仕切板を埋め込むことで防ぐことができる[9]。また、タケノコを継続的に採取して食用にすることも有効な駆除方法とされている[9]。
出典
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(一)^ ab米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Phyllostachys edulis (Carrière) Houz. モウソウチク︵標準︶”. BG Plants 和名−学名インデックス︵YList︶. 2024年6月30日閲覧。
(二)^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Phyllostachys mitis auct. non (Carrière) A. et C.Rivière モウソウチク︵シノニム︶”. BG Plants 和名−学名インデックス︵YList︶. 2024年6月30日閲覧。
(三)^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Phyllostachys heterocycla (Carrière) Matsum. var. pubescens (Mazel ex Houz.) Ohwi モウソウチク︵シノニム︶”. BG Plants 和名−学名インデックス︵YList︶. 2024年6月30日閲覧。
(四)^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Phyllostachys heterocycla (Carrière) Matsum. f. pubescens (Mazel ex Houz.) Muroi モウソウチク︵シノニム︶”. BG Plants 和名−学名インデックス︵YList︶. 2024年6月30日閲覧。
(五)^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Phyllostachys heterocycla (Carrière) Matsum. モウソウチク︵シノニム︶”. BG Plants 和名−学名インデックス︵YList︶. 2024年6月30日閲覧。
(六)^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Phyllostachys pubescens (Pradelle) Mazel ex Houz. モウソウチク︵シノニム︶”. BG Plants 和名−学名インデックス︵YList︶. 2024年6月30日閲覧。
(七)^ 辻井達一﹃続・日本の樹木﹄中央公論新社︿中公新書﹀、2006年2月25日、219頁。ISBN 4-12-101834-6。
(八)^ abcdefghijkモウソウチク 国立環境研究所
(九)^ abcdefghijkモウソウチク 愛知県
(十)^ 身近で不思議なタケの生態に迫る! 農林水産省
(11)^ ab"水防工法 Pocket Book" (PDF). 四国地方整備局 松山河川国道事務所. 2011年10月. p. 10. 2021年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ (PDF)。2021年10月1日閲覧。
(12)^ 緑地生態学研究室 上久保 峰 (2003年). “放置スギ林へのモウソウチクの侵入によるスギの成長阻害” (PDF). 千葉大学. 2007年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年5月23日閲覧。
参考文献
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●八尾弥太郎 著 ﹃石川の竹﹄ 北国出版社、1975年、全国書誌番号:70001238。
●橋詰隼人、中田銀佐久、新里孝和、染郷正孝、滝川貞夫、内川悦三 著 ﹃図説 実用樹木学﹄ 朝倉書店、1993年、ISBN 4-254-47021-5。