古物
(中古品から転送)
概説
編集法律用語の「古物」と「古物商」
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日本において法律上の古物は、古物営業法第2条で次のように定義される
●一度使用された物品︵鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類︵船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。︶で政令で定めるものを除く。以下同じ。︶若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
古物については、同法施行規則第2条で次のような分類がある。
(一)美術品類︵書画、彫刻、工芸品等︶
(二)衣類︵和服類、洋服類、その他の衣料品︶
(三)時計・宝飾品類︵時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等︶
(四)自動車︵その部分品を含む。︶
(五)自動二輪車及び原動機付自転車︵これらの部分品を含む。︶
(六)自転車類︵その部分品を含む。︶
(七)写真機類︵写真機、光学器等︶
(八)事務機器類︵レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサ、ファクシミリ装置、事務用電子計算機、ビジネスフォン等︶
(九)機械工具類︵電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等︶
(十)道具類︵家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等︶
(11)皮革・ゴム製品類︵カバン、靴等︶
(12)書籍
(13)金券類︵商品券、乗車券及び郵便切手並びに古物営業法施行令 ︵平成七年政令第三百二十六号︶第一条 各号に規定する証票その他の物をいう。︶
法令上は、航空機、鉄道車両、大型船舶、大型機械や不動産は﹁古物﹂ではないが、本項目では、一般に中古品市場が形成されているものを扱う︵金券類は扱わない︶。
なお、一般に、反復継続して古物の売買取引を行う場合には、古物商許可を取る必要がある。
詳細は「古物商」を参照
工業製品全般について
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ほとんどの工業製品が中古品として売買されている。
それぞれのジャンルごとに専門業者もいる。ジャンルごと、商品ごとに中古品の性質も異なるので、商習慣も異なる。
大抵は中古品価格は新品価格よりも安くなるが、いわゆる根強い﹁ファン﹂がいるのに製造中止となってしまった製品などは高価に売買される場合もある。
なお、パソコンやスマートフォンなどのIT家電、中古車などの類を中心に、中小企業やNPO・ワーカーズコープなどの小規模の法人向けにリース・レンタル契約を結んでいたのちに、その契約期間終了をもって返却された商品を、﹁リースアップ品﹂ないしは﹁レンタルアップ品﹂として改めて中古品としてメンテナンス・修理をしたうえで格安で販売するものもある。[3]
自動車
編集詳細は「中古車」を参照
中古車を扱う専門の業者があり、業者のための市場があり、店頭に中古車を並べ、展示・販売している。個人がメルカリやヤフオクなどで自分が使用した自動車を売買するということも広く行われるようになっている。
希少な車種や、長年に渡り人気の車種については、どれほど手間をかけても修理・レストアするということも行われている。レストアを専門とする業者によっても行われているが、また熱心な個人によってもレストアが行われており、テレビ番組の﹃名車再生!クラシックカー・ディーラーズ﹄は長年に渡り世界各国で放送︵再放送︶されている。
オートバイ
オートバイの中古だけを扱っている専門業者も全国展開している。また普通のオートバイ販売店が、新品のと並行して﹁中古﹂と表示して販売していることも多い。
衣類
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誰かがすでに着た服は古着︵ふるぎ︶という。業者は一般には﹁古着屋﹂などという。メルカリなどでもさかんに取引されている。若い女性が﹁服はメルカリで中古で買って、数回着て、同じ値段でメルカリで売る﹂ことも増えている
ベビー用品、キッズ用品
編集家具
編集書籍やCD・DVDなど
編集家電品
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白物家電は、多くのリサイクルショップで扱われている。
家電リサイクル法の施行以来、リサイクル料金+収集運搬料金が必要となったため、これ以下の負担で手放す目的での売却もある。
チェーン店ではクリーニングや動作チェックが行われることもある。ヤマダホールディングスでは回収した家電を自社工場で整備し、保証付きの中古品として販売している[4]。
スマートフォン
編集パソコン
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世界的には、中古パソコン市場は年々拡大している。日本や欧米先進国の市場からアジア方面への輸出も堅調であり、米Gartnerの2005年のレポートでは、米国から他国に売られた中古パソコンは、2004年度で約1億5250万セットに上り、世界中のパソコンの1割が中古品だという︵CNET記事︶。
中古のPCは、新品のPCに比べると価格がかなり下がる。多くの場合は、新バージョンのOSにアップグレードしても容量や能力が足りない場合が多いためである。ただしCPUの能力が足りている場合は、メモリを増量したり、ストレージを大容量のものに換装した上でOSを新バージョンにアップグレードしての販売が広く行われていて、相応の価格になっている。またAppleでは、メーカーとしてリストア品を公式ウェブサイト上で販売している。
近年では、セキュリティ上の理由から、中古のPCを売却する場合は、初期状態に一旦戻したり、OSを﹁クリーンインストール﹂した状態で売る、ということが広く行われるようになっている。
なお発展途上国などでは最新のパソコンは高価で入手し難いこともあり、先進国で廃棄されたような旧式なパソコンを、輸入して販売したり、あるいは教育方面で使ってもらおうと無償配布する活動をしているNGO慈善団体もある。またLinux︵Ubuntu︶やFreeBSDのような、無償で利用でき、X-Window SystemによりWindowsそっくりのGUIを提供し、旧式パソコン上でも問題なく動作するOSをインストールすることでPCを無駄なく活用することも活発になっている。
中古パソコンはたとえば次のような理由・動機で購入されている。
(一)新品を購入するには予算が足りない。
(二)臨時の予備機︵バックアップ用︶を低予算で確保したい。
(三)オフィススイートやウェブサイト閲覧などしかしないので、旧機種で十分。
(四)子供向け。
(五)最新のOSでは動かず、古いOSでしか動作しないような特定のソフトウェアを使いたい。
(六)単にファイルサーバを作りたいので中古PCで十分。
(七)デザインが独特で優れた、だが絶版になってしまったノートパソコンやPDA・ポケットコンピュータが欲しい。
(八)﹁往年の8 bit時代や16 bit時代のコンピュータが欲しい﹂。CPUがまだ8 bitや16 bitだった時代のコンピュータには、骨董品的な価値が生まれることがある。コンピュータ史に残るような特定の機種のレア品の中には﹁数千万円﹂という価格で売買されるものもある︵Apple Iの希少品など︶。
OA機器
編集プロ用厨房機器
編集飲食店が店舗で使うプロ用厨房機器は特殊なものが多数あり、専門業者で取引されている。閉店した飲食店で使われていた厨房機器のほとんどは中古品として専門業者の手に渡り(クリーニングや基本の動作チェックなどをされて)販売されることになる。
客の目にふれないキッチン内の機器はできるだけ中古の厨房機器を使うことで出店コストを下げることは飲食店の経営上、ある意味常識になっている。
中古の交通信号機
編集中古品ではないもの
編集新古品
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﹁新品と古物の中間﹂のような位置づけのものもあり、それを俗に﹁新古︵しんこ︶﹂や﹁新古品︵しんこひん︶﹂という。たとえば展示品や店内デモ品である。
また、航空機では製造されたが顧客運用会社都合で未納入メーカー保管されているものを指す場合もある。
展示品
展示品は、商店で箱から取り出し、棚などに並べて客に見せるために用いていたもの。一応、消費者の誰もまだ購入していないが、少なくとも店員が触っており、販促のために、ある意味﹁使った﹂ものである。﹁展示品﹂と消費者に明示した上で、未開封の新品よりも安い価格で販売される。この場合、新品同様のメーカー保証が付けられることが多い。
デモ品
﹁店内デモ品﹂は、客に物品が実際に動いているところを見せるために、店員が操作し動かしたもの。
事故品
なお運送中の問題によってキズ・へこみ等の問題が発生した物は﹁事故品﹂と呼ばれる。メーカーで修復を行ったものは﹁再生品﹂という。
展示品やデモ品の店舗での扱い
﹁展示品﹂や﹁デモ品﹂の扱いは業界により異なる。
自動車で販売店︵カーディーラー︶が販売ノルマ達成のために、試乗車などの名目で自社登録を行った車両が、走行距離数十キロの﹁新古車﹂として中古車市場に流れることが多い。個別の部品の場合にはNOS (en:New Old Stock) と呼ばれる場合もある。こうした﹁新古品﹂では、動作されないまま専用の倉庫ではない場所に保管されている場合が多く、また潤滑油やゴム・プラスチック部品、使用期限が設定されている部品などの劣化が起きている場合もあるため、稼働開始後に何等かの問題が発生する可能性がある。場合によっては付属品に不足がある場合もある。
楽器業界には独特の慣習がある。楽器にはかなりの個体差があり、ほとんどの購入者はまず実際に試奏してから判断する。楽器業界では試奏された楽器も﹁新古品﹂扱いはせず、あくまで﹁新品﹂として販売している。
脚注
編集注釈
編集- ^ 辞書的・教科書的な綴り方(スペリング)は「second-hand」だが、くだけた綴り方では「secondhand」とも。
出典
編集- ^ a b 『広辞苑 第六版』
- ^ デジタル大辞泉【古物】
- ^ リースアップ車両(リース落ち車)とは?(カーコンカーリース)・買取(USED-PC)
- ^ 株式会社インプレス (2022年8月29日). “中古家電、買っても大丈夫? 汚くない? ヤマダ電機のリユース工場で分かったこと”. 家電 Watch. 2022年8月29日閲覧。
- ^ [https://news.mynavi.jp/article/20210811-1943791/ マイナビ「総務省がガイドライン改正、10月1日からSIMロック原則禁止へ 」
- ^ 総務省公式サイト『「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」改正案及び「eSIMサービスの促進に関するガイドライン」(案)に関する意見募集の結果及びこれらのガイドラインの公表』