秋田弁

秋田県で用いられる日本語の方言

使
1 2 3 4 5鹿 6 7鹿 8 9 10 11 12 13
1 2 3 4 5 6鹿 7 8 9鹿

区画

編集

日本語方言内での位置付け

編集
 
日本語の方言区分の一例。

沿[1]
 
秋田方言の下位区分。
 
由利・庄内・北越方言圏。

秋田方言内の区画

編集

[2]鹿西

鹿鹿

鹿鹿鹿

沿使--[3]--[4]

鹿

[5][6]
秋田方言の区画
三区画 五区画 河川区画 二区分 地方 自治体(平成の大合併後) 自治体(大合併前)
北部方言 鹿角方言 米代川流域方言 内陸地帯 鹿角地方 鹿角市鹿角郡 鹿角市・鹿角郡
県北方言 北秋田地方 大館市北秋田市北秋田郡 大館市・北秋田郡
海岸地帯 山本地方 能代市山本郡 能代市・山本郡
中央方言 中央方言 雄物川流域方言 南秋田地方 男鹿市南秋田郡 男鹿市・南秋田郡
河辺地方 秋田市 秋田市・河辺郡
南部方言 県南方言 内陸地帯 仙北地方 仙北市大仙市仙北郡 大曲市・仙北郡
平鹿地方 横手市 横手市・平鹿郡
雄勝地方 湯沢市雄勝郡 湯沢市・雄勝郡
由利方言 子吉川流域方言 海岸地帯 由利地方 由利本荘市にかほ市 本荘市由利郡

音韻

編集

 (IPA)  / /  [ ] 

ありがちな誤解

編集






母音

編集

単母音

編集
 
調

1/a/ /i/ /u/ /e/ /ɛ/ /o/ 6 /a/ /o/ 4

 /i/  /i/  [ï]  [ɯ]  [ɯ̈] /i/  /u/ 

 /s/ /c/ /z/ /i/  /u/  /i/  [sï]  [ʦï]  [zï] [ʣï]  [ ̃ʣï]/su/ /cu/ /zu/  [ɯ̈] [7]  [sï] [ʦï] [ʣï]  [sɯ̈] [ʦɯ̈] [ʣɯ̈] [8]

 [e]   [ɛ]  [e̞]  /e/   [e] 

/i/  /e/  /e/ [e̞]  [e]  [ɪ]  [ʲï]  [ɾï]  [e]  [e] 

 /ɛ/  /e/ 

連母音

編集

 /ai/ /ae/  /ɛ/ [ɛ]  [æ] [ae]  /ai/ [9]

 /oi/ /oe//ie//ue/  /e/ /ui/  /i/  /au/  /ou/ 

母音の無声化

編集

 /i/  /u/ IPA [kɕï̥ta]  [kɯ̥̈sï]  [nasï̥] /i/  /u/ 

子音

編集

 /k/ /s/ /t/ /c/ /n/ /h/ /m/ /r/ /ɡ/ /d/ /b/ /p/  /j/  /w/ 

直音

編集



 /k/  /t/  /c/  [k] [t] [ʦ]  [ɡ] [d] [z] /ki/  [kɕï]  [ɡʑï] 

 /ɡ/  /d/  /z/  /b/  [ɡ] [d] [ʣ] [b]  [ŋ] [ ̃d] [ ̃ʣ] [ ̃b] /ɡi/  /ki/  [ɡʑï]  [ŋʑï] 

 /s/  /z/  /si/ /zi/  [sï] [ʣï]  /se/ /ze/  [ɕe] [ʥe] /se/  [çe] [he] /s/ 

 /h/  /ha/ /ho/  [ha]  [ho]  [hu]  [ɸɯ̈]   /hi/   /he/  [ɸï] [ɸe]  

拗音

編集

拗音とは子音が硬口蓋化円唇化されたもので、硬口蓋化されたものを開拗音、円唇化されたものを合拗音という。現代共通語には開拗音しかない。

開拗音
編集

 /sj/ /cj/ /zj/  [ɕ] [ʨ] [ʥ] /hi/ /he/  /hj/  [ɸʲ] 
合拗音
編集

  [kʷa] [ɡʷa]  [kʷa ̃ʣï]  [ka ̃ʣï] 

 /kuwa/  /kwa/  [kʷanɛ]  [kʷa] 

退[10][11]

有声化と鼻音化

編集

 /k/  /t/  /c/  [ɡ] [d] [z]  /s/  /p/ 

[kɕï̥ta] [sï̥ta] /kuci//cikue/[kɯ̈zï] [ʦïɡɯ̈e] 

 /ɡ/  /d/  /z/  /b/  [ŋ] [ ̃d] [ ̃ʣ] [ ̃b] 

 /k/ /t/ /c/  /ɡ/ /d/ /z/  /k/  /ɡ/ /t/  /d/ /c/  /z/ 

退 /ɡ/  [ŋ] 退[12]

特殊音素

編集

/ɴ/ /Q//R/  /ɴ/  /ɴda/  /ɴɡa/ /ɴmɛ/ 

84[13]

音韻体系

編集

伝統的な秋田方言に現れる音節を整理すると以下のようになる。上から音素、代表的な音声、このページで用いる仮名表記の順に記す。

秋田方言の音韻体系
子音 母音 /a/ /i/ /u/ /e/ /ɛ/ /o/ /ja/ /ju/ /jɛ/ /jo/
/Ø/ 音素 /a/ /i/ /u/ /e/ /ɛ/ /o/ /ja/ /ju/ /jɛ/ /jo/
音声 [a] [ï] [ɯ̈] [e] [ɛ] [o] [ja] [jɯ̈] [jɛ] [jo]
表記 (イ) エァ イェァ
/k/ 音素 /ka/ /ki/ /ku/ /ke/ /kɛ/ /ko/ /kja/ /kju/ - /kjo/
音声(語頭)
音声(語中)
[ka]
[ɡa]
[kɕï]
ʑï]
[kɯ̈]
[ɡɯ̈]
[ke]
[ɡe]
[kɛ]
[ɡɛ]
[ko]
[ɡo]
[kʲa]
[ɡʲa]
[kʲɯ̈]
[ɡʲɯ̈]
- [kʲo]
[ɡʲo]
表記(語頭)
表記(語中)




ケァ
ゲァ

キャ
ギャ
キュ
ギュ
- キョ
ギョ
/ɡ/ 音素 /ɡa/ /ɡi/ /ɡu/ /ɡe/ /ɡɛ/ /ɡo/ /ɡja/ /ɡju/ - /ɡjo/
音声(語頭)
音声(語中)
[ɡa]
[ŋa]
ʑï]
ʑï]
[ɡɯ̈]
[ŋɯ̈]
[ɡe]
[ŋe]
[ɡɛ]
[ŋɛ]
[ɡo]
[ŋo]
[ɡʲa]
[ŋʲa]
[ɡʲɯ̈]
[ŋʲɯ̈]
- [ɡʲo]
[ŋʲo]
表記(語頭)
表記(語中)

カ゜

キ゜

ク゜

ケ゜
ゲァ
ケ゜ァ

コ゜
ギャ
キ゜ャ
ギュ
キ゜ュ
- ギョ
キ゜ョ
/s/ 音素 /sa/ /si/ - /se/ /sɛ/ /so/ /sja/ /sju/ /sjɛ/ /sjo/
音声 [sa] [sï] - [ɕe] [sɛ] [so] [ɕa] [ɕɯ̈] [ɕɛ] [ɕo]
表記 - シェ セァ シャ シュ シェァ ショ
/z/ 音素 /za/ /zi/ - /ze/ /zɛ/ /zo/ /zja/ /zju/ /zjɛ/ /zjo/
音声(語頭)
音声(語中)
[ʣa]
[ ̃ʣa]
[ʣï]
[ ̃ʣï]
- [ʥe]
[ ̃ʥe]
[ʣɛ]
[ ̃ʣɛ]
[ʣo]
[ ̃ʣo]
[ʥa]
[ ̃ʥa]
[ʥɯ̈]
[ ̃ʥɯ̈]
[ʥɛ]
[ ̃ʥɛ]
[ʥo]
[ ̃ʥo]
表記(語頭)
表記(語中)


- ジェ
ジェ
ゼァ
ゼァ

ジャ
ジャ
ジュ
ジュ
ジェァ
ジェァ
ジョ
ジョ
/t/ 音素 /ta/ - - /te/ /tɛ/ /to/ - - - -
音声(語頭)
音声(語中)
[ta]
[da]
- - [te]
[de]
[tɛ]
[dɛ]
[to]
[do]
- - - -
表記(語頭)
表記(語中)

- -
テァ
デァ

- - - -
/c/ 音素 /ca/ /ci/ - - - /co/ /cja/ /cju/ /cjɛ/ /cjo/
音声(語頭)
音声(語中)
[ʦa]
-
[ʦï]
[zï]
- - - [ʦo]
-
[ʨa]
[ʑa]
[ʨɯ̈]
[ʑɯ̈]
[ʨɛ]
[ʑɛ]
[ʨo]
[ʑo]
表記(語頭)
表記(語中)
ツァ
-

- - - ツォ
-
チャ
ジャ
チュ
ジュ
チェァ
ジェァ
チョ
ジョ
/d/ 音素 /da/ - - /de/ /dɛ/ /do/ - - - -
音声(語頭)
音声(語中)
[da]
[ ̃da]
- - [de]
[ ̃de]
[dɛ]
[ ̃dɛ]
[do]
[ ̃do]
- - - -
表記(語頭)
表記(語中)

- -
デァ
デァ

- - - -
/n/ 音素 /na/ /ni/ /nu/ /ne/ /nɛ/ /no/ /nja/ /nju/ - /njo/
音声 [na] [nï] [nɯ̈] [ne] [nɛ] [no] [nʲa] [nʲɯ̈] - [nʲo]
表記 ネァ ニャ ニュ - ニョ
/h/ 音素 /ha/ /hi/ /hu/ /he/ /hɛ/ /ho/ /hja/ /hju/ /hjɛ/ /hjo/
音声 [ha] [ɸï] [ɸɯ̈] [ɸe] [ɸɛ] [ho] [ɸʲa] [ɸʲɯ̈] [ɸʲɛ] [ɸʲo]
表記 フィ フェ フェァ フャ フュ フェァ フョ
/b/ 音素 /ba/ /bi/ /bu/ /be/ /bɛ/ /bo/ /bja/ /bju/ - /bjo/
音声(語頭)
音声(語中)
[ba]
[ ̃ba]
[bï]
[ ̃bï]
[bɯ̈]
[ ̃bɯ̈]
[be]
[ ̃be]
[bɛ]
[ ̃bɛ]
[bo]
[ ̃bo]
[bʲa]
[ ̃bʲa]
[bʲɯ̈]
[ ̃bʲɯ̈]
- [bʲo]
[ ̃bʲo]
表記(語頭)
表記(語中)




ベァ
ベァ

ビャ
ビャ
ビュ
ビュ
- ビョ
ビョ
/p/ 音素 /pa/ /pi/ /pu/ /pe/ /pɛ/ /po/ /pja/ /pju/ - /pjo/
音声 [pa] [pï] [pɯ̈] [pe] [pɛ] [po] [pʲa] [pʲɯ̈] - [pʲo]
表記 ペァ ピャ ピュ - ピョ
/m/ 音素 /ma/ /mi/ /mu/ /me/ /mɛ/ /mo/ /mja/ /mju/ - /mjo/
音声 [ma] [mï] [mɯ̈] [me] [mɛ] [mo] [mʲa] [mʲɯ̈] - [mʲo]
表記 メァ ミャ ミュ - ミョ
/r/ 音素 /ra/ /ri/ /ru/ /re/ /rɛ/ /ro/ /rja/ /rju/ - /rjo/
音声(語頭)
音声(語中)
[ɺa]
[ɾa]
[ɺï]
[ɾï]
[ɺɯ̈]
[ɾɯ̈]
[ɺe]
[ɾe]
[ɺɛ]
[ɾɛ]
[ɺo]
[ɾo]
[ɺʲa]
[ɾʲa]
[ɺʲɯ̈]
[ɾʲɯ̈]
- [ɺʲo]
[ɾʲo]
表記 レァ リャ リュ - リョ
/w/ 音素 /wa/ - - - /wɛ/ - - - - -
音声 [ɰa] - - - [ɰɛ] - - - - -
表記 - - - ウェァ - - - - -
/kw/ 音素 /kwa/ - - - - - - - - -
音声(語頭)
音声(語中)
[kʷa]
[ɡʷa]
- - - - - - - - -
表記(語頭)
表記(語中)
クヮ
グヮ
- - - - - - - - -
/ɡw/ 音素 /ɡwa/ - - - - - - - - -
音声(語頭)
音声(語中)
[ɡʷa]
[ŋʷa]
- - - - - - - - -
表記(語頭)
表記(語中)
グヮ
ク゜ヮ
- - - - - - - - -
特殊音素
  撥音 促音 長音
音素 /ɴ/ /Q/ /R/
表記

表記

編集

使 /ɛ/ 

/e/  /ɛ/ 

/ɛ/ 

アクセント

編集

アクセント体系

編集

[14]



nn+1[15]
核の位置 一音節語 二音節語 三音節語 四音節語
なし ○○ ○○○ ○○○○
第一音節 ○○ ○○○
第二音節   ○○
第三音節     ○○ ○○
第四音節       ○○○

[15]

[16]

[17]

他方言との対応

編集

1112

姿

退[14]

名詞

編集

院政時代の京都アクセント、現代東京アクセント、現代秋田アクセントの対応関係を音節数ごとに示す。アクセント体系上の弁別単位を上段に、具体的高低を下段に記す。京阪式アクセントについては、高起式をH、低起式をLで示す。また単独の形と助詞が付いた形を併記し、助詞のアクセントを括弧内に示す。ただし助詞のアクセントは院政時代には独立していたため、直前の名詞に従属するようになった鎌倉時代のものを記す。母音によって型が分裂する場合があるが、その場合はどの音節の母音により型が分裂するかを◎で示す。なお、名詞では秋田方言での音節数と共通語や他方言での拍数は基本的に一致するため、一音節名詞、二音節名詞はほぼ他方言の一拍名詞、二拍名詞に相当する。四音節以上では対応に例外が多いのでここでは取り上げない。

一音節名詞
編集

基本的に東京式アクセントの多くの地域と型が一致する。

一音節名詞のアクセントの対応
院政 東京 秋田 所属語例
一類 H○

高(高)


低(高)


低(低)
柄・蚊・毛・子・血・戸・帆・実・世
二類 H

高(低)


低(高)


低(低)
名・葉・日・藻・矢
三類 L

低(高)


高(低)


高(低)
絵・尾・木・酢・背・田・手・菜・荷・根・野・火・穂・目・芽・湯・夜・輪

院政期京都アクセントには、一拍名詞に基本的に三種類の型があった。現代の東京や秋田では一類と二類のアクセントが同じになっており、一類と二類が平板型、三類が頭高型になっている。

このような類の統合の仕方は外輪東京式および中輪東京式と一致する。内輪東京式(名古屋や岡山など)は二類が頭高型になって三類に統合しており、東京や秋田とは異なる。

二音節名詞
編集

秋田方言のアクセントは共通語に近い面も多いが、二音節名詞のアクセントは北奥羽方言的色合いが濃く、共通語アクセントとの違いが目立つものとなっている。

二音節名詞のアクセントの対応
院政 東京 秋田 所属語例
母音     狭母音 広母音
一類 H○○
高高
高高(高)
○○
低高
低高(高)
○○
低低
低低(低)
飴・枝・顔・風・壁・霧・口・首・腰・坂・酒・皿・下・鈴・滝・竹・爪・鳥・西・庭・布・蝿・端・蜂・鼻・羽・膝・紐・蓋・星・水・道・虫・森・床・嫁
二類 H
高低
高低(低)

低高
低高(低)
○○
低低
低低(低)
痣・石・岩・歌・音・垣・型・紙・殻・川・北・串・蝉・旅・塚・次・蔦・弦・梨・夏・橋・旗・肘・人・昼・冬・町・村・雪
三類 L○
低低
低低(高)

低高
低高(低)

低高
低高(低)
足・穴・網・泡・家・池・犬・色・腕・裏・鍵・皮・髪・草・靴・雲・米・塩・舌・島・霜・炭・谷・月・土・年・縄・波・墓・花・腹・耳・物・山・指・夢
四類 L
低高
低高(高)

高低
高低(低)

高低
高低(低)

低高
低高(低)
息・板・糸・稲・今・海・奥・傘・数・肩・鎌・今日・今朝・汁・隅・空・種・粒・苗・中・箸・肌・針・船・松・麦・屋根
五類 L
低降
低高(低)

高低
高低(低)

高低
高低(低)

低高
低高(低)
秋・汗・雨・鮎・井戸・桶・影・蜘蛛・鯉・声・琴・猿・足袋・露・鶴・鍋・春・鮒・窓・婿・夜

秋田方言の二音節名詞のアクセントで注目すべきことは、二類が一類と統合して平板型になっていることである。これは外輪東京式の重要な特徴であり、二類が三類と統合して尾高型になっている中輪東京式や内輪東京式と大きく異なる点である。

四類と五類は京阪式アクセントの地域では区別があるが、東京式アクセントの地域では区別がなく、秋田でも類としては統合している。しかし秋田では、類としては一つに統合した四類と五類が、第二音節の母音の条件によって二つの型に分裂しており、第二音節の母音が広母音(ア・ウ・オ)である語は尾高型に、狭母音(イ・ウ)である語は頭高型になる傾向が強く認められる。これは、東京や大分のように頭高型に統合してから、二音節目が広母音の場合に限って核の一音節後退が起こり型が分裂したものである。このため、二音節目が広母音の語では、三類と四類・五類の統合が起こっている。

三音節名詞
編集

秋田方言の三音節名詞のアクセントは類の統合の形では外輪東京式の色合いが濃いものの、二次変化として広母音への核後退が起きたため独特なものになっている。

三音節名詞のアクセントの対応
院政 東京 秋田 所属語例
母音     狭母音 広母音
一類 H○○○
高高高
高高高(高)
○○○
低高高
低高高(高)
○○○
低低低
低低低(低)
霰・筏・田舎・鰯・夫・柏・形・着物・車・煙・氷・衣・舅・印・使い・隣・額・昔・柳
二類 H○
高高低
高高低(低)
○○
低高高
低高高(低)
○○○
低低低
低低低(低)
間・小豆・毛抜き・桜・翼・釣瓶・蜥蜴・二つ・二人・緑・
百足・昨夜
三類 H○○
高低低
高低低(低)
○○
高低低
高低低(低)
○○○
低低低
低低低(低)
鮑・黄金・小麦・栄螺・力・二十歳・岬
四類 L○○
低低低
低低低(高)
○○
低高高
低高高(低)
○○
低低高
低低高(低)
頭・嵐・鼬・扇・男・表・女・鏡・刀・言葉・拳・暦・境・宝・鋏・林・東・光・袋・襖・仏・蕨
五類 L○
低低高
低低高(高)
○○
高低低
高低低(低)

低高低
低高低(低)
○○
低低高
低低高(低)
朝日・油・五つ・命・鰈・胡瓜・欅・心・姿・簾・涙・錦・柱・眼・火箸
六類 L○○
低高高
低高高(高)
○○○
低高高
低高高(高)
◎○
高低低
高低低(低)

低高低
低高低(低)
兎・鰻・烏・狐・雀・背中・高さ・狸・鼠・裸・誠・操・蚯蚓・蓬
七類 L
低高低
低高低(低)
○○
高低低
高低低(低)
◎○
高低低
高低低(低)

低高低
低高低(低)
苺・後ろ・蚕・鯨・薬・便り・盥・椿・一人

秋田の三音節名詞のアクセントは、一類と二類と三類が平板型に統合、四類が尾高型、五類が中高型、六類と七類が頭高型に統合した体系から変化したものと見られる。五類は三音節目の母音によって型が分裂し、広母音なら尾高型、狭母音なら中高型になる傾向がある。また六類と七類は二音節目の母音によって型が分裂し、広母音なら中高型、狭母音なら頭高型になる傾向がある。ただし厳密な傾向ではなく例外もある。

三音節名詞の尾高型は平板型との間を動揺しており[18][19]、地域によっては四類の語全てや、五類で三音節目に広母音を持つ語を平板型で発音する話者も存在するようである[20]

動詞

編集

院政時代の京都アクセント、現代東京アクセント、現代秋田アクセントの動詞アクセントの対応関係を音節数ごとに示す。院政期には終止形と連体形のアクセントに違いがあったが、現代諸方言の終止形および連体形は院政期の連体形につながるため院政期の連体形のアクセントを示す。活用語尾の母音により同じ動詞でも核の位置が移動することがあるため、核の移動に関わる音節の位置を◎で示す。なお、動詞でも秋田方言での音節数と共通語や他方言での拍数は終止形では基本的に一致するため、二音節動詞、三音節動詞はほぼ他方言の二拍動詞、三拍動詞に相当する。

二音節動詞
編集
一段動詞
編集
二音節動詞のアクセントの対応(一段動詞)
院政 東京 秋田 所属語例
母音     狭母音 広母音  
一類 H○○
高高
○○
低高
○○
低低
着る・似る・煮る・寝る
二類 L
低高

高低

高低

低高
見る



退[21]
五段・変格動詞
編集
二音節動詞のアクセントの対応(五段・変格動詞)
院政 東京 秋田 所属語例
母音     狭母音 広母音  
一類 H○○
高高
○○
低高
○○
低低
言う・行く・産む・売る・置く・押す・買う・嗅ぐ・貸す・刈る・聞く・消す・咲く・死ぬ・知る・する・釣る・飛ぶ・泣く・抜く・塗る・乗る・引く・拭く・踏む・焼く・呼ぶ・沸く・割る
二類 L
低高

高低

高低

低高
会う・有る・打つ・折る・飼う・書く・勝つ・噛む・切る・食う・来る・漕ぐ・裂く・刺す・住む・立つ・付く・出る・研ぐ・取る・縫う・脱ぐ・飲む・這う・吐く・剥ぐ・降る・掘る・待つ・持つ・酔う・読む

退

便便便便便便退[21]
三音節動詞
編集
一段動詞
編集
三音節動詞のアクセントの対応(一段動詞)
院政 東京 秋田 所属語例
母音     狭母音 広母音  
一類 H○○○
高高高
○○○
低高高
○○○
低低低
上げる・当てる・荒れる・入れる・植える・埋める・変える・欠ける・枯れる・消える・暮れる・越える・捨てる・抜ける・濡れる・腫れる・負ける・曲げる・燃える・痩せる・止める
二類 L○
低低高

低高低

低高低
○○
低低高
受ける・起きる・落ちる・下りる・掛ける・覚める・閉める・過ぎる・建てる・垂れる・閉じる・投げる・逃げる・伸びる・晴れる・吠える・褒める・見せる・漏れる・茹でる・分ける

退
五段動詞
編集
三音節動詞のアクセントの対応(五段動詞)
院政 東京 秋田 所属語例
母音     狭母音 広母音  
一類 H○○○
高高高
○○○
低高高
○○○
低低低
上がる・遊ぶ・当たる・浮かぶ・踊る・終わる・歌う・送る・変わる・暮らす・殺す・探す・触る・沈む・進む・使う・続く・積もる・並ぶ・登る・運ぶ・拾う・曲がる・貰う・渡る・笑う
二類 L○
低低高

低高低

低高低
○○
低低高
余る・急ぐ・痛む・動く・思う・泳ぐ・帰る・乾く・曇る・下がる・騒ぐ・叩く・頼む・作る・包む・通る・届く・直る・盗む・残る・挟む・走る・払う・光る・響く・迷う・戻る・休む・破る・許す
三類 L○○
低高高

低高低

低高低
○○
低低高
歩く・隠す・入る

[22]鹿[23]

[22]

形容詞

編集

院政時代の京都アクセント、現代東京アクセント、現代秋田アクセントの形容詞アクセントの対応関係を音節数ごとに示す。院政期は連体形のアクセントを示す。活用語尾の母音により同じ動詞でも核の位置が移動することがあるため、核の移動に関わる音節の位置を◎で示す。形容詞では終止形語尾イが語幹と融合して語形が一音節短くなっていることがあるため、両形のアクセントを示す。

二音節形容詞
編集
二音節形容詞のアクセントの対応
院政 東京 秋田 所属語例
融合     無し 有り  
一類 H○
高降

高低

高低

濃い
二類 L
低降

高低

高低

無い・良い

使[24]退
三音節形容詞
編集
三音節形容詞のアクセントの対応
院政 東京 秋田 所属語例
融合     無し 有り  
一類 H○○
高高降
○○○
低高高
○○○
低低低
○○
低低
赤い・浅い・厚い・甘い・荒い・薄い・遅い・重い・硬い・軽い・辛い・遠い
二類 L○
低低降

低高低

低高低

低高
青い・熱い・痛い・旨い・多い・痒い・辛い・臭い・黒い・寒い・渋い・白い・狭い・高い・近い・強い・長い・苦い・早い・低い・広い・深い・太い・古い・細い・脆い・安い・緩い・若い・悪い

[25]

文法

編集

*--(/) Ø

用言

編集


動詞

編集

5

使[26][27][28]便使便便
動詞の活用
動詞 未然形 連用形 基本形 仮定形 命令形 意向形 音便形
活用 語例              
五段 書く カガ- カギ- カグ- カゲ- カゲ カゴ(ー) ケァ-
カエ-
上一段 見る ミ- ミ- ミル- ミレ- ミレ
(キロ)
ミロ(ー) ミ-
下一段 寝る ネ- ネ- ネル- ネレ- ネレ
(ネロ)
ネロ(ー) ネ-
カ変 来る コ- キ- クル- コエ-
(クレ-)
(ケ-)
コエ
クロ(ー)
コロ(ー)
キ-
サ変 する サ-
(シ-)
シ- シル-
シ-
シレ-
シェ-
シレ
シェ
シロ(ー)
ショ(ー)
ソ(ー)
シ-
後続する接辞 -ネァ
-(サ)シェル
-(ラ)レル
(-(ラ)サル)
(-バ)
-(中止)
-テァ・デァ
-(終止)
-(連体)
-シ-・-ス
-ベ(シ)
(-デロ)
(-ガロ)
-   (-バヤ) -テ・デ
-タ・ダ

使使

-鹿--

鹿鹿---

形容詞

編集



便[29][30][31]
形容詞の活用
形容詞 (未然形) (連用形) (基本形) (仮定形)
高い タゲァ- タゲァ- タゲァ- タゲァ-
後続する接辞 -
-ガ
(-デロ)
(-ガロ)
(-ゴッタ)
-グネァ
-グネァガッタ
-グテ
-(ク)テモ
-ガッタ
-(終止)
-(連体)
-ドモ
(-バッテ)
-
-ケァ
-ガラ

-

----鹿---
形容詞化
編集

-----沿-[29][32]

形容動詞

編集

形容動詞の活用形は以下のようになる[33]

形容動詞の活用
形容動詞 連用形 基本形 仮定形
  連用形 テ形 タ形   バ形
静か -ニ - -デアッ
-ダッ
-
(-ナ)
-
(-ナ)
後接する接辞 -(用言) -ネァ -タ -(終止)
-(体言)
-
(-デロ)
(-ガロ)
-

-------

----------

助動詞

編集

-()-()使-()-()-------()

体言

編集


名詞

編集


人称代名詞
編集

[34][35]
指示代名詞
編集

秋田方言の指示代名詞の体系は以下のようになる[36]

指示代名詞
  近称 中称 遠称 不定称
事物 コレ・コエ ソレ・ソエ アレ・アエ ドレ・ドエ
場所 コゴ ソゴ アソゴ・アッコ ドゴ
方向 コッチ ソッチ アッチ ドッチ
人称 コエジ ソエジ アエジ ドエジ
連体詞 コノ ソノ アノ ドノ
コンタ ソンタ アンタ ドンタ
ナンタ
副詞 コー ソー アー ドー
ナント
コンタニ ソンタニ アンタニ ドンタニ
ナンタニ

-


形式名詞
編集



---鹿--

------

----

接続詞

編集



---[37]

---[37]




接辞

編集

--調[38]-

-----

<> ---(

助詞

編集


格助詞

編集

------[39]

-----

----使---

---

係助詞

編集

-------[40][41][42]

---

副助詞

編集

----------------

終助詞

編集

---[43]

--使--沿

-

-------

--

-

--

-使

間投助詞

編集

秋田方言では、提示詠歎の間投助詞として「-ハ」が用いられる。共通語の「-は」とは異なり「-ワ」とは発音されない。撥音の直後では「ナ」になる。直前の名詞と融合した場合には主格表示に用いられる。

共通語の「-さ」「-ね」「-よ」にあたる間投助詞としては「-シャ」(「-セァ」)や「-ヤ」「-ヨ」が多用される。

接続助詞

編集

共通語の接続助詞には、「-ば」「-たら」「-なら」「-と」「-から」「-ので」「-けれども」「-が」「-のに」「-ても」などがある。

仮定条件
編集

------

-便-----

---------
確定条件(原因・理由)
編集

--------------------
逆接
編集

-------------

態(ヴォイス)

編集

(ヴォイス)には受動態、使役態、可能態、自発態などがある。

受動態

編集

----鹿

-----------

-----

使役態

編集

使-----()-()-()鹿使[44]

使使----

可能態

編集

--*---

使  

自発態

編集

--

時制(テンス)と相(アスペクト)

編集



---

[45]

法性(モダリティ)

編集



--- (//)[46])

---[46]- [47]





-----鹿--沿-----

--

---------

--------鹿-

敬語

編集

使------[48][49]

鹿--鹿----

[49]
区画 鹿角方言 県北方言 中央方言 県南方言 由利方言
書きます カガンシ カグ(ッ)シ カグス
カグ(ッ)シ
カグデアンシ
カグ(ン)シ カギアンシ
書きません カガナエンシ
カガネァンシ
カガネス
カガネァ(ッ)シ
カガネァ(ッ)シ
カガナガンシ
カガネァ(ン)シ カギヤヘン
そうです ソーダンシ ンダ(ッ)シ ンダス
ンダ(ッ)シ
ソーデアンシ
ンダ(ン)シ ンデゴザリアンシ
ンデガンシ

語彙

編集

使退

代表的な語彙

編集







20

名詞

編集
語彙 アクセント 意味 語源・備考
アサマ 0, 2 「朝間」(あさま)から[50]
1  
オヅゲッコ 0 味噌汁  
オド 2 オヤズ(親父)とも言う。
オドデナ、オドトイ 0 一昨日  
ガッコ 1 漬け物、香の物 「香々」(かうこ)からか[51]
ガモ 2 男児の陰部  
クヅ 2  
ゴンボ 0 ゴボウ  
サトッコ 2 砂糖  
ダマッコ 2 球体  
ダミ 2 駄目  
ブグ 0 ちゃんちゃんこ、綿入れ、袢纏  
ナヅギ、ナジギ 0 おでこ 「脳」を意味する古語「なづき」から[52]
バガケ 0 馬鹿 「馬鹿」に接尾辞の「け」が付いたもの[53]
バシ 0  
バシコギ 0 嘘つき  
バッチャ 1, 3 祖母、伯叔母、妹  
ベゴ 2 牛の鳴き声を表す「メー」「ベー」に指小辞「-コ」が付いて一語化したもの[54]
ブリコ、ブリッコ 0 ハタハタの卵  
ヘナガ 2 背中  
ボダ、ボダッコ 0 塩ジャケ。  
マナグ 2 目、眼 「眼」(まなこ)の母音転化[52]
ヤナサッテ 3 明々後日、三日後 東北地方で広く用いられる。
標準語の「やのあさって」は、四日後のことであることに注意。
ワラシ、ワラシッコ 0 子供  

動詞

編集

鹿使
語彙 アクセント 活用 意味 語源・備考
アラゲル 0 下一段 乱暴する。暴れる。  
ウルダグ 3 ガ行五段 慌てて急ぐ。  
ウルガス 3 サ行五段 液体に浸して柔らかくする。 「潤わせる」からか。
ウルゲル 3 下一段 液体に浸って柔らかくなる。  
オカ゜ル 2 ラ行五段 成長する。伸びる。育つ。 「ガ」は鼻濁音であることに注意。
カダル 1 ラ行五段 仲間に入る。参加する。  
カッチャグ 3 カ行五段 引っ掻く。 「掻き裂く」の音変化[55]
カマドケェス 4 サ行五段 破産する。 「竈を返す」からか。
ガメル 2 下一段 くすねる。盗む。取って独り占めにする。  
ゴシャグ 2 カ行五段 怒る。叱る。  
ゴッキリやる 3 ラ行五段 (指導として頭を)拳骨で叩く。  
タガグ 2 ガ行五段 持つ。 「ガ」は鼻濁音であることに注意。
チョス 1 サ行五段 弄る。触る。弄ぶ。 「嘲す」から[56]
デハル 2 ラ行五段 外に出る。 「出張る」から[57]
トショル 2 ラ行五段 年をとる。老いる。 「年寄る」から[58]
ドデする 2 サ行変格 びっくりする。 「動転する」からか。
ナカ゜マル 3 ラ行五段 横になる。 「長める」からか。
ナケ゜ル 2 下一段 捨てる。 「ゲ」は鼻濁音。「投げる」から。
(東北地方および北海道で広く用いられる。)
ヌグダマル 4 ラ行五段 暖まる。  
ヌグダメル 4 下一段 暖める。  
ネマル 2 ラ行五段 座る。  
ノッカガル 4 ラ行五段 寄り掛かる。  
ハヤス 2 サ行五段 野菜などを切る。  
ボウ 0 ワ行五段 追う。  
ボッコエル 4 下一段 壊れる。 「ぶっ壊れる」からか。
ボッコス 3 サ行五段 壊す。 「ぶっ壊す」からか。
マガス 2 サ行五段 (器の中の液体を誤って)こぼす。
マガエル 3 下一段 (器の中の液体が)こぼれる。  
マガル 2 ラ行五段
ヤガナル 2 ラ行五段 世話になる。 「厄介になる」からか。
ヨバル、ヨバル 0 ラ行五段 呼ぶ。招待する。  

形容詞

編集

形容詞のイ語尾が融合している形と融合していない形がある場合、非融合形は内陸部で、融合形は海岸部で用いられる傾向がある[59]

語彙 アクセント 意味 語源・備考
1 良い、美しい。 「良し」(えし)から[60]
エダマシ、イダワシ 4 惜しい、勿体無い。 「痛ましい」、「いたわしい」から。
オモシェ 3 楽しい。 「面白い」から。
キカネ 0 粗暴だ。 主に子供の粗暴な様子を表す。
ケァ、ケェ、ケ 1 かゆい。  
カイ 2
コエァ、コエ 2 疲れている。疲れた。 「強い」(こわい)からか。
コチョケ 3 くすぐったい。  
サガシ 3 賢い。 「賢しい」(さかしい)から。
シカダネ 4 申し訳ない。気の毒だ。 「仕方ない」からだが謝罪や同情を表す。
シネェ、シネェ 3 (食べ物が)硬い。 「しなう」の形容詞化からか。
サビ、サビィ 2 寒い。  
ジョサネ 3 簡単だ。 「造作無い」からか。
ショシ 1 恥ずかしい。 「笑止」の形容詞化[61]
トギ 0 遠い。 「遠い」の連体形「遠き」を「遠きい」として終止形に用いたもの[62]
トジェネ、トジェネァ、トゼネァ 0 淋しい。退屈だ。 「徒然ない」(とぜんない)から[63]
ナモカモネ 1 大変だ。冷静でいられない。 単独では用いず、前に接続する節を強調するときに用いる。
「何もかにもない」からか。
ネフテ 0 眠い。  
ノギ、ヌグエ、ヌギ 2 暖かい。暑い。 「温い」(ぬくい)から。
ハラワリ 2 腹立たしい。胸糞が悪い。 「腹悪い」から。
ヒズネ 3 辛い。苦しい。 「せつなし」から。
フルシ 3 古い。 「古い」のシク活用形「古しい」から[64]
メコ゜エ、メケ゜
メンコエ、メンケ
3 可愛らしい。 「愛し」(めぐし)、「めぐい」の母音交替形[65]
ヤッコエ、ヤッケェ 4 柔らかい。 「やわっこい」の音変化形[66]
ヨイデネ、ヨエデネァ 4 しんどい。大変だ。辛い。
容易では無い。手強い。
「容易で無い」から。
ンメァ 0 甘い。おいしい。 「うまい」から。

形容動詞

編集
語彙 アクセント 意味 語源・備考
ンタ、ンカ 1 いやだ。 <例> 「ソエダバ、ンタ。」(それはいやだ。それではいやだ。) 「ンタグナル。」(いやになる。)

副詞

編集
語彙 アクセント 意味 語源・備考
オガ 1 あんまり。とても。 後ろに「だ」をつけて「オガだ」(あんまりだ)、
「でね」をつけて「オガでね」(あんまりではないか)とも言う。
ガリット 3 ぴったりと。しっかりと。  
サット、サットガ 0 少し。ちょっと。  
スッタゲ、シンタゲ 0 すごく。とても。とても一所懸命に。 「死ぬほど」の意。
デラット 3 全て。すっかり。  
チャッチャド 0 さっさと。てきぱきと。すぐに。  
ナシテ 1 なぜ。  
マズ、
マンチ、マンツ、
マンジ、マンズ
1 とても。
(前に「セバ」や「ヘバ」を伴って)「さようなら」
「あらまあ」の意味の感動詞としても用いられる。
「先ず」の音変化。
ヤットガ 0 なんとか。辛うじて。やっと。  
コンタニ 0 こんなに。  
ソンタニ 0 そんなに。  
アンタニ 0 あんなに。  

助詞

編集
種類 語彙 意味 語源・備考
格助詞 に。へ。 (室町時代の東国方言の残存)
ドゴ を。  
副助詞
(係助詞)
ダバ 〜の場合は。〜であれば。〜ならば。
(〜は。〜なら。〜では。)
<例>
「ソイダバ駄目ダ。」「ソイダバ駄目ダ。」(それでは駄目だ。)
副助詞 バリ ばかり。だけ。  
終助詞 ス、ッス (丁寧語) 「です」、「ます」に相当。用言の終止形の後ろに付く。
<例>
「ンダス。」(そうです。)
ッケ ようだよ。 用言の終止形の後ろに付く。
デ、デェ、ベェ しよう。 動詞の終止形の後ろに付く。
だろう。 用言の終止形の後ろに付く。

代名詞

編集
語彙 アクセント 意味 語源・備考
オイ、オエ 0 私、俺  
オメ(ンガとも言う) 0 君、お前  
コイ、コエ 0 これ。こいつ(この人)。  
ソイ、ソエ 0 それ。そいつ(その人)。  
アイ、ソエ 0 あれ。あいつ(あの人)。  
ドイ、ドエ 0 どれ。  
コゴ 0 ここ。  
ソゴ 0 そこ。  
アソゴ 0 あそこ。  
アッコ 2  
ドゴ 0 どこ。  
代名詞に助詞「サ」が付くと縮約が生じるもの
語彙 アクセント 意味 語源・備考
コサ (「コゴサ」とも言う) 0, 1 ここに。こちらに。 「コゴ」+「サ」
コッチャ (「こっちサ」とも言う) 0, 2 こちらに。 「こっち」+「サ」
ソサ (「ソゴサ」とも言う) 0, 1 そこに。そちらに。 「ソゴ」+「サ」
ソッチャ (「そっちサ」とも言う) 0, 2 そちらに。 「そっち」+「サ」
アッチャ (「あっちサ」とも言う) 0, 2 あそこに。あちらに。 「あっち」+「サ」
(「アサ」という表現は使われず、「アッコサ」と言う。)
ドサ (「ドゴサ」とも言う) 0, 1 どこに。 「ドゴ」+「サ」
ドッチャ (「どっちサ」とも言う) 0, 2 どこに。どちらに。 「どっち」+「サ」

連体詞

編集
語彙 アクセント 意味 語源・備考
0 こんな。このような。  
0 そんな。そのような。  
0 あんな。あのような。  
タ、ド 0 どんな。どのような。  
タラ 0 こんな。 「コンタ」のぞんざいな表現。
タラ、ンタラ、ンタ 0 そんな。 「ソンタ」のぞんざいな表現。

接続詞

編集
語彙 アクセント 意味 語源・備考
セバ、ヘバ
バ、ヘ
1 では。じゃあ。 「さようなら」の意味の感動詞としても用いられる。
ンダガラ 3 だから。  
ンダドモ 3 でも。しかし。  

感動詞

編集
語彙 アクセント 意味 語源・備考
アイー、アヤー 0 あらー!  
サエ、サイ、
サーイ、サイー(秋田県の中央から北の一部地域)
1 しまった!  
ニャー、ンニャー 0 あらー!  
ンタ、ンカ(南地方では、ヤンダ) 1 いやだ。  
ンダ 0, 2 そうだよ。はい。  
ンダガラ 3 そうだな。そうだね。説明するときの「だから、○○○。」 「ンダクアルハ」の縮約[29][30]

古語の残存

編集

使8181000

退

語彙の分布

編集

[67][68][69][70][71]

[72]鹿鹿鹿[73]



鹿鹿鹿[74]

歴史

編集

現在の秋田県にあたる地域で過去にどんな言語が話されていたかは、文献記録が欠如していて不明な点が多い。

中世以前

編集

西

[75]

---便便便便使--[76]-便便便西---

近世

編集

[77]鹿

近代

編集

30西西189624[78]

第二次世界大戦後

編集

196019501960退

195019645191973424[79]

1970使退使[80]

現在

編集

31950196019601950601970[81]

退--[82]

使使使使--

使1976NHK2003ZuZu33117202005

参考文献

編集

  2000ISBN 978-4-89544-246-6
   2-31

  32-73

  74-132

  133-157

 4 - 1982
  149-177

  179-211

  271-295

西    1994ISBN 978-4-89668-823-8
 調 3-50119633

 -- 1975
  5-40

  157-199

  11 1977
 西 235-289

  2002ISBN 978-4-273-03211-1

 2 2006ISBN 978-4-00-027118-9
 5  181-219

西  1996ISBN 978-4-625-42097-9
  3-17

 鹿45(2017)doi:10.24571/swjcb.45.0_37

  1996ISBN 978-4-273-02892-3

出典

編集


(一)^   11 197757-73

(二)^  (1982)276

(三)^ 沿︿? 2011ISBN 978-4895445375

(四)^  (1975)166-168

(五)^  (2000)12-14

(六)^  (1982)276-277

(七)^  (2000)37-38

(八)^  (1982)282-283

(九)^  調 196316

(十)^  (2000)43-44

(11)^  調 196322-25

(12)^  (2002)205-251

(13)^  (2002)317-394

(14)^ ab  11 1977176-177

(15)^ ab (2000)26

(16)^  (1982)165-166280-281

(17)^ NHK NHK   1998154

(18)^  (1982)167

(19)^  調 196330-33

(20)^  (2000)65-69

(21)^ ab (2000)69-70

(22)^ ab (2000)70-71

(23)^ NHK NHK   1998166

(24)^  (2000)72

(25)^  (2000)72-73

(26)^  (2000)77-80

(27)^  (1975)181-184

(28)^  (1982)290-291

(29)^ abc (2000)81-82

(30)^ ab (1975)185-188

(31)^  (1982)291-292

(32)^  (1975)195-197

(33)^  (2000)82-83

(34)^  (2000)87-89

(35)^  (1982)289-290

(36)^  (2000)87-88

(37)^ ab (2000)128-132

(38)^  (1982)288

(39)^  (2006)203-216

(40)^  (2000)97-98

(41)^  (1982)289

(42)^  (1975)188-189

(43)^  (2000)117-119

(44)^  (2000)101

(45)^  (2000)108-109

(46)^ ab (2000)111-113

(47)^   52 2002208 (PDF)  (PDF) 

(48)^  (2000)116-117

(49)^ ab (1982)277-278

(50)^  (2000)412

(51)^  (2000)324

(52)^ ab (2000)297

(53)^  (2000)271

(54)^  (2000)207

(55)^  (2000)449

(56)^  (2000)506

(57)^  (2000)428

(58)^  (2000)491

(59)^  (2000)909

(60)^  (2000)558

(61)^  (2000)567

(62)^  (2000)546-547

(63)^  (2000)566

(64)^  (2000)547

(65)^  (2000)590

(66)^  (2000)550

(67)^  (2000)908

(68)^  (2000)29834

(69)^  (2000)21826

(70)^  (2000)10815

(71)^  (2000)33838

(72)^  (2000)22827

(73)^  (2000)33907

(74)^  (2000)186-187199-202

(75)^  (1982)153

(76)^  (1977)263-264

(77)^  (1975)32

(78)^ 西 西

(79)^   1998ISBN 978-4-89544-180-3

(80)^ 西(1996)4-7

(81)^  (2000)136-141

(82)^  (2000)607-608

関連項目

編集

外部リンク

編集

() - 

  - 

!!

 - 

 -  -