「キログラム」を編集中
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|種類=[[SI基本単位|基本単位]] |
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|物理量=[[質量]] |
|物理量=[[質量]] |
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|定義=[[プランク定数]]を{{val|6.62607015 |
|定義=[[プランク定数]]を{{val|6.62607015}}{{e|-34}} Jsとすることによって定まる質量 |
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|由来=最大密度温度での1 [[リットル|L]]の[[水]]の質量 |
|由来=最大密度温度での1 [[リットル|L]]の[[水]]の質量 |
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|語源=[[ラテン語]] grámma(書かれた物、わずかな重量) |
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'''キログラム'''︵{{lang-fr-short|kilogramme}}、{{lang-en-short|kilogram}}、 |
'''キログラム'''︵{{lang-fr-short|kilogramme}}、{{lang-en-short|kilogram}}、記号: '''kg'''︶は、[[国際単位系]]︵SI︶における[[質量]]の[[SI基本単位|基本単位]]である。'''国際キログラム'''ともいう。基本単位に接頭辞(k)がついているのはキログラムだけである。
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現在、kg |
現在、kgとは[[プランク定数]]によって定義されている。 |
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[[グラム]]({{lang|en|gram}})はキログラムの1000分の1と定義される。またメートル系[[トン]]({{lang|en|metric ton}})はキログラムの1000倍(1メガグラム)に等しいと定義される。 |
[[グラム]]({{lang|en|gram}})はキログラムの1000分の1と定義される。またメートル系[[トン]]({{lang|en|metric ton}})はキログラムの1000倍(1メガグラム)に等しいと定義される。 |
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単位の「k」は[[小文字]]で書き、[[大文字]]で「Kg」と |
単位の「k」は[[小文字]]で書き、[[大文字]]で「Kg」と表記しない。 |
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{{See|キロ#小文字を使う理由}} |
{{See|キロ#小文字を使う理由}} |
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== 定義 == |
== 定義 == |
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キログラムの定義は |
キログラムの定義は2018年[[11月16日]]に次のように改定され<ref>[https://gendai.ismedia.jp/articles/-/55228 キログラムの定義が変わる、そのとき何が起こるのか?] 講談社ブルーバックス、臼田孝、2018年4月24日</ref><ref>[https://www.asahi.com/articles/ASLCF4TKJLCFULBJ028.html ﹁キログラム﹂の定義、変更を決定 ﹁アンペア﹂なども] 朝日新聞、2018-11-16</ref>、2019年[[5月20日]]に発効された。
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{{Squote|キログラムはプランク定数の値を正確に 6.626 070 15×10<sup>-34</sup> ジュール・秒(Js、これはまた m<sup>2</sup> kg s<sup>-1</sup> とも表せる)と定めることによって設定される<ref>臼田孝、新しい1キログラムの測り方、p.199、ブルーバックス B-2056、2018年4月20日第1刷、講談社、ISBN 978-4-06-502056-2</ref>。}} |
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{{Quotation|キログラム(記号は kg)は質量の SI 単位であり、プランク定数 ''h'' を単位 J s(kg m{{sup|2}} s{{sup-|1}} に等しい)で表したときに、その数値を {{val|6.62607015|e=-34}} と定めることによって定義される。ここで、メートルおよび秒は ''c'' および ''∆ν''{{sub|Cs}} に関連して定義される<ref>[https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/SI_9th_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88_r.pdf#page=17 国際単位系(SI)第 9 版(2019)] p.100、産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年3月</ref><ref group="注">国際単位系における正式の言語はフランス語である。ここでの定義は英語及びこれを日本語に翻訳したものである。正式な本文の確認が必要な場合又は文章の解釈に疑義がある場合はフランス語版を確認する必要がある。</ref>。}} |
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{{Squote|The kilogram, symbol kg, is the SI unit of mass. It is defined by taking the fixed numerical value of the Planck constant h to be 6.626 070 15×10<sup>–34</sup> when expressed in the unit Js, which is equal to kg m<sup>2</sup> s<sup>-1</sup>, where the metre and the second are defined in terms of c and ∆νCs.}}<ref>[https://www.bipm.org/utils/common/pdf/si-brochure/SI-Brochure-9-concise-EN.pdf A concise summary of the International System of Units, SI] 第2ページ、Table 1 The seven base units of the SI,massの欄、2019-05-20、BIPM</ref> |
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''c'' は真空中の光の速さ、 ''∆ν''{{sub|Cs}} は {{sup|133}}Cs ([[セシウム]])の超微細構造遷移周波数である。 |
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この新定義によって、129年にわたって使用されてきた国際キログラム原器 |
この新定義によって、129年にわたって使用されてきた国際キログラム原器が廃止された。日本の計量法体系では、計量単位令(平成4年政令第357号)が改正され、2019年[[5月20日]]に施行することにより変更された<ref>[https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190514002/20190514002-4.pdf 計量単位令の一部を改正する政令案 新旧対照条文] 経産省 産業技術環境局 計量行政室、2019年5月14日</ref>。 |
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=== 国際キログラム原器(IPK)の質量の不確かさ === |
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⚫ | キログラムの定義が変更されたことにより、国際キログラム原器(IPK)の質量には10 µgの不確かさがあることとなった<ref> [https://unit.aist.go.jp/nmij/public/events/seminar/2018/scj-symposium_2018/pdf/1_Usuda.pdf 標準改定の歴史、今回の改定と今後] 臼田孝(国際度量衡委員)、日本学術会議公開シンポジウム、p.28、2018年12月2日</ref>。また、各国に配布されているキログラム原器の質量には、BIPMによるキャリブレーション証明書(2019年5月20日以前に発行されたもの)に記載されている不確かさの数値に10 µgを加えた不確かさがあることとされた<ref>[https://www.bipm.org/utils/common/pdf/CC/CCM/BIPM_Note-on-kilogram-redefinition.pdf Note on the impact of the redefinition of the kilogram on BIPM mass calibration uncertainties] BIPM,2019-05-20</ref>。 |
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== 定義の変遷 == |
== 定義の変遷 == |
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=== 当初の定義 === |
=== 当初の定義 === |
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1キログラムの当初の定義は「[[水]]1[[リットル]]の[[質量]]」であった。[[1795年]]の定義では、「大気圧下で氷の |
1キログラムの当初の定義は「[[水]]1[[リットル]]の[[質量]]」であった。[[1795年]]の定義では、「大気圧下で氷の溶けつつある温度(すなわち0度)における水」となっていたが<ref name="decree"> |
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{{cite web |
{{cite web |
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|url = http://smdsi.quartier-rural.org/histoire/18germ_3.htm |
|url = http://smdsi.quartier-rural.org/histoire/18germ_3.htm |
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|accessdate = 2011-11-02 |
|accessdate = 2011-11-02 |
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|quote = ''Gramme'', le poids absolu d'un volume d'eau pure égal au cube de la centième partie du mètre , et à la température de la glace fondante. |
|quote = ''Gramme'', le poids absolu d'un volume d'eau pure égal au cube de la centième partie du mètre , et à la température de la glace fondante. |
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}}</ref>、その後、水の |
}}</ref>、その後、水の体積は温度に依存することが分かり、そのため、﹁最大密度︵=液温摂氏4度︶における[[水|蒸留水]]1立方[[デシ]][[メートル]]︵1リットル︶の質量﹂と定義された。しかし、水の密度は気圧と温度に影響され、気圧にはその因子に質量が含まれている。すなわち、このキログラムの定義には[[循環定義]]が含まれていることになる。この問題を避けるため、[[1799年]]に、当時の技術で上記のキログラムの定義(=1気圧下で摂氏4度の蒸留水1リットルの質量)に合わせた白金製の原器が作製された。これをアルシーヴ原器(kilogramme des Archives)と呼ぶ。
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この問題を避けるため、[[1799年]]に、当時のキログラムの定義に合わせた白金製の原器が作製された。このキログラム原器をアルシーヴ原器 ({{fr|kilogramme des Archives}}) と呼ぶ。
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=== 国際キログラム原器(IPK)による定義 === |
=== 国際キログラム原器(IPK)による定義 === |
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[[File:Prototype kilogram replica.JPG|thumb|[[シテ科学産業博物館]]に展示されているキログラム原器のレプリカ。二重のガラス製の鐘の中に保管されている]] |
[[File:Prototype kilogram replica.JPG|thumb|[[シテ科学産業博物館]]に展示されているキログラム原器のレプリカ。二重のガラス製の鐘の中に保管されている]] |
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2018年まではキログラムの定義は、﹁'''国際キログラム原器{{enlink|International Prototype of the Kilogram|s=off||en}}''' (IPK)の質量﹂であった。SI基本単位において、キログラムが普遍的な[[物理量]]ではなく﹁人工物﹂に基づいて値が定義される単位として最後まで残った<ref |
2018年まではキログラムの定義は、﹁'''国際キログラム原器{{enlink|International Prototype of the Kilogram|s=off||en}}''' (IPK)の質量﹂であった。SI基本単位において、キログラムが普遍的な[[物理量]]ではなく﹁人工物﹂に基づいて値が定義される単位として最後まで残った<ref>イアン・ホワイトロー、﹁単位の歴史 測る・計る・量る﹂p.101、冨永星訳、大月書店、ISBN 978-4-272-44037-5、2009年5月20日第1刷発行</ref>。
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[[画像:Prototype mass drifts.jpg|thumb|right|400px|各国のキログラム原器( |
[[画像:Prototype mass drifts.jpg|thumb|right|400px|各国のキログラム原器(K21-K40)および、IPKの副原器K32・K8(41)<ref>K8(41)は誤って41番と刻印されたが、付属品は正しく8番とされている。したがって8番と刻印された原器はなく、この原器がK8(41)と呼ばれる。</ref>の経年による質量変化。すべての質量変化はIPKに対する相対変化であり、1889年時点でのIPKに対する偏差を0としている<ref>{{Cite journal |title=The Third Periodic Verification of National Prototypes of the Kilogram (1988–1992) |author=G.{{nbsp}}Girard |journal=Metrologia |volume=31 |issue=4 |year=1994 |pages=317–336 |doi=10.1088/0026-1394/31/4/007|bibcode = 1994Metro..31..317G }}</ref>。上記はすべて相対的測定結果であり、どの原器がもっとも環境変動に対して安定していたかを示す歴史的な測定結果というものは存在しない。どの原器も100年以上の間に質量が増大し、その中ではK21・K35・K40およびIPKが相対的に増加量が少なかったという可能性が高い。]]
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[[1875年]]の[[メートル条約]]に基づき、[[1889年]]にキログラムは新しい国際キログラム原器 |
[[1875年]]の[[メートル条約]]に基づき、[[1889年]]にキログラムは新しい国際キログラム原器(IPK:International Prototype Kilogram)の質量と定義された。この国際キログラム原器は、[[1879年]]に作成された3つの原器のうちの1つである。測定の結果、以前のアルシーヴ原器と当時の技術では質量差が認められなかったものであるが、[[1889年]]の第1回[[国際度量衡総会]]の決定により、これ(国際キログラム原器)がキログラムの定義に使用されることとなった<ref name="Quinn">''New Techniques in the Manufacture of Platinum-Iridium Mass Standards'', T. J. Quinn, Platinum Metals Rev., 1986, '''30''', (2), pp. {{nowrap|74–79}}.</ref>。 |
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国際キログラム原器は直径・高さともに約39 |
国際キログラム原器は直径・高さともに約39[[ミリメートル|mm]]の[[円柱 (数学)|円柱]]形の、[[プラチナ]](白金)90%、[[イリジウム]]10%からなる[[合金]]製の金属塊である<ref>[http://www.bipm.org/en/bipm/mass/ipk/ The International Prototype(IPK)] BIPM</ref><ref>[http://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2012/201203essei.pdf 国際キログラム原器と分析化学] 三浦 勉(産業技術総合研究所計測標準研究部門)、ぶんせき、p.164、2012年3月 |
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</ref><ref |
</ref><ref>イアン・ホワイトロー、﹁単位の歴史 測る・計る・量る﹂p.101、冨永星訳、大月書店、ISBN 978-4-272-44037-5、2009年5月20日第1刷発行</ref>。[[フランス]]・[[パリ]]郊外[[セーヴル]]の[[国際度量衡局]](BIPM)に、2重の気密容器で真空中に保護された状態で保管されている<ref name="AFPBB">﹁国際キログラム原器、50マイクログラムの減量明らかに﹂[http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2283851/2144531 AFPBB News]</ref>。
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==== キログラム原器の複製 ==== |
==== キログラム原器の複製 ==== |
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上記1889年の第1回国際度量衡総会において、世界各国で用いる標準原器として各国に国際キログラム原器の複製を配布することが決定された<ref name="aist">https://www.aist.go.jp/science_town/standard/standard_01/standard_01_01.html ﹁“ものさし”のふるさと!?﹂ [[産総研]] 2015年10月14日閲覧</ref>。当初40個の複製が作られて各国に配布・保管されている。これらの原器は約40年ごとに特殊な[[ |
上記1889年の第1回国際度量衡総会において、世界各国で用いる標準原器として各国に国際キログラム原器の複製を配布することが決定された<ref name="aist">https://www.aist.go.jp/science_town/standard/standard_01/standard_01_01.html ﹁“ものさし”のふるさと!?﹂ [[産総研]] 2015年10月14日閲覧</ref>。当初40個の複製が作られて各国に配布・保管されている。これらの原器は約40年ごとに特殊な[[天秤]]を用いて国際キログラム原器と比較されることになっている<ref>水島他、p.185。</ref>。
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==== 日本国キログラム原器 ==== |
==== 日本国キログラム原器 ==== |
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</ref>。2009年9月には、BIPMから原器No.94を新規に購入した<ref>水島他、p.190。</ref>。副原器を含めた以上の4器は[[茨城県]][[つくば市]]の[[独立行政法人]][[産業技術総合研究所]]に保管されている。
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</ref>。2009年9月には、BIPMから原器No.94を新規に購入した<ref>水島他、p.190。</ref>。副原器を含めた以上の4器は[[茨城県]][[つくば市]]の[[独立行政法人]][[産業技術総合研究所]]に保管されている。
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1991年時点における日本国キログラム原器(No.6)の質量は、1 kg + 0.176 mg(つまり、国際キログラム原器より176 µg だけ重い) であった<ref>[https://unit.aist.go.jp/riem/mass-std/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E3%82%AD%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E5%8E%9F%E5%99%A8%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%202018_11_18.pdf 日本国キログラム原器について] 2/7ページ、産総研 計量標準総合センター 工学計測標準研究部門 |
1991年時点における日本国キログラム原器(No.6)の質量は、1 kg + 0.176 mg(つまり、国際キログラム原器より176 µg だけ重い) であった<ref>[https://unit.aist.go.jp/riem/mass-std/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E3%82%AD%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E5%8E%9F%E5%99%A8%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%202018_11_18.pdf 日本国キログラム原器について] 2/7ページ、産総研 計量標準総合センター 工学計測標準研究部門 |
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質量標準研究グループ長 倉本 直樹</ref><ref name="mizu188">水島他、p.188 |
質量標準研究グループ長 倉本 直樹</ref><ref name="mizu188">水島他、p.188。</ref>。 |
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==== キログラム原器の不安定性 ==== |
==== キログラム原器の不安定性 ==== |
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国際キログラム原器の質量は、表面吸着などの影響により年々増加しており、その量は洗浄直後の急速な汚染の他、年に1 & |
国際キログラム原器の質量は、表面吸着などの影響により年々増加しており、その量は洗浄直後の急速な汚染の他、年に1 µg程度と見られている<ref name="mizu188" />。1988年-1992年の第3回各国キログラム原器の定期校正に際して、42年ぶりに国際キログラム原器の洗浄が行われたが、これにより国際キログラム原器の質量は約50 µg減少した︵50 µg は、ちょうど指紋1個に含まれる[[皮脂]]の質量に相当する<ref>臼田孝、新しい1キログラムの測り方、p.75,p.157、ブルーバックス B-2056、2018年4月20日第1刷、講談社、ISBN 978-4-06-502056-2</ref>︶。これは1 kgの5{{E|-8}}倍に当たるので、国際キログラム原器による定義の精度は8桁程度ということになる。質量の定義をより明確にするため、質量単位﹁キログラム﹂は﹁洗浄直後の国際キログラム原器の質量値﹂として解釈されることになった<ref name="mizu188" />。
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[[2007年]]9月、国際キログラム原器が50 & |
[[2007年]]9月、国際キログラム原器が50 µg軽くなっているという報道が一部でなされた<ref name="AFPBB" />。しかし、これは同原器が突然50 µg軽くなったことを意味するわけではない。上記のように原器は経年で徐々に質量を増すことが知られているが、BIPMの解説によると、1889年からの間に他の複数の複製と比較して、質量変動が約50 µg少なかったということだという<ref>なおこれは[[1988年]]-[[1992年]]の定期校正時期の知見であり、同様の報道は以前にも[[1990年]]および[[2003年]]ごろにメディアで取り上げられているという。[http://www.bipm.org/en/scientific/mass/faqs2_mass.html BIPM FAQs]。[http://www.bipm.org/en/scientific/mass/verifications.html グラフ]。</ref>。
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== プランク定数による新定義の経緯 == |
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{{see also|SI基本単位の再定義 (2019年)}} |
{{see also|SI基本単位の再定義 (2019年)}} |
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他のSI基本単位は「普遍的な物理量」に基づく定義に改められてきたのに対し、キログラムだけがいまだ「人工物に依存」する単位として残っていた。人工物による定義では、経年変化により値が変化し、また、焼損や紛失のおそれもある。このため[[1970年代]]から、普遍的な物理量によるキログラムの定義が検討されてきた。[[2011年]][[10月21日]]に国際度量衡総会において、キログラム原器による基準を廃止し、新しい定義を設けることが決議された<ref>[http://www.bipm.org/utils/common/pdf/24_CGPM_Convocation_Draft_Resolution_A.pdf (On the possible future revision of the International System of Units, the SI)]</ref> |
他のSI基本単位は「普遍的な物理量」に基づく定義に改められてきたのに対し、キログラムだけがいまだ「人工物に依存」する単位として残っていた。人工物による定義では、経年変化により値が変化し、また、焼損や紛失のおそれもある。このため[[1970年代]]から、普遍的な物理量によるキログラムの定義が検討されてきた。[[2011年]][[10月21日]]に国際度量衡総会において、キログラム原器による基準を廃止し、新しい定義を設けることが決議された<ref>[http://www.bipm.org/utils/common/pdf/24_CGPM_Convocation_Draft_Resolution_A.pdf (On the possible future revision of the International System of Units, the SI)]</ref> |
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|accessdate=2011-10-22 |
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この決議を実現するために、キログラムを[[プランク定数]] |
この決議を実現するために、キログラムを[[プランク定数]] h によって定義することが2013年12月に提案された。これはプランク定数がもはや実験値ではなく、定義定数となることを意味する。この提案は、SI文書の第9版の1章{{~}}3章の改訂(案)の一部として提案された<ref>http://www.bipm.org/utils/common/pdf/si_brochure_draft_ch123.pdf] Draft Chapters 1, 2 and 3 of the 9th SI Brochure(Draft dated 16 December 2013) , p.13/29</ref>。 |
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:<math>h = 6.626\, 069\, 57 \times 10^{-34} \, \mathrm{J\, s} </math> (採用されなかった定義値) |
:<math>h = 6.626\, 069\, 57 \times 10^{-34} \, \mathrm{J\, s} </math> (採用されなかった定義値) |
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プランク定数に基づく定義では、静止エネルギーと質量の関係式 [[E=mc2|''E'' = ''mc''<sup>2</sup>]] を用いて、ある振動数 {{mvar|ν}} の[[光子]]のエネルギー ({{math|1=''E'' = ''hν''}}) と等しい[[静止エネルギー]]を持つ物体の質量を1キログラムと定義する。すなわち、 |
プランク定数に基づく定義では、静止エネルギーと質量の関係式 [[E=mc2|''E'' = ''mc''<sup>2</sup>]] を用いて、ある振動数 {{mvar|ν}} の[[光子]]のエネルギー ({{math|1=''E'' = ''hν''}}) と等しい[[静止エネルギー]]を持つ物体の質量を1キログラムと定義する。すなわち、 |
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{{ |
{{Squote|キログラムは[[周波数]]が {{nowrap|{(299 792 458)<sup>2</sup>/6.626 069 57}× 10<sup>34</sup> [[ヘルツ]]}}の[[光子]]の[[エネルギー]]に等価な質量である<ref>[http://www.jikkyo.co.jp/contents/download/9988191246] 藤井賢一, “キログラムの再定義をめぐる最近の動き”, 実教出版, じっきょう理科資料No.57(2005年3月4日発行) |
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</ref>。}} |
</ref>。}} |
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この[[2013年]]12月の提案は、[[アンペア]] (A)、[[ケルビン]] (K)、[[モル]] (mol) の再定義と併せて、2014年の第25回[[国際度量衡総会]] (CGPM) で決議することが予定されていた<ref>http://www.bipm.org/utils/en/pdf/Press_release_resolution_1_CGPM.pdf</ref>。しかし、2014年11月18日 |
この[[2013年]]12月の提案は、[[アンペア]] (A)、[[ケルビン]] (K)、[[モル]] (mol) の再定義と併せて、2014年の第25回[[国際度量衡総会]] (CGPM) で決議することが予定されていた<ref>http://www.bipm.org/utils/en/pdf/Press_release_resolution_1_CGPM.pdf</ref>。しかし、2014年11月18日 -20日に開催されたCGPMでは、プランク定数の精度が十分でないことなどにより上記の定義への変更はなされず、次の2018年開催予定の第26回[[CGPM]]に向けて定義変更のための諸課題を解決すべし、との決議が採択された<ref>[http://www.bipm.org/utils/common/pdf/CGPM-2014/25th-CGPM-Resolutions.pdf Resolutions adopted by the CGPM at its 25th meeting (18‐20 November 2014)] 表紙を入れてpp.3-4、'''that''' despite this progress the data do not yet appear to be sufficiently robust for the CGPM to adopt the revised SI at its 25th meeting,
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'''encourages''' |
'''encourages''' |
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• continued effort in the NMIs, the BIPM, and academic institutions to obtain data relevant to the determination of h, e, k, and NA with the requisite uncertainties, |
• continued effort in the NMIs, the BIPM, and academic institutions to obtain data relevant to the determination of h, e, k, and NA with the requisite uncertainties, |
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• continued effort by the CIPM, together with its Consultative Committees, the NMIs, the BIPM, and other organizations such as the International Organization of Legal Metrology (OIML), to complete all work necessary for the CGPM at its 26th meeting to adopt a resolution that would replace the current SI with the revised SI, provided the amount of data, their uncertainties, and level of consistency are deemed satisfactory. </ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22644950U7A021C1CR8000/ 重さの基準、分銅不要に? 「1キロ」決定に新手法]</ref><ref>[https://mainichi.jp/articles/20171025/k00/00e/040/255000c kg新基準、日本など確立…原器の分銅 130年で幕]</ref>。 |
• continued effort by the CIPM, together with its Consultative Committees, the NMIs, the BIPM, and other organizations such as the International Organization of Legal Metrology (OIML), to complete all work necessary for the CGPM at its 26th meeting to adopt a resolution that would replace the current SI with the revised SI, provided the amount of data, their uncertainties, and level of consistency are deemed satisfactory. </ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22644950U7A021C1CR8000/ 重さの基準、分銅不要に? 「1キロ」決定に新手法]</ref><ref>[https://mainichi.jp/articles/20171025/k00/00e/040/255000c kg新基準、日本など確立…原器の分銅 130年で幕]</ref>。 |
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=== プランク定数による定義の提案 === |
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プランク定数の新たな定義値は、2015年から2017年にかけて報告された、8つの実験値に基づいて決定された<ref name=SI_9th_mol>{{Cite web |
プランク定数の新たな定義値は、2015年から2017年にかけて報告された、8つの実験値に基づいて決定された<ref name=SI_9th_mol>{{Cite web|format=PDF|accessdate=2020-10-27|url=https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/6_SI_%E3%83%A2%E3%83%AB.pdf|title = 物質量の単位「モル」の基礎解説とアボガドロ定数にもとづく新たな定義を導いた計測技術|author = 倉本直樹|publisher = [[産業技術総合研究所]] 計量標準総合センター}}</ref>。そのうちの4つは、[[ワット天秤]]を用いて直接測定されたものである。残りの4つは、[[アボガドロ定数]]から間接的に得られたものである。 |
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CIPMはキログラムの定義の変更をCGPMの決議案として提出し、この決議案は2018年11月16日にCGPMによって決議・承認された<ref>[https://www.bipm.org/utils/en/pdf/CGPM/Draft-Resolution-A-EN.pdf Draft Resolution A On the revision of the International System of Units (SI)] Draft Resolution A – 26th meeting of the CGPM (13-16 November 2018),Appendix 3. "The base units of the SI",第3ページ目, 2018-02-06 </ref>。 |
CIPMはキログラムの定義の変更をCGPMの決議案として提出し、この決議案は2018年11月16日にCGPMによって決議・承認された<ref>[https://www.bipm.org/utils/en/pdf/CGPM/Draft-Resolution-A-EN.pdf Draft Resolution A On the revision of the International System of Units (SI)] Draft Resolution A – 26th meeting of the CGPM (13-16 November 2018),Appendix 3. "The base units of the SI",第3ページ目, 2018-02-06 </ref>。 |
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なお、キログラムと共に、[[アンペア]]、[[ケルビン]]、[[モル]]の定義も大きく変更されたものが決議されたが、これらの変更も併せ、2019年5月20日に施行された<ref>[https://www.bipm.org/utils/common/pdf/SI-roadmap.pdf Joint CCM and CCU '''roadmap''' for the adoption of the revision of the International System of Units] 3ページ目、2019年の欄</ref><ref>[https://www.bipm.org/utils/en/pdf/CGPM/Draft-Resolution-A-EN.pdf Draft Resolution A On the revision of the International System of Units (SI)] Draft Resolution A – 26th meeting of the CGPM (13-16 November 2018),第1ページ目, 2018-02-06 </ref>。
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なお、キログラムと共に、[[アンペア]]、[[ケルビン]]、[[モル]]の定義も大きく変更されたものが決議されたが、これらの変更も併せ、2019年5月20日に施行された<ref>[https://www.bipm.org/utils/common/pdf/SI-roadmap.pdf Joint CCM and CCU '''roadmap''' for the adoption of the revision of the International System of Units] 3ページ目、2019年の欄</ref><ref>[https://www.bipm.org/utils/en/pdf/CGPM/Draft-Resolution-A-EN.pdf Draft Resolution A On the revision of the International System of Units (SI)] Draft Resolution A – 26th meeting of the CGPM (13-16 November 2018),第1ページ目, 2018-02-06 </ref>。
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=== 過去の様々な提案 === |
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現在の定義に変わる新しい定義の候補として、アボガドロ定数などを用いた各種の提案があった。 |
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アボガドロ定数に基づく定義は、一定個数の[[ケイ素]](Si)原子の質量をキログラムとするという原子質量標準である。アボガドロ定数の値をより正確に求めることができれば、そこからケイ素1 |
アボガドロ定数に基づく定義は、一定個数の[[ケイ素]](Si)原子の質量をキログラムとするという原子質量標準である。アボガドロ定数の値をより正確に求めることができれば、そこからケイ素1キログラムに含まれるケイ素原子の数を決定することができる。ケイ素が不純物を含まない[[単結晶]]を作りやすいために採用された。アボガドロ定数を精密測定する国際プロジェクトが2004年に立ち上がり、各国の研究機関でケイ素を用いてアボガドロ定数の[[不確かさ (測定)|不確かさ]]を少しでも小さくするための研究が行われた<ref>臼田孝、新しい1キログラムの測り方、pp.170-182、ブルーバックス B-2056、2018年4月20日第1刷、講談社、ISBN 978-4-06-502056-2</ref>。[[2010年]]時点でのアボガドロ定数の値 |
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:{{math|1=''N<sub>A</sub>'' = 6.022 141 29(27) × 10<sup>23</sup> mol<sup>−1</sup>}} |
:{{math|1=''N<sub>A</sub>'' = 6.022 141 29(27) × 10<sup>23</sup> mol<sup>−1</sup>}} |
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([[CODATA]]2010年推奨値。括弧内は[[標準不確かさ]])には、プランク定数と同じく、8桁目に不確かさがあった。アボガドロ定数は[[モルプランク定数]]を介してプランク定数と結びついているので、精度の点から見ればキログラムの定義にどちらを採用しても変わりはない<ref name="hidaka">日高洋「アボガドロ定数はどこまで求まっているか」『ぶんせき』2005年2月号 pp. 72–76。[http://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2005/kougi02.pdf PDF]</ref>。実際、プランク定数の定義値の基になった8つの実験値のうち、4つはケイ素単結晶を用いたアボガドロ定数の測定実験から得られたものである。キログラムの定義にプランク定数が使用されたのは、その方が電気標準において利便性が高いからである<ref name=SI_9th_mol />。なお、アボガドロ定数は[[モル]]の定義に使われることとなった。 |
([[CODATA]]2010年推奨値。括弧内は[[標準不確かさ]])には、プランク定数と同じく、8桁目に不確かさがあった。アボガドロ定数は[[モルプランク定数]]を介してプランク定数と結びついているので、精度の点から見ればキログラムの定義にどちらを採用しても変わりはない<ref name="hidaka">日高洋「アボガドロ定数はどこまで求まっているか」『ぶんせき』2005年2月号 pp. 72–76。[http://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2005/kougi02.pdf PDF]</ref>。実際、プランク定数の定義値の基になった8つの実験値のうち、4つはケイ素単結晶を用いたアボガドロ定数の測定実験から得られたものである。キログラムの定義にプランク定数が使用されたのは、その方が電気標準において利便性が高いからである<ref name=SI_9th_mol />。なお、アボガドロ定数は[[モル]]の定義に使われることとなった。 |
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他には以下のような提案があった。 |
他には以下のような提案があった。 |
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* [[超伝導]]コイルで発生する[[磁場]]で超伝導体を浮揚することによってキログラムと電気量とを関連づけ、コイルに流れる電流により定義する。 |
* [[超伝導]]コイルで発生する[[磁場]]で超伝導体を浮揚することによってキログラムと電気量とを関連づけ、コイルに流れる電流により定義する。 |
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* [[ジョセフソン定数]] ( |
* [[ジョセフソン定数]] (K<sub>J</sub> ≡ {{nowrap|4.835 978 70(11) × 10<sup>14</sup> Hz/V}}) と[[フォン・クリッツィング定数]] (R<sub>K</sub> ≡ {{nowrap|2.581 280 744 34(84) × 10<sup>4</sup> Ω}}) を用いて定義する。すなわち、真空中に1メートルの間隔で平行に置かれた無限に小さい円形の断面を有する無限に長い2本の直線状[[導体]]のそれぞれに、1秒あたり {{nowrap|6.241 509 629 152 65 × 10<sup>18</sup>}} の[[電荷]]による直流の電流が流れるとき、導体に {{nowrap|2 × 10<sup>−7</sup> m/s}} の[[加速度]]が生じたときの、その導体の1メートル当たりの質量を1キログラムと定義する。
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* [[金]]の原子を蓄積し、それを中性化するのに必要な[[電流]]によって定義する。 |
* [[金]]の原子を蓄積し、それを中性化するのに必要な[[電流]]によって定義する。 |
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==== 国際キログラム原器(IPK)の質量の不確かさ ==== |
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⚫ | キログラムの定義が変更されたことにより、国際キログラム原器(IPK)の質量には10 µgの不確かさがあることとなった<ref> [https://unit.aist.go.jp/nmij/public/events/seminar/2018/scj-symposium_2018/pdf/1_Usuda.pdf 標準改定の歴史、今回の改定と今後] 臼田孝(国際度量衡委員)、日本学術会議公開シンポジウム、p.28、2018年12月2日</ref>。また、各国に配布されているキログラム原器の質量には、BIPMによるキャリブレーション証明書(2019年5月20日以前に発行されたもの)に記載されている不確かさの数値に10 µgを加えた不確かさがあることとされた<ref>[https://www.bipm.org/utils/common/pdf/CC/CCM/BIPM_Note-on-kilogram-redefinition.pdf Note on the impact of the redefinition of the kilogram on BIPM mass calibration uncertainties] BIPM,2019-05-20</ref>。 |
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その後、2020年12月に上記の見積り値は見直されており、2021年2月1日からは国際キログラム原器の質量は、1 kg-2 µg であり、その標準不確かさは 20 µg とすることが質量標準供給の国際基準値﹁合意値︵Consensus value︶﹂となった<ref>[https://www.bipm.org/documents/20126/49759984/Calculation+of+the+consensus+value+2020/99498411-54a2-ddfd-5054-4d7beb1ae45f Calculation of the Consensus Value for the Kilogram 2020] Summary, CCM Task Group on the Phases for the Dissemination of the kilogram following redefinition (CCM-TGPfD-kg), December 2020</ref>。すなわち、
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* IPKの質量 = {{val|0.999999998|(20)}} kg |
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である。 |
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== グラムとキログラム == |
== グラムとキログラム == |
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'''[[グラム]]'''︵英語: |
'''[[グラム]]'''︵英語:gram, 仏語: gramme, 記号: g︶は質量の単位であり、SIにおいては﹁キログラムの1000分の1 (10<sup>−3</sup>kg) ﹂と定義されている。﹁キログラム﹂は、明らかにグラムに'''接頭辞[[キロ]](kilo-)を付けたもの'''である。しかし、SIにおいては、グラムではなく'''キログラムが基本単位'''となっており、グラムはその分量単位の一つとされている。
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グラムではなくキログラムがSI基本単位とされたのは、以下のような経緯があるからである。 |
グラムではなくキログラムがSI基本単位とされたのは、以下のような経緯があるからである。 |
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|location= London |
|location= London |
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|isbn= 0-349-11507-9 |
|isbn= 0-349-11507-9 |
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|pages= 89}}</ref>。その委員会において、質量単位のモデルとして1メートルの10分の1(= |
|pages= 89}}</ref>。その委員会において、質量単位のモデルとして1メートルの10分の1(=10cm)で構成された立方体の升に入った水の質量、すなわち1リットルの大気圧下で氷の溶けつつある温度︵0度︶における水について、grave︵グラーブ、記号G︶と名称が与えられた質量単位を標準とすることが提案された<ref> [http://www.bipm.org/en/si/history-si/name_kg.html The name "kilogram": a historical quirk. BIPM] </ref>。その語源はgravity︵重力︶から由来したものである。
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当初は、この |
当初は、このgrave︵グラーブ、グラーヴ︶を質量の基本単位とした原器が作られる予定であった。またこれを元として、1graveの1,000分の1を別の質量単位名で、仏語gramme︵グラム︶ないしgravet︵グラベト、グラヴェト︶、また1graveの1,000倍を別の質量単位名を用いてtonne︵トン︶ないしbar︵バー︶と称するように名称が考案されたりもした。そしてやがて来るフランス革命の波に襲われ、科学者達の研究は途中で中断するが、その後、新しい革命政府が樹立されると再びメートル法が注目されるようになった。しかしそのフランス革命の後、質量の単位は大きな転機を迎えることとなる。
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1795年の︵暫定︶メートル法制定当初、革命後の共和政府が当初の質量の基本単位を |
1795年の(暫定)メートル法制定当初、革命後の共和政府が当初の質量の基本単位をgraveから、その1000分の1を表すgrammeへと変更したのである。理由は諸説あるが、有力な説の一つとして、1graveという大きさの質量が当時、メートル法以前の昔から使われてきたいくつかの質量の旧単位と比較しても、大きな単位であるということがある。そのためフランスの科学者達は、グラーブは日常的に使う質量単位としては大きすぎるであろうと危惧し、フランス共和政府と共に、質量の基本単位は1グラーブの1000分の1である「1グラムを質量の基本単位とすべき」と決定したという説があるが、真相は定かではない。 |
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しかし、質量の基本単位を1グラムとすると非常に使い勝手が悪く、とりわけ1グラムを定義した、︵[[1円硬貨]]ほどの大きさを持つ︶原器を作るにはあまりにも小さすぎた。そこで共和政府は基本単位とした1グラムの1000倍、すなわち当初の予定通り |
しかし、質量の基本単位を1グラムとすると非常に使い勝手が悪く、とりわけ1グラムを定義した、︵[[1円硬貨]]ほどの大きさを持つ︶原器を作るにはあまりにも小さすぎた。そこで共和政府は基本単位とした1グラムの1000倍、すなわち当初の予定通り1graveの質量原器を作ることを決めたわけであるが、その名称が使われることはなく、グラムの1000倍を表すために接頭辞のキロ (k) を付けた名称、"キログラム (kg)"の名前を冠した原器を作ることと決めた。これはあくまでも質量の基本単位をグラムにしたことに起因する。こうして当初の質量単位grave︵グラーブ︶の名称は姿を消したのである。
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これが後の1799年に作成された「確定キログラム原器」となった。こうして[[メートル法]]制定当初、長さの単位を |
これが後の1799年に作成された「確定キログラム原器」となった。こうして[[メートル法]]制定当初、長さの単位をm(metre; メートル)、質量の単位をg(gramme; グラム)とした基本単位ができ上がった。しかし、メートルとグラムとではその規模が異なる。すなわち、「数グラムの質量を持つものは、数センチメートル台の大きさ」であることが多く、逆に「メートルで測られる大きさを持つものは、キログラム台の質量を持つ」ことが多い。そのため、メートルの代わりにセンチメートルを採用し、センチメートル (英語:centimeter;仏語: centimetre)・グラム (英語:gram;仏語: gramme)・秒 (英語:second; 仏語: seconde) を基本単位とする単位系が構築されるようになった。これが[[CGS単位系]]である。 |
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しかし、[[電磁気学]]の発展に伴い、CGS単位系では不都合が生じるようになった。CGS単位系を元に電磁気学の単位を作ると、値が大きくなってしまう。これは、電磁気学の現象を記述するには、センチメートル・グラムでは小さすぎるということである。そのため、科学で使われる単位系の主流はメートル・キログラム・秒を基本単位とする[[MKS単位系]]へと移行した。また上記に記された1889年のキログラムの新定義により、それ以降のメートル法において質量の基本単位としての礎を築いた。MKS単位系を更に発展させた国際単位系(SI)においても、キログラムが基本単位として引き継がれている。
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しかし、[[電磁気学]]の発展に伴い、CGS単位系では不都合が生じるようになった。CGS単位系を元に電磁気学の単位を作ると、値が大きくなってしまう。これは、電磁気学の現象を記述するには、センチメートル・グラムでは小さすぎるということである。そのため、科学で使われる単位系の主流はメートル・キログラム・秒を基本単位とする[[MKS単位系]]へと移行した。また上記に記された1889年のキログラムの新定義により、それ以降のメートル法において質量の基本単位としての礎を築いた。MKS単位系を更に発展させた国際単位系(SI)においても、キログラムが基本単位として引き継がれている。
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キログラムの分量・倍量単位の |
キログラムの分量・倍量単位の接頭辞は、キログラムではなくグラムを基準にして付けられる。これは、SIでは二重に接頭辞を付けることを禁じているためである。そこで、キログラムを基準として接頭辞が付けられるように、キログラムに代わる新たな単位名称を付けようという提案が何度かなされている。quilo︵記号:q︶やkilon︵記号:k︶といったものが提案されている<ref>{{Cite book |和書 |author=海老原寛 |year=2005 |title=最新知識 単位・定数小辞典 |publisher=講談社 |page=36 |isbn=406153999X }}</ref>が、正式に議論にかけられたものは、現時点ではない。
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== 重量との関係 == |
== 重量との関係 == |
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{{seealso|重さ#質量と重さ }} |
{{seealso|重さ#質量と重さ }} |
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いわゆる﹁1キログラムの[[重量]]︵重さ︶﹂は、 |
いわゆる﹁1キログラムの[[重量]]︵重さ︶﹂は、1kgの質量をもつ物体に重力が働くことによって生じる[[力 (物理学)|力]]であり、これを表すには[[重量キログラム]]︵kgf, kgw, キログラム重︶という、質量のキログラムとは異なる単位がある。定義された重量キログラムは[[地球]]表面︵の特定の場所︶において1キログラムの質量を持つ物体に働く約9.806 65[[ニュートン (単位)|ニュートン]]︵力のSI単位︶の重力である。980.665 cm/s<sup>2</sup>︵この値が定義されたときは[[CGS単位系]]が主として使われていた︶という[[重力加速度]]の値は、グラム重を定義するために第3回[[国際度量衡総会]](CGPM)で定められた協定値であるということに注意する必要がある。重力加速度は緯度や高度、場所によって微妙に異なるため、この値が定められるまではグラム重という単位は値が不明確な単位であった。
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接頭辞は歴史的な理由︵上記[[#グラムとキログラム]]参照︶により、キログラムではなくグラムに対して付けられる。例えば1キログラムの100万分の1の質量は、1﹁マイクロキログラム﹂ではなく1[[ミリグラム]]︵1000分の1グラム︶となる。[[マイクログラム]]もよく用いられ、﹁µg﹂または﹁mcg﹂と表記するが、webコンテンツなどでは﹁µ﹂に代え﹁u﹂と代用表記される、すなわち﹁ug﹂となる場合もある<ref>京都精華大学環境ソリューション研究機構 [http://www.kyoto-seika.ac.jp/cgi/database/kankyo/keyword/keywords.cgi?sline=401&print=1&keys16=%81%A8%89%F0%90%E0&tid=detail 環境キーワード‥マイクロ]</ref>。実用されている分量・倍量単位は次の通り。
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* '''キログラム''' (kg) -- 10<sup>3</sup> g ([[1 E0 kg|1 kg]]) |
* '''キログラム''' (kg) -- 10<sup>3</sup> g ([[1 E0 kg|1 kg]]) |
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** 1[[立方メートル#分量・倍量単位|立方ミリメートル]]の水の質量は1ミリグラムである。 |
** 1[[立方メートル#分量・倍量単位|立方ミリメートル]]の水の質量は1ミリグラムである。 |
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** 砂粒はだいたい1ミリグラム程度である。 |
** 砂粒はだいたい1ミリグラム程度である。 |
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⚫ | * '''マイクログラム''' (µg) (mcg)-- 10<sup>−6</sup> g ([[1 E-9 kg|10<sup>−9</sup> kg]]) |
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** ジュースなどの成分表示で「~μg」という表示が見られる。 |
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⚫ | * '''マイクログラム''' ( |
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** 一部の飲食物の栄養成分表示で、時に「~μg」という表示が見られる。 |
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* '''ナノグラム''' (ng) -- 10<sup>−9</sup> g ([[1 E-12 kg|10<sup>−12</sup> kg]]) |
* '''ナノグラム''' (ng) -- 10<sup>−9</sup> g ([[1 E-12 kg|10<sup>−12</sup> kg]]) |
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* '''ピコグラム''' (pg) -- 10<sup>−12</sup> g ([[1 E-15 kg|10<sup>−15</sup> kg]]) |
* '''ピコグラム''' (pg) -- 10<sup>−12</sup> g ([[1 E-15 kg|10<sup>−15</sup> kg]]) |
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* '''ゼプトグラム''' (zg) -- 10<sup>−21</sup> g ([[1 E-24 kg|10<sup>−24</sup> kg]]) |
* '''ゼプトグラム''' (zg) -- 10<sup>−21</sup> g ([[1 E-24 kg|10<sup>−24</sup> kg]]) |
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* '''ヨクトグラム''' (yg) -- 10<sup>−24</sup> g ([[1 E-27 kg|10<sup>−27</sup> kg]]) |
* '''ヨクトグラム''' (yg) -- 10<sup>−24</sup> g ([[1 E-27 kg|10<sup>−27</sup> kg]]) |
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** [[核子]]・[[原子]]・[[分子]]の質量はヨクトグラムのオーダーである。 |
** [[核子]]・[[原子]]・[[分子]]の質量はヨクトグラムのオーダーである。より軽い粒子のためにはヨクトグラムでも大きすぎるが、現時点ではヨクトよりも小さな値を表すSI接頭辞は存在しない。 |
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** 1[[原子質量単位]]は 1.660 54 yg |
** 1[[原子質量単位]]は 1.660 54 yg |
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** [[陽子]]の質量は 1.672 6 yg |
** [[陽子]]の質量は 1.672 6 yg |
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** [[中性子]]の質量は 1.674 9 yg |
** [[中性子]]の質量は 1.674 9 yg |
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* '''ロントグラム''' (rg) -- 10<sup>−27</sup> g ([[1 E-30 kg|10<sup>−30</sup> kg]]) |
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* '''クエクトグラム''' (qg) -- 10<sup>−30</sup> g ([[1 E-33 kg|10<sup>−33</sup> kg]]) |
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次のようにグラムにメガ以上の[[SI接頭 |
次のようにグラムにメガ以上の[[SI接頭辞]]を付けることも考えられるが、キログラムの1000倍の質量に対して、1[[メガ]]グラム (Mg) という名前が用いられることは一般にはなく、[[トン]]が使われる。さらにはトンの倍量単位に対し、トンにSI接頭辞が付されることも多い(とくにキロトン (kt) やメガトン (Mt))。 |
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* '''クエタグラム''' (Qg) -- 10<sup>30</sup> g ([[1 E27 kg|10<sup>27</sup> kg]], 10<sup>24</sup> t (1 Yt)) |
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* '''ロナグラム''' (Rg) -- 10<sup>27</sup> g ([[1 E24 kg|10<sup>24</sup> kg]], 10<sup>21</sup> t (1 Zt)) |
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* '''ヨタグラム''' (Yg) -- 10<sup>24</sup> g ([[1 E21 kg|10<sup>21</sup> kg]], 10<sup>18</sup> t (1 Et)) |
* '''ヨタグラム''' (Yg) -- 10<sup>24</sup> g ([[1 E21 kg|10<sup>21</sup> kg]], 10<sup>18</sup> t (1 Et)) |
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** 例: [[ウンブリエル]](天王星の衛星)、[[ディオネ (衛星)|ディオネ]](土星の衛星)、[[ケレス (準惑星)|ケレス]](準惑星) |
** 例: [[ウンブリエル]](天王星の衛星)、[[ディオネ (衛星)|ディオネ]](土星の衛星)、[[ケレス (準惑星)|ケレス]](準惑星) |
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* '''メガグラム''' (Mg) -- 10<sup>6</sup> g ([[1 E3 kg|10<sup>3</sup> kg]], 1 t) |
* '''メガグラム''' (Mg) -- 10<sup>6</sup> g ([[1 E3 kg|10<sup>3</sup> kg]], 1 t) |
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接頭辞はグラムに対して付けられるため、100倍・10倍・1/10および1/100を表す接頭辞を付けた次のような単位も一応考えられ、後述のようにこれらを表す漢字も作られているが、現実には用いられず、理論上の単位の域を出ない。またかつては1万倍を表す「ミリア」という接頭辞も存在したが、これもあまり用いられることなく、現在では廃止されている。 |
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* '''ミリアグラム''' -- 10<sup>4</sup> g ([[1 E1 kg|10<sup>1</sup> kg]]) |
* '''ミリアグラム''' -- 10<sup>4</sup> g ([[1 E1 kg|10<sup>1</sup> kg]]) |
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== 表記 == |
== 表記 == |
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[[漢字]]ではグラムが「瓦蘭姆」と音訳され、ここから「瓦」一字だけでグラムの意味を表すようになった。日本では明治時代、中央気象台(現[[気象庁]])が「瓦」をその中に含む以下のような倍量・分量単位の漢字を作り、1891年から各気象台で気象観測の月報などに使用して、一般にも広まった。中国では、「瓦」はワットを表し、グラムには「克」の字を当てているため、それに合わせて「兛」(キログラム)、「兞」(ミリグラム)といった漢字が作られて |
[[漢字]]ではグラムが「瓦蘭姆」と音訳され、ここから「瓦」一字だけでグラムの意味を表すようになった。日本では明治時代、中央気象台(現[[気象庁]])が「瓦」をその中に含む以下のような倍量・分量単位の漢字を作り、1891年から各気象台で気象観測の月報などに使用して、一般にも広まった。中国では、「瓦」はワットを表し、グラムには「克」の字を当てているため、それに合わせて「兛」(キログラム)、「兞」(ミリグラム)といった漢字が作られている。 |
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これらの漢字表記は、[[計量法]]上は使用することはできない。 |
これらの漢字表記は、[[計量法]]上は使用することはできない。 |
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* マイクログラム (& |
* マイクログラム (µg) -- {瓦少} ([[ファイル:瓦/少.gif]]) |
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* ミリグラム (mg) -- 瓱 |
* ミリグラム (mg) -- 瓱 |
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* センチグラム (cg) -- 甅 |
* センチグラム (cg) -- 甅 |
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252行目: | 239行目: | ||
*{{Unichar|3318|Square Guramu}} |
*{{Unichar|3318|Square Guramu}} |
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*{{Unichar|3319|Square Guramuton}} |
*{{Unichar|3319|Square Guramuton}} |
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これらは、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであり、使用は推奨されない<ref>{{cite web|url= |
これらは、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであり、使用は推奨されない<ref>{{cite web|url=http://www.unicode.org/charts/PDF/U3300.pdf|title=CJK Compatibility|accessdate=2016-02-21|date=2015}}</ref><ref>{{cite web|publisher=The Unicode Consortium|title=The Unicode Standard, Version 8.0.0|location=Mountain View, CA|date=2015|isbn=978-1-936213-10-8|url=http://www.unicode.org/versions/Unicode8.0.0|accessdate=2016-02-21}}</ref>。
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
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* 水島茂喜、上田和永、大岩彰「1kg質量標準の校正(2008-2009)」『産総研計量標準報告』Vol.8 (2011) No.2, pp.185-200。[ |
* 水島茂喜、上田和永、大岩彰「1kg質量標準の校正(2008-2009)」『産総研計量標準報告』Vol.8 (2011) No.2, pp.185-200。[http://www.nmij.jp/public/report/bulletin/BOM/Vol8/2/V8N2P185.pdf 計量標準総合センター] |
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* [https://unit.aist.go.jp/nmij/public/events/seminar/2017/Forum2017/pdf/fujii_20180124.pdf プランク定数にもとづくキログラムの新しい定義] 産業技術総合研究所(AIST)計量標準総合センター(NMIJ)工学計測標準研究部門 藤井 賢一 ,2018-01-24 |
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* [https://www. |
* [https://www.nmij.jp/public/event/2017/Forum2017/fujii_20180124.pdf プランク定数にもとづくキログラムの新しい定義] 産業技術総合研究所(AIST)計量標準総合センター(NMIJ)工学計測標準研究部門 藤井 賢一 ,2018-01-24 |
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== 脚注 == |
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=== 注釈 === |
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=== 出典 === |
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== 関連項目 == |
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* [http://www.bipm.org/en/scientific/mass/prototype.html BIPM - International prototype of the kilogram] - [[国際度量衡局]]の国際キログラム原器に関するWebページ |
* [http://www.bipm.org/en/scientific/mass/prototype.html BIPM - International prototype of the kilogram] - [[国際度量衡局]]の国際キログラム原器に関するWebページ |
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* [https://www.aist.go.jp/taisaku/ja/kg/announce.html キログラム定義改定特設サイト] - 産業技術総合研究所 |
* [https://www.aist.go.jp/taisaku/ja/kg/announce.html キログラム定義改定特設サイト] - 産業技術総合研究所 |
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⚫ | * [https://www.asahi.com/articles/ASLCF4TKJLCFULBJ028.html 「キログラム」の定義、変更を決定 「アンペア」なども (朝日新聞デジタル記事、2018年11月16日21時26分)] |
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* [https://www.youtube.com/embed/KARtlqNeDZk 新しい1キログラムの測り方-さらばキログラム原器] 【産総研公式】 説明動画、産業技術総合研究所 倉本直樹、2021年12月11日 |
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⚫ | * [https://www.asahi.com/articles/ASLCF4TKJLCFULBJ028.html 「キログラム」の定義、変更を決定 「アンペア」なども |
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* {{Wayback |url=https://www.yomiuri.co.jp/science/20181116-OYT1T50111.html |title=質量の単位「kg」130年ぶり定義見直し(読売新聞デジタル記事、2018年11月16日22時04分)|date=20181116220113 }} |
* {{Wayback |url=https://www.yomiuri.co.jp/science/20181116-OYT1T50111.html |title=質量の単位「kg」130年ぶり定義見直し(読売新聞デジタル記事、2018年11月16日22時04分)|date=20181116220113 }} |
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* [https://www.tan-i-kansan.com/category/%E3%82%AD%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%81%AE%E9%87%8D%E3%81%95%EF%BD%9C%E5%8D%98%E4%BD%8D%E6%8F%9B%E7%AE%97%E8%A1%A8/ キログラム(質量)単位換算表] |
* [https://www.tan-i-kansan.com/category/%E3%82%AD%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%81%AE%E9%87%8D%E3%81%95%EF%BD%9C%E5%8D%98%E4%BD%8D%E6%8F%9B%E7%AE%97%E8%A1%A8/ キログラム(質量)単位換算表] |
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