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[[イングランド]]における納本制度の歴史は、1610年に{{仮リンク|トーマス・ボドリー|en|Thomas Bodley}}が[[書籍出版業組合]]と協定を結んで、同組合が登録した全ての書籍を1部ずつボドリー図書館に納めさせたところまで遡ることができる<ref>Robert C. Barrington Partridge "The history of the legal deposit of books throughout the British Empire", London: Library Association, 1938</ref> |
[[イングランド]]における納本制度の歴史は、1610年に{{仮リンク|トーマス・ボドリー|en|Thomas Bodley}}が[[書籍出版業組合]]と協定を結んで、同組合が登録した全ての書籍を1部ずつボドリー図書館に納めさせたところまで遡ることができる<ref>Robert C. Barrington Partridge "The history of the legal deposit of books throughout the British Empire", London: Library Association, 1938</ref>{{sfn|平野美惠子|2005|p=95}}。1662年出版許可法 (Press Licensing Act of 1662) により王室図書館 (Royal Library) に対する最初の法定納本制度が敷かれた後、幾度かの制度の改定を経て{{sfn|平野美惠子|2005|p=95-97}}、{{仮リンク|1911年著作権法|en|Copyright Act 1911}}の成立により、大英図書館およびイギリスとアイルランドにある他の5館の納本図書館が、イギリスで出版または頒布された全ての出版物を1部ずつ受け取る資格があることを保証する、現行の[[納本制度|法定納本制度]]の基礎が確立された。大英図書館以外の5館の納本図書館とは、[[オックスフォード]]の[[ボドリアン図書館|ボドリー図書館]]、[[ケンブリッジ]]の{{仮リンク|ケンブリッジ大学図書館|en|Cambridge University Library|label=大学図書館}}、[[ダブリン]]の[[トリニティ・カレッジ図書館]]、{{仮リンク|スコットランド国立図書館|en|National Library of Scotland}}、{{仮リンク|ウェールズ国立図書館|en|National Library of Wales}}である{{sfn|平野美惠子|2005|p=97}}。これらの図書館の中で、上記の5館については、納本を受ける資格は与えられているが、実際に納本を受けることができるのは、出版日から12ヶ月以内に納本エージェンシー (Agency for the Legal Deposit Libraries) を介して出版者に納本の請求をした場合に限られるのに対して、大英図書館は、イギリスで出版される全ての出版物を出版日から起算して1ヶ月以内に自動的に1部ずつ受け取ることになっていて、出版者に納本を義務付ける唯一の法定納本図書館である<ref>{{Cite web |url=http://www.bl.uk/aboutus/legaldeposit/printedpubs/depositprintedpubs/deposit.html |title=How to deposit printed publications |publisher=The British Library |accessdate=2016-12-28 }}</ref>{{sfn|平野美惠子|2005|p=96}}。また、1869年以降、大英図書館はイギリスで印刷された全ての新聞も1部ずつ受け取っている。
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さらに、{{仮リンク|アイルランドの著作権法|en|Copyright law of Ireland}}(直近では2000年[[著作権]]及び関連の諸権利に関する法律)の条項の下、[[アイルランド国立図書館]]、[[ダブリン]]の[[トリニティ・カレッジ (ダブリン大学)|トリニティ・カレッジ]]図書館、[[リムリック大学]]の図書館、[[ダブリンシティ大学]]の図書館、[[アイルランド国立大学]]を構成する4大学の図書館と並んで、大英図書館は、アイルランドで出版された全ての図書を1部ずつ自動的に受け取る資格を有する。ボドリー図書館、[[ケンブリッジ大学]]図書館、[[スコットランド]]国立図書館、[[ウェールズ]]国立図書館も、アイルランドで出版された資料の納本を受け取る権利があるが、イギリスでの法定納本の権利と同様に、出版者に正式に請求した場合に限られる。 |
さらに、{{仮リンク|アイルランドの著作権法|en|Copyright law of Ireland}}(直近では2000年[[著作権]]及び関連の諸権利に関する法律)の条項の下、[[アイルランド国立図書館]]、[[ダブリン]]の[[トリニティ・カレッジ (ダブリン大学)|トリニティ・カレッジ]]図書館、[[リムリック大学]]の図書館、[[ダブリンシティ大学]]の図書館、[[アイルランド国立大学]]を構成する4大学の図書館と並んで、大英図書館は、アイルランドで出版された全ての図書を1部ずつ自動的に受け取る資格を有する。ボドリー図書館、[[ケンブリッジ大学]]図書館、[[スコットランド]]国立図書館、[[ウェールズ]]国立図書館も、アイルランドで出版された資料の納本を受け取る権利があるが、イギリスでの法定納本の権利と同様に、出版者に正式に請求した場合に限られる。 |
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
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* {{Cite journal | |
* {{Cite journal|和書|author=平野美惠子 |date=2005-02 |title=イギリスにおける2003年法定納本図書館法の制定 : デジタル時代への対応 |journal=外国の立法 : 立法情報・翻訳・解説 |ISSN=0433096X |publisher=東京 : 国立国会図書館 |issue=223 |pages=95-107 |id={{国立国会図書館書誌ID|7291793}} |doi=10.11501/1000419 |url=https://dl.ndl.go.jp/pid/1000419/1/1 |quote=国立国会図書館デジタルコレクション |ref=harv}} |
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{{参照方法|date=2024年5月|section=1}} |
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* {{Cite journal |url= http://aska-r.aasa.ac.jp/dspace/bitstream/10638/700/3/0008-020-200703-029-049.pdf |title=国立科学技術貸出図書館 (NLLST) の設立と1960-70年代イギリス図書館政策にたいする影響 |author=藤野寛之 |publisher=[[愛知淑徳大学]]図書館情報学会 |year=2007 |format=PDF }} |
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* {{Cite journal |url= |
* {{Cite journal|和書|author=藤野寛之 |date=2007-03 |url=https://aska-r.repo.nii.ac.jp/records/6192 |title=国立科学技術貸出図書館 ( NLLST ) の設立と1960-70年代イギリス図書館政策にたいする影響 |journal=Journal of library and information science |ISSN=0915-101X |publisher=愛知淑徳大学図書館情報学会 |issue=20 |pages=29-49 |hdl=10638/700 |CRID=1050282677541919744 |ref=harv}} |
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* {{Cite journal|和書|author=藤野寛之 |date=2012 |url=https://hannan-u.repo.nii.ac.jp/records/389 |title=ブリティッシュ・ライブラリー創設の背景 ─20世紀におけるイギリス国立図書館の変遷と機能の再検討─ |journal=阪南論集. 人文・自然科学編 |volume=48 |issue=1 |pages=1-10 |ref=harv}} |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
2024年5月13日 (月) 05:24時点における版
座標: 北緯51度31分46秒 西経0度07分37秒 / 北緯51.52944度 西経0.12694度
大英図書館セント・パンクラス館 | |
国 | イギリス |
---|---|
種別 | 国立図書館 |
専門分野 | イギリス及びアイルランドの出版物の法定納本図書館 |
創設 | 1973年7月1日(母体である大英博物館図書部の創立は1753年) |
関係法令 | 1972年大英図書館法 |
所在地 | British Library, St Pancras: 96 Euston Road London NW1 2DB British Library, Boston Spa: Wetherby West Yorkshire LS23 7BQ |
本館 | セント・パンクラス館 |
分館 | ボストン・スパ館 |
収蔵情報 | |
収蔵品種 | 書籍、雑誌、新聞、パンフレット、録音、特許、データベース、地図、切手、版画、絵画など |
収蔵数 | 約170,000,000点[1] |
法定納本 | 2003年法定納本図書館法に基づく |
その他 | |
予算額 | £117,800,000(2015年度) |
館長 | ロリー・キーティング(2012年 - ) |
ウェブサイト | www |
歴史
1972年大英図書館法 (British Library Act 1972) に基づき、1973年に大英博物館図書館を母体として、ロンドンの国立中央図書館、国立科学発明参考図書館、国立科学技術貸出図書館など、既存のいくつかのイギリスの国立図書館が組織的に統合され、大英図書館が設立された。大英図書館の発足当初は、イギリスの景気が長期にわたって停滞した時期にあたり、新しい図書館施設の建設は行われず、蔵書は大英図書館に統合された各図書館の書庫に分散して保存された。しかし、資料数の増大とともに書庫スペースの不足が問題となり、1982年よりロンドン郊外のセント・パンクラスに建設される新館への移行事業が開始された。1998年、新聞図書館など専門図書館的な機能を持つ一部の図書館を除いて、大英図書館に所属する各図書館の蔵書が新館︵セント・パンクラス館︶に集約され、大英図書館は完全統合した。大英図書館の前身
大英博物館図書館
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大英博物館のスライドする書架
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1823年から大英博物館図書館の蔵書となった、国王ジョージ3世の私設文庫
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大英図書館に属する大英博物館図書館の図書閲覧室のパノラマ写真
その他の前身機関
大英図書館への統合
法定納本図書館として
所蔵資料
大英図書館はその設立の経緯から、イギリスの旧王室図書館を経て大英博物館に集められた蔵書を数多く所有し、世界中の3000年分にわたる写本、稀覯本と言ったものが多数蔵書として管理されているのが特徴である。古書や外国文献の収集も盛んに行われている。 また、セント・パンクラス館内には、人文、科学技術、貴重書、手稿、東洋・インド文献などの複数のテーマ別閲覧室が設置されている[18]。 大英図書館の蔵書は、毎年およそ300万冊のペースで増加しており[1]、一日あたりに換算すると、毎日8,000冊ほどの新刊が納められていることになる。図書館の書架の長さの総延長は625kmで、一年に12km延びている計算になる。所蔵する最古の資料は中国の甲骨で、紀元前1600年にまで遡る。蔵書︵所蔵品︶の構成は、2500万冊以上の書籍、5800万件の特許、92万部の新聞・雑誌、160万曲の音楽、800のデータベース、40万リールのマイクロフィルム、800万点の切手・証紙、430万点の地図制作用品である。図書コレクション
大英図書館の蔵書の中で最も重要なものは、マグナ・カルタの手稿︵2部︶[19]、ベーオウルフ叙事詩の唯一保存された古写本、グーテンベルク聖書︵2冊︶[20]、シェイクスピアのファースト・フォリオ︵5冊︶[21]、シナイ写本[22]である。大英図書館によると、同館の2500万冊以上の蔵書は、これまでにイギリスで印刷されたほぼ全ての図書を網羅しているという。さらに、図書の購入については、大英図書館にとって必要なものだけに留まらない。例えば、2012年に大英図書館はヨーロッパで最も古い有名な書物である聖カスバートの福音書の写本を購入した。この写本は、聖カスバートの死後、698年頃に棺とともに埋められたもので、大英図書館はこれを900万ポンドで購入した。印刷されたものとして世に知られた世界最古の書物は、グーテンベルク聖書よりも600年近く前に出された、中国の金剛般若経の868年5月11日の版で、大英図書館に所蔵されている。このほか、サントメール、ボーフォート、パリ、スフォルツァ家、テイマウス城、エティエンヌ・シュヴァリエの各時祷書を所蔵する。また、世界最大の聖書コレクションも大英図書館に所蔵されており、前述したグーテンベルク聖書とシナイ写本の他に、グランヴァルの聖書、フランケンタールの聖書、リンディスファーンの福音書などがある。貴重な所蔵品
大英図書館が選ぶ貴重な所蔵品には以下のような品がある:[23]- 金剛般若経(出版年が確認できる世界最古の印刷書で[24]、唐代の868年に印刷された)
- シナイ写本の大部分(4世紀頃にコイネー・ギリシャ語で書かれた、世界で2番目に古い聖書の写本[25])
- アレクサンドリア写本(コイネー・ギリシャ語で書かれた初期の聖書の写本)
- リンディスファーンの福音書(ノーサンブリアで製作された福音書のラテン語装飾写本)
- 聖カスバートの福音書(西洋風の装丁がなされた最古のノーサンブリアの福音書)
- 2冊のグーテンベルク聖書(1450年代にドイツのマインツで印刷されたラテン語聖書)
- 1215年のマグナ・カルタの手稿(2部)
- 唯一保存された叙事詩『ベーオウルフ』の古写本[26]
- ベッドフォードの時祷書(かつてベッドフォード公が所有していた、豊かに彩られた中世後期の時祷書)
- 皇帝イヴァン・アレクサンダルの諸福音書(1355年から1356年にかけて製作された、最も重要な中世ブルガリアの装飾写本)
- アランデル手稿(レオナルド・ダ・ヴィンチ手稿の一つ)
- 1534年のウィリアム・ティンダル訳『新約聖書』英語版(アン・ブーリンの蔵書より[27])
- ヘンデル作曲の『メサイア』の自筆譜
- ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』の手稿
歴代館長および主任司書
- 館長
- 初代:ハリー・フックウェイ(1973年 - 1984年)
- 第2代:ケネス・クーパー(1984年 - 1991年)
- 第3代:ブライアン・ラン(1991年 - 2000年)
- 第4代:リン・ブリンドリー(2000年 - 2012年)
- 第5代:ロリー・キーティング(2012年 - )
- 主任司書
- 初代:キャロライン・ブレイジャー(2013年 - 2018年)
- 第2代:リズ・ジョリー(2018年 - )
脚注・出典
- 脚注
- ^ カレントアウェアネス・ポータルの例にあるように、国立国会図書館では主にこちらの名称が用いられている。
- 出典
参考文献
- 平野美惠子「イギリスにおける2003年法定納本図書館法の制定 : デジタル時代への対応」『外国の立法 : 立法情報・翻訳・解説』第223号、東京 : 国立国会図書館、2005年2月、95-107頁、doi:10.11501/1000419、ISSN 0433096X、国立国会図書館書誌ID:7291793“国立国会図書館デジタルコレクション”