「筆」の版間の差分
rvv 153.143.50.241 (会話) による ID:99583414 の版を取り消し タグ: 取り消し |
|||
(27人の利用者による、間の33版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
{{Otheruses|筆記具の筆|画材としての筆|画筆|その他}} |
{{Otheruses|筆記具の筆|画材としての筆|画筆|その他}} |
||
{{Redirect|ふで|漢字の部首|聿部}} |
|||
[[ファイル:Pinceaux chinois.jpg|thumb|さまざまな筆]] |
[[ファイル:Pinceaux chinois.jpg|thumb|さまざまな筆]] |
||
{{漢字}} |
|||
'''筆'''︵ふで︶とは、[[毛 (動物)|毛]]︵[[繊維]]︶の束を[[軸]]︵[[竹筒]]などの細い[[棒]]︶の先端に付けた、[[文字|字]]や[[絵画|絵]]を書くための[[道具]]である。[[化粧]]にも用いられる。'''毛筆'''︵もうひつ︶ともいう。
|
'''筆'''︵ふで︶とは、[[毛 (動物)|毛]]︵[[繊維]]︶の束を[[軸]]︵[[竹筒]]などの細い[[棒]]︶の先端に付けた、[[文字|字]]や[[絵画|絵]]を書くための[[道具]]である。[[化粧]]にも用いられる。'''毛筆'''︵もうひつ︶ともいう。
|
||
6行目: | 8行目: | ||
軸︵柄︶の部分︵[[書道用語一覧#筆管|筆管]]︶を手に持ち、毛の部分︵穂︶に[[墨]]や[[顔料]]をつけ、[[紙]]などの書く対象にその毛をなすり付けることによって、字を書いたり絵を描いたりすることができる。
|
軸︵柄︶の部分︵[[書道用語一覧#筆管|筆管]]︶を手に持ち、毛の部分︵穂︶に[[墨]]や[[顔料]]をつけ、[[紙]]などの書く対象にその毛をなすり付けることによって、字を書いたり絵を描いたりすることができる。
|
||
穂の長さにより長鋒・中鋒・短鋒に分けられる<ref>筆墨硯紙事典 PP..46-47</ref>。また、穂の大きさにより大筆・小筆という分類もある。<ref>{{cite book |first =莫山 |last =榊 |title =文宝四宝 筆の話 | edition =1 |date =1998-05-29 | |
穂の長さにより長鋒・中鋒・短鋒に分けられる<ref>筆墨硯紙事典 PP..46-47</ref>。また、穂の大きさにより大筆・小筆という分類もある。<ref>{{cite book |first =莫山 |last =榊 |title =文宝四宝 筆の話 | edition =1 |date =1998-05-29 |publisher =[[角川書店]] | isbn =4-04-703294-8 |page =186}}</ref>材料の毛には通常、獣毛が利用される︵まれに[[化学繊維]]が使われることもあり、記念品用などには人毛も使われることがある︶。剛毛︵[[ウマ|馬]]・[[イタチ|鼬]]・[[タヌキ|狸]]などの毛が用いられる︶、柔毛︵[[ヒツジ|羊]]・[[ネコ|猫]]・[[リス|栗鼠]]などの毛が利用される︶などのほか﹁特殊筆﹂として、[[ニワトリ|鶏]]・[[クジャク|孔雀]]・[[マングース]]・[[ムササビ|鼯鼠]]の毛を用いたものや、獣毛以外にも[[藁]]や[[竹]]を使用したものも生産されている。剛毛と柔毛の数種類の毛をまぜて、弾力をもたせて適度に書きやすくしたものを兼毫︵けんごう、兼毛とも︶と言う<ref>筆墨硯紙事典 P.2</ref>。
|
||
[[日本]]に現存する最古のものは「天平筆(雀頭筆)」であるとされており、[[正倉院]]に残されている<ref>神崎 茂夫、『やまびこは語る』 (単行本)、文芸社 (2002年3月15日 出版)、ISBN 9784835534527</ref>。 |
[[日本]]に現存する最古のものは「天平筆(雀頭筆)」であるとされており、[[正倉院]]に残されている<ref>神崎 茂夫、『やまびこは語る』 (単行本)、文芸社 (2002年3月15日 出版)、ISBN 9784835534527</ref>。 |
||
16行目: | 18行目: | ||
=== 仕組み === |
=== 仕組み === |
||
{{独自研究|section=1|date=2021-07}}[[ファイル:CSIRO ScienceImage 8115 Human hair and Merino wool fibre.jpg|代替文=羊毛と人毛の電子顕微鏡写真|左|サムネイル|電子顕微鏡で観察した羊毛(上)と人毛(下)の表面]] |
|||
毛は顕微鏡で見るとウロコ状の表皮に包まれた物体であることがわかる。ウロコ状の部分をcuticle([[キューティクル]]:表皮構成物質)と呼ぶ。人毛の場合、この[[キューティクル]]の隙間は0.1[[マイクロメートル|μm]]であり、水などがこの隙間から進入すると毛全体が膨らみ反る。そのため、作られた直後では膨らんだり毛が反り返るなどして性能を活かしきることができない。ススは、元素的にはカーボン(炭素)である。このスス成分がキューティクルの隙間に沈着し、水分の浸透を防止し、膨らんだり反ったりしなくなる。さらに、これによりコシが出て、墨の含みも良くなり、最も良い状態でその性能を活かすことができる。羊毛では、作成直後は透通るような白い色をしているが、使い込むに従って銀色に、さらに長年を経ると黄金色に輝き、使用者自身の書きぶりが毛の癖となって表れ、その人の体の一部の如く使いこなしやすくなる。しかしその状態になるには、墨液よりも、摩った固形墨の方が良いと言える。 |
毛は顕微鏡で見るとウロコ状の表皮に包まれた物体であることがわかる。ウロコ状の部分をcuticle([[キューティクル]]:表皮構成物質)と呼ぶ。人毛の場合、この[[キューティクル]]の隙間は0.1[[マイクロメートル|μm]]であり、水などがこの隙間から進入すると毛全体が膨らみ反る。そのため、作られた直後では膨らんだり毛が反り返るなどして性能を活かしきることができない。ススは、元素的にはカーボン(炭素)である。このスス成分がキューティクルの隙間に沈着し、水分の浸透を防止し、膨らんだり反ったりしなくなる。さらに、これによりコシが出て、墨の含みも良くなり、最も良い状態でその性能を活かすことができる。羊毛では、作成直後は透通るような白い色をしているが、使い込むに従って銀色に、さらに長年を経ると黄金色に輝き、使用者自身の書きぶりが毛の癖となって表れ、その人の体の一部の如く使いこなしやすくなる。しかしその状態になるには、墨液よりも、摩った固形墨の方が良いと言える。 |
||
21行目: | 24行目: | ||
=== 毛とニカワの関係について === |
=== 毛とニカワの関係について === |
||
前項のように、使うほどに本来の能力が引き出されてくるが、それには墨の選び方や洗い方も大事になってくる。 |
{{独自研究|section=1|date=2021-07}}前項のように、使うほどに本来の能力が引き出されてくるが、それには墨の選び方や洗い方も大事になってくる。
|
||
墨の成分は、主に[[スス]]と膠([[ニカワ]]:コラーゲン・ゼラチン成分)から作られている。品質の劣悪なものは、ニカワに安価な海外の[[魚]]のコラーゲンを使うなどするため、ニカワの成分が毛に対してストレスを与え、キューティクルを傷める。人によっては[[リンス]]や[[コンディショナー]]などを塗布してキューティクルを守ろうとすることがあるが、前述の通り、キューティクルの隙間にススを入れることが大事であって、リンスやコンディショナーなどは隙間に入り込んでススの入りを阻害し、コシを与えず逆に寿命を縮めることになる。 |
墨の成分は、主に[[スス]]と膠([[ニカワ]]:コラーゲン・ゼラチン成分)から作られている。品質の劣悪なものは、ニカワに安価な海外の[[魚]]のコラーゲンを使うなどするため、ニカワの成分が毛に対してストレスを与え、キューティクルを傷める。人によっては[[リンス]]や[[コンディショナー]]などを塗布してキューティクルを守ろうとすることがあるが、前述の通り、キューティクルの隙間にススを入れることが大事であって、リンスやコンディショナーなどは隙間に入り込んでススの入りを阻害し、コシを与えず逆に寿命を縮めることになる。 |
||
=== 洗うことについて === |
=== 洗うことについて === |
||
穂先に墨が残らないようによく水洗いする。ただし、作られてすぐ水に長時間浸すことは、毛に水が入り込み膨らんでキューティクルの隙間が大きく開き、毛が切れやすくなる。同じ理由で、穂先を固めるためのノリ成分を、水に長時間さらして落とすのは適当でない。
|
{{独自研究|section=1|date=2021-07}}穂先に墨が残らないようによく水洗いする。ただし、作られてすぐ水に長時間浸すことは、毛に水が入り込み膨らんでキューティクルの隙間が大きく開き、毛が切れやすくなる。同じ理由で、穂先を固めるためのノリ成分を、水に長時間さらして落とすのは適当でない。
|
||
小筆を洗う場合は、穂先を擦り切らせないよう気をつける。 |
小筆を洗う場合は、穂先を擦り切らせないよう気をつける。 |
||
39行目: | 42行目: | ||
== 産地 == |
== 産地 == |
||
[[ファイル:巨大熊野筆01.jpg|thumb|巨大熊野筆]] |
[[ファイル:巨大熊野筆01.jpg|thumb|巨大熊野筆]] |
||
京都市、東京都 |
京都市、東京都、[[広島県]]の[[熊野町]]︵[[熊野筆]]︶、[[呉市]]︵[[川尻筆]]︶、[[奈良県]]︵奈良筆︶、[[愛知県]]の[[豊橋市]]︵[[豊橋筆]]︶、[[宮城県]]の[[仙台市]]︵仙台御筆︶、などが有名な産地であるが、いずれも職人仕事なので、特定の町内に職人の職住一致の仕事場が点在している。
|
||
特に[[伝統工芸品]]として[[経済産業省]]に認定されているのは、 |
特に[[伝統工芸品]]として[[経済産業省]]に認定されているのは、 |
||
55行目: | 58行目: | ||
{{main|書法|油彩|水彩}} |
{{main|書法|油彩|水彩}} |
||
== |
== 種類 == |
||
=== 毛 === |
|||
⚫ | |||
; {{ill2|コリンスキーセーブル筆|en|Kolinsky sable-hair brush}} |
|||
: [[チョウセンイタチ]](コリンスキーセーブル)の尾にある毛を原毛として使った高級毛筆。イギリス王室からの依頼で文具メーカーの[[ウィンザー・アンド・ニュートン]]などが制作している。 |
|||
; 根朱筆(ねじふで) |
|||
⚫ | |||
: 特定環境にいる[[クマネズミ]]の背中にある水毛を使用した筆。滋賀県の琵琶湖畔にいるクマネズミの毛が使用されていたが、護岸工事などで生息環境が変わってしまい入手困難となっている<ref>{{Cite web|和書|url=https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000241851 |title=京都でネズミの毛を使った筆を製作していると聞いたが,どんなものか知りたい。 |access-date=2023-01-16 |last=国立国会図書館 |website=レファレンス協同データベース |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://xtech.nikkei.com/dm/article/COLUMN/20081029/160332/ |title=﹁漆器﹂第5話 ﹃絹の服を着ているわけ﹄ |access-date=2023-01-16 |last=日経クロステック︵xTECH︶ |website=日経クロステック︵xTECH︶ |language=ja}}</ref>。
|
|||
⚫ | |||
; 狸毛 |
|||
⚫ | |||
: 白狸毛と黒狸毛があり、白狸の方が上質。筆の達人である空海︵弘法大師︶が中国で得た製筆法を著した﹃狸毛筆奉献表﹄などにもみられる<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.daigoji.or.jp/archives/cultural_assets/NA003/NA003.html |title=京都 醍醐寺 文化財アーカイブス|醍醐寺の国宝・重要文化財 |access-date=2023-01-16 |website=www.daigoji.or.jp}}</ref><ref>日本の国宝: 近畿 6 (京都, 滋賀) 出版社‥朝日新聞社 p61</ref>。
|
|||
⚫ | |||
⚫ | |||
; {{Anchors|胎毛筆}}胎毛筆 |
|||
⚫ | |||
⚫ |
: 胎毛︵[[赤ちゃん]]の生まれて始めて切ったものを言い、毛先が切られていないもの︶を使用したもので、誕生祝いや[[百日祝い]]などに、赤ちゃんの成長を願って記念品として作り、本人や、祖父母などに贈るものである。中国の伝統を起源とする説がある<ref>{{Cite book|和書|author=田淵実夫|title=筆|series=ものと人間の文化史 30|publisher=法政大学出版局|year=1978|page=72|isbn=4588203010}}</ref>が、2006年以前の中国ではあまり聞かれない風習であった<ref>{{Cite web|和書|url=https://archive.is/bwKwq|website=recordchina.co.jp|title=赤ちゃんの毛で作る胎毛筆が大人気―江西省カン州市|date=2006-09-20|accessdate=2023-01-16|publisher=株式会社Record China}}</ref>。
|
||
* [[筆下ろし]] |
|||
⚫ | |||
=== 目的 === |
|||
⚫ | |||
; 線描筆 |
|||
⚫ | |||
: 細い線を引くときに使用される。則妙筆(そくみょうふで)、削用筆︵さくようふで︶、面相筆︵めんそうふで︶の3種に分けられる<ref name=musashi>{{Cite web|和書|url=http://zokeifile.musabi.ac.jp/線描筆 |title=武蔵野美術大学 造形ファイル|武蔵野美術大学による、美術とデザインの﹁素材・道具・技法﹂に関する情報提供サイト |access-date=2023-01-16 |website=武蔵野美術大学 造形ファイル |language=ja}}</ref>。面相筆は人物の顔や表情を描くのに用いられたことに由来する<ref name=musashi/>。
|
|||
⚫ | |||
⚫ | * 椽大の筆(てんだいのふで) - 「[[晋書]]王珣伝」より、すぐれた文章の美称。椽大とは[[垂木]]のような大きな立派なという意。 |
||
; 隈取筆、ぼかし筆 |
|||
⚫ | |||
: 墨汁や顔料をぼかすための筆<ref>{{Cite book|和書|author=田淵実夫|title=筆|series=ものと人間の文化史 30|publisher=法政大学出版局|year=1978|page=58|isbn=4588203010}}</ref>。
|
|||
⚫ | |||
; 付立筆、附立筆、没骨筆<ref>{{Cite web|和書|url=http://zokeifile.musabi.ac.jp/附立筆 |title=武蔵野美術大学 造形ファイル|武蔵野美術大学による、美術とデザインの「素材・道具・技法」に関する情報提供サイト |access-date=2023-01-16 |website=武蔵野美術大学 造形ファイル |language=ja}}</ref> |
|||
⚫ | |||
⚫ | |||
⚫ | |||
⚫ | |||
⚫ | |||
⚫ | |||
:* 筆を折る - 文筆家が書くことを辞めること。「筆をおく」に比べて辞めることを強調する場合に使われる。 |
|||
:* 筆下ろし - 新品の筆を使い始めること。それにちなみ、初めて物事に臨むことや[[男性]]が[[童貞]]を卒業することを指す<ref>[https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E7%AD%86%E4%B8%8B%E3%82%8D%E3%81%97/ 筆下ろし(ふでおろし)の意味 - goo国語辞書]</ref>。 |
|||
⚫ | |||
⚫ | |||
⚫ | |||
⚫ | |||
⚫ | :* 椽大の筆(てんだいのふで) - 「[[晋書]]王珣伝」より、すぐれた文章の美称。椽大とは[[垂木]]のような大きな立派なという意。 |
||
⚫ | |||
⚫ | |||
; その他 |
|||
:* 日本や中国のような漢字文化圏ではかつて筆︵毛筆︶が主要な筆記具であったことから、他の筆記具にも筆とつける例がある<ref group="注釈">鉛筆、[[万年筆]]等。中国語では[[ボールペン]]を指す円珠筆︵{{繁体字|圓珠筆}} / {{簡体字|圆珠笔}}︶や[[クレヨン]]を指す蝋筆︵{{繁体字|蠟筆}} / {{簡体字|蜡笔}}︶などがある。</ref>。
|
|||
== 脚注 == |
== 脚注 == |
||
{{脚注ヘルプ}} |
|||
<references/> |
|||
== |
=== 注釈 === |
||
{{Notelist}} |
|||
=== 出典 === |
|||
{{Reflist}} |
|||
== 参考文献 == |
|||
* 『筆墨硯紙事典』([[天来書院]]、2009年5月)ISBN 978-4-88715-214-4 |
* 『筆墨硯紙事典』([[天来書院]]、2009年5月)ISBN 978-4-88715-214-4 |
||
== 関 |
== 関連項目 == |
||
* [[糸]] |
* [[糸]] |
||
* [[文鎮]] |
* [[文鎮]] |
||
* [[矢立]] - [[墨壺]]と組み合わせた携帯筆記具 |
|||
* [[書道]]、[[習字]]、[[漢字]] |
* [[書道]]、[[習字]]、[[漢字]] |
||
* [[絵筆]]、[[ブラシ]]、[[刷毛]] |
* [[絵筆]]、[[ブラシ]]、[[刷毛]] |
||
91行目: | 123行目: | ||
== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
||
{{commonscat|Ink brushes}} |
{{commonscat|Ink brushes}} |
||
* [http://www.kougeishi.jp/ |
* [http://www.kougeishi.jp/ 日本の伝統工芸士 /(財)伝統的工芸品産業振興協会] |
||
* [http://www.dsl.gr.jp/~toyama/shoukai/fude00.html/ 豊橋筆 /豊橋筆振興協同組合] |
|||
* [http://fude.or.jp/jp/kumanofude/ 熊野筆 /(財)筆の里振興事業団] |
* [http://fude.or.jp/jp/kumanofude/ 熊野筆 /(財)筆の里振興事業団] |
||
* [http://www.manabi.pref.hiroshima.jp/gakusyu/kougei/kawajiri/index.html/ 川尻筆 /川尻町毛筆事業協同組合] |
|||
{{サイエンスチャンネル |
{{サイエンスチャンネル |
||
|番組番号=B980601 |
|番組番号=B980601 |
||
103行目: | 133行目: | ||
|製作年度=2007年 |
|製作年度=2007年 |
||
}} |
}} |
||
⚫ | |||
{{Normdaten}} |
|||
{{DEFAULTSORT:ふて}} |
{{DEFAULTSORT:ふて}} |
||
[[Category:筆|*]] |
[[Category:筆|*]] |
||
[[Category:筆記具]] |
|||
[[Category:書]] |
|||
[[Category:画材]] |
|||
⚫ |
2024年3月11日 (月) 00:32時点における最新版
漢字 | ||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
書体 | ||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||
字体 | ||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||
漢字文化圏 | ||||||||||||||||||||
中・日・朝・越・台・琉・新 | ||||||||||||||||||||
派生文字 | ||||||||||||||||||||
国字 方言字 則天文字 | ||||||||||||||||||||
仮名 古壮字 字喃 女書 | ||||||||||||||||||||
契丹文字 女真文字 西夏文字 | ||||||||||||||||||||
→字音 |
概要[編集]
軸︵柄︶の部分︵筆管︶を手に持ち、毛の部分︵穂︶に墨や顔料をつけ、紙などの書く対象にその毛をなすり付けることによって、字を書いたり絵を描いたりすることができる。 穂の長さにより長鋒・中鋒・短鋒に分けられる[1]。また、穂の大きさにより大筆・小筆という分類もある。[2]材料の毛には通常、獣毛が利用される︵まれに化学繊維が使われることもあり、記念品用などには人毛も使われることがある︶。剛毛︵馬・鼬・狸などの毛が用いられる︶、柔毛︵羊・猫・栗鼠などの毛が利用される︶などのほか﹁特殊筆﹂として、鶏・孔雀・マングース・鼯鼠の毛を用いたものや、獣毛以外にも藁や竹を使用したものも生産されている。剛毛と柔毛の数種類の毛をまぜて、弾力をもたせて適度に書きやすくしたものを兼毫︵けんごう、兼毛とも︶と言う[3]。 日本に現存する最古のものは﹁天平筆︵雀頭筆︶﹂であるとされており、正倉院に残されている[4]。書の筆[編集]
通常、大筆︵太筆︶は穂を全ておろす︵ノリを落とす︶が︵根元に短い毛を意図的に残し、弾力を高めているものに関しては根元を固めたままにすることが多い︶、小筆︵細筆︶は穂先だけをおろすのが良い。ただし、仮名用に於いて、やや大きめの面相筆は根本までおろすことが多い。[要出典] 小筆の穂先は特に繊細なため、陸︵墨を磨る部分︶で穂先をまとめるために強くこすりつけることは極力避ける。墨などで固まった穂先を陸にこすりつけて、柔らかくしようとすることは絶対にしてはならない。硯は固形墨を磨︵す︶るためのヤスリであり、墨液が潤滑の働きをするとは言え、そのヤスリにこすりつけることは穂先を硯で磨ることと同じであり、穂先をひどく傷めてしまうからである。大筆も硯の陸の部分で毛をこすりつけないこと[5]。大作を作る時などは、墨磨り機などで磨った墨をプラスチックや陶器の容器に移し替えて使うことが多い[6]。仕組み[編集]
毛とニカワの関係について[編集]
洗うことについて[編集]
産地[編集]
筆による技法[編集]
種類[編集]
毛[編集]
コリンスキーセーブル筆 チョウセンイタチ(コリンスキーセーブル)の尾にある毛を原毛として使った高級毛筆。イギリス王室からの依頼で文具メーカーのウィンザー・アンド・ニュートンなどが制作している。 根朱筆︵ねじふで︶ 特定環境にいるクマネズミの背中にある水毛を使用した筆。滋賀県の琵琶湖畔にいるクマネズミの毛が使用されていたが、護岸工事などで生息環境が変わってしまい入手困難となっている[7][8]。 狸毛 白狸毛と黒狸毛があり、白狸の方が上質。筆の達人である空海︵弘法大師︶が中国で得た製筆法を著した﹃狸毛筆奉献表﹄などにもみられる[9][10]。 胎毛筆 胎毛︵赤ちゃんの生まれて始めて切ったものを言い、毛先が切られていないもの︶を使用したもので、誕生祝いや百日祝いなどに、赤ちゃんの成長を願って記念品として作り、本人や、祖父母などに贈るものである。中国の伝統を起源とする説がある[11]が、2006年以前の中国ではあまり聞かれない風習であった[12]。目的[編集]
線描筆 細い線を引くときに使用される。則妙筆(そくみょうふで)、削用筆︵さくようふで︶、面相筆︵めんそうふで︶の3種に分けられる[13]。面相筆は人物の顔や表情を描くのに用いられたことに由来する[13]。 隈取筆、ぼかし筆 墨汁や顔料をぼかすための筆[14]。 付立筆、附立筆、没骨筆[15]筆にまつわる言葉[編集]
慣用句 ●筆がすべる - 書かなくて良いこと、書いてはいけないことをつい書いてしまうこと。﹁口がすべる﹂に等しい。 ●筆がたつ - 文章を書くことが上手いこと。 ●筆にまかせる - 深い推敲などをせず、思うまま、勢いのままに文章を書くこと。 ●筆をおく - 文章を書き終えること。また、文筆家が書くことを辞めることもいう。 ●筆を折る - 文筆家が書くことを辞めること。﹁筆をおく﹂に比べて辞めることを強調する場合に使われる。 ●筆下ろし - 新品の筆を使い始めること。それにちなみ、初めて物事に臨むことや男性が童貞を卒業することを指す[16]。 故事・ことわざ ●弘法筆を選ばず︵こうぼうふでをえらばず︶ ●弘法も筆の誤り︵こうぼうもふでのあやまり︶ ●意到随筆︵いとうずいひつ︶ - 自らの意のままに文章が書けるということ。 ●椽大の筆︵てんだいのふで︶ - ﹁晋書王珣伝﹂より、すぐれた文章の美称。椽大とは垂木のような大きな立派なという意。 ●燕頷投筆︵えんがんとうひつ︶ ●口誅筆伐︵こうちゅうひつばつ︶ - 文や言葉で批判や攻撃を行うこと。 その他 ●日本や中国のような漢字文化圏ではかつて筆︵毛筆︶が主要な筆記具であったことから、他の筆記具にも筆とつける例がある[注釈 1]。脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
参考文献[編集]
- 『筆墨硯紙事典』(天来書院、2009年5月)ISBN 978-4-88715-214-4
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 日本の伝統工芸士 /(財)伝統的工芸品産業振興協会
- 熊野筆 /(財)筆の里振興事業団
- 「筆(書道用)ができるまで」 - 広島県熊野町の職人を取材して、材料から筆ができるまでの間の工程の流れを説明している(全14分) 2007年 サイエンスチャンネル