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朧夜のここに淡海の水ぐるま<ref>俳句歳時記 春の部―平凡社版 38頁 </ref> |
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末黒野や膝にこぼるる握飯<ref>俳句歳時記 春の部―平凡社版 104頁 </ref> |
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2015年12月17日 (木) 13:05時点における版
経歴
愛知県渥美郡泉村︵現・田原市︶に生まれる。幼い頃より頑健ではなく病弱だった為、遠方通学の無理がたたり体調を崩し 成章中学︵現愛知県立成章高等学校︶を中退。中退後は静養のかたわら文学書を読み耽っていた。そんな折、前隣りの旅籠旅館盛義海水亭の主人 であった 川合茂助︵俳号華光︶から 俳句を勧められ俳句誌﹁石楠﹂に投稿するようになる。 ●櫓の渦の消ゆれば消ゆる夜光虫 ●花棕櫚に大和の国の鐘をきく ●鳴きいしは風の残せし千鳥かな などの句で石楠同信に名を知られるようになった。 石楠俳人の主と好人物の女将の経営する盛義海水亭は 石楠同信の来訪には絶好のところとなり臼田亞浪をはじめ まさに各士再々であった。 鵬于はそれら遠来の友と俳句 文学等様々なことを語り合うことを最大の喜び、楽しみにしていた。 1938年︵昭和13年︶に結婚し一男一女をもうけるが1944年︵昭和19年︶心臓弁膜症により死去。享年35。 1946年︵昭和21年︶俳誌﹁三河﹂主宰市川丁子、﹁林苑﹂主宰大田鴻村の尽力により遺句集 蔓荊が発刊された。作品
朧夜のここに淡海の水ぐるま[1]
行く春の暮の青さに漕ぎいづる[2]
末黒野や膝にこぼるる握飯[3]
雛の夜をいづらへ去るや船の笛[4]
夕顔の種くれぬあてもなく播きぬ[5]
お遍路はおぼろの国の果に寝ん[6]
遠山に青煙のぼり山帰来[7]
暖流にましろくひかり豆の花[8]
げんげ田や昼は遺影が家を守る[9]
駿河野のこゝに暮れゆく葱坊主[10]
たんぽぽや洋の響きは地にこもり[11]
修道院へすかんぽの道ほそりゐる[12]
燈台守に九月の空の澄み来にけり[13]
薄月の薬師の道になに買はん[14]
閉ぢし戸に月光あふれ海の村[15]
秋風のてすりにかけし昼夜帯[16]
さめて野分のともし恋しく点しをり[17]
天竜や露の干ぬ間の桑摘女[18]
笛のよな顔して鹿の鳴きにけり[19]
虫売りはあはれ善人の顔もてり[20]
老村医こほろぎの夜を一二軒[21]
鈴虫の河原に添へば燈の飯田[22]
駒岳澄めば仙丈岳が降る草雲雀[23]
段丘に霧おく日日を鮎さびぬ[24]
紅雲一片鰯の群を率ゐ来ぬ[25]
木の実はや土になじむを拾ひけり[26]
暮れきればこころ机上の桔梗に[27]
菱刈りの深き茜に浸りゐる[28]
作品集
●蔓荊 : 鵬于遺句集 鈴木鵬于著 新化堂本店︵1946年︶ ●麦上 : 安藤甦浪遺稿 句集 安藤甦浪 著 ; 鈴木鵬于 編 三河︵1936年︶出典・脚注
(一)^ 俳句歳時記 春の部―平凡社版38頁 (二)^ 俳句歳時記 春の部―平凡社版51頁 (三)^ 俳句歳時記 春の部―平凡社版 104頁 (四)^ 俳句歳時記 春の部―平凡社版 151頁 (五)^ 俳句歳時記 春の部―平凡社版 211頁 (六)^ 俳句歳時記 春の部―平凡社版 281頁 (七)^ 俳句歳時記 春の部―平凡社版 496頁 (八)^ 俳句歳時記 春の部―平凡社版 513頁 (九)^ 俳句歳時記 春の部―平凡社版 518頁 (十)^ 俳句歳時記 春の部―平凡社版 521頁 (11)^ 俳句歳時記 春の部―平凡社版 523頁 (12)^ 俳句歳時記 春の部―平凡社版 583頁 (13)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版21頁 (14)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版73頁 (15)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版73頁 (16)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版98頁 (17)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版 108頁 (18)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版 131頁 (19)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版 341頁 (20)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版 380頁 (21)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版 385頁 (22)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版 387頁 (23)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版 388頁 (24)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版 419頁 (25)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版 429頁 (26)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版 449頁 (27)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版 546頁 (28)^ 俳句歳時記 秋の部―平凡社版 603頁参考文献
- さるみの会編 『東海の俳諧史』 名古屋泰文堂、1969年