ノートルダム・ド・パリ
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﹃ノートルダム・ド・パリ﹄︵Notre-Dame de Paris︶は、ヴィクトル・ユーゴーのゴシック小説。﹃ノートルダムのせむし男﹄の邦題でも知られている[1]。出版は1831年。
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ガーゴイルに腰掛けるカジモド。リュック=オリヴィエ・メルソン画
舞台は荒んだ15世紀︵1482年︶のパリ。教会の持つ権限が、弾圧と排除を生み出す時代の物語。
ノートルダム大聖堂の前に、一人の醜い赤ん坊が捨てられていた。彼は大聖堂の助祭長、フロロ︵Frollo︶に拾われ、カジモド︵Quasimodo︶という名をもらう。彼は成長し、ノートルダムの鐘つきとなる。
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エスメラルダ。ギュスターヴ・ブリオン画 (1892年)
パリにやって来た美しいジプシーの踊り子エスメラルダ︵Esmeralda︶に、聖職者であるフロロは心を奪われる。欲情に悩み、ついにはカジモドを使ってエスメラルダを誘拐しようとする。
しかしカジモドは捕らえられ、エスメラルダは衛兵フェビュス︵Phoebus︶に恋するようになる。フェビュスとエスメラルダの仲は深まるが、実はフェビュスは婚約者がいる不実な男だった。
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奇跡御殿ギュスターヴ・ドレ画
捕らえられたカジモドは広場でさらし者になるが、ただ一人エスメラルダだけは彼をかばう。
カジモドは人間の優しさを生まれて初めて知り、彼女に恋をする。フロロも彼女に想いを募らせるが、エスメラルダの心はフェビュスにある。フロロは逢引をするふたりをつけて行き、フェビュスを刺して逃げる。エスメラルダはフェビュス殺害未遂の濡れ衣を着せられ、魔女裁判の元に死刑が言い渡される。
カジモドはエスメラルダを救いノートルダム大聖堂にかくまう。しかし、エスメラルダはカジモドのあまりの醜さにまともに顔を見ることすらできなかった。
フロロはパリの暴動の矛先をノートルダム大聖堂に向けさせ、混乱の中エスメラルダを連れ出し、助命と引き換えに愛人になるよう迫るが、彼女はフェビュスを刺したフロロを拒んだ。フロロは彼女を衛兵に引き渡し、エスメラルダは兵士達に捕まり、処刑される。
大聖堂の塔の上からそれを見届けるフロロを、カジモドは塔から突き落として殺す。
数年後、処刑場を掘り起こすと、白い服装をしていた女性エスメラルダと思われる白骨に、異様な骨格の男の白骨が寄り添っており、それらを引き離そうとすると、砕けて粉になってしまった。
あらすじ[編集]
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主な登場人物[編集]
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日本語訳[編集]
●﹃ノートル=ダム・ド・パリ﹄ 辻昶・松下和則訳、﹁ヴィクトル・ユゴー文学館︵第5巻︶﹂潮出版社 2000年/岩波文庫︵上下、新訂版︶、2016年5月-6月 ●初訳は1950年に河出書房で刊行、第1〜6編を辻昶、第7〜11編を松下和則が分担訳 改訳され岩波文庫、研秀出版社、潮出版社、講談社﹁世界文学全集﹂で出版された ●﹃ノートル=ダム・ド・パリ﹄大友徳明訳、角川文庫、2022年2月 読みやすくした抄訳版で、原書挿絵を収録﹁ノートルダム・ド・パリ﹂を基にした作品[編集]
悲劇的な結末である原作に対し、ラストをハッピー・エンドにしたり、フェビュスが善人でフロロが悪役である作品が少なくない。また、本作のカジモドを元にユニバーサル映画では﹁せむし男﹂としてモンスター映画の派生作品が複数作られており、﹃フランケンシュタイン﹄の助手としてせむし男が登場するのが定番化して行くこととなる。
映画[編集]
●﹃ノートルダムの傴僂男﹄︵原題‥The Hunchback of Notre-Dame、1923年、アメリカ、白黒サイレント︶ ●監督‥ウォーレス・ワースリー ●出演‥ロン・チェイニー︵カジモド︶、パッツィ・ルース・ミラー︵エスメラルダ︶、ノーマン・ケリー︵フェビュス︶、ブランドン・ハースト︵フロロ︶ ●﹃ノートルダムの傴僂男﹄︵原題‥The Hunchback of Notre-Dame、1939年、アメリカ、白黒︶ ●監督‥ウィリアム・ディターレ ●出演‥チャールズ・ロートン︵カジモド︶、モーリン・オハラ︵エスメラルダ︶、セドリック・ハードウィック︵フロロ︶ ●﹃ノートルダムのせむし男﹄︵原題‥Notre-Dame de Paris、1956年、フランス、カラー︶ ●監督‥ジャン・ドラノワ ●出演‥ジーナ・ロロブリジーダ︵エスメラルダ︶、アンソニー・クイン︵カジモド︶、アラン・キュニー︵フロロ︶ ●﹃ノートルダムの鐘つき男/報われぬ愛の物語﹄︵原題‥The Hunchback of Notre-Dame、1982年、アメリカ、カラー、テレビ映画︶ ●監督‥マイケル・タクナー ●出演‥アンソニー・ホプキンス︵カジモド︶、レスリー=アン・ダウン︵エスメラルダ︶、デレク・ジャコビ︵フロロ︶ ●﹃ノートルダムの鐘﹄︵原題‥The Hunchback of Notre Dame、1996年、アメリカ、カラー、アニメ映画︶ ●ディズニーの長編アニメーション作品。 ●監督‥ゲイリー・トルースデール、カーク・ワイズ ●﹃ノートルダム﹄︵原題‥The Hunchback、1997年、アメリカ、カラー、テレビ映画︶ ●監督‥ピーター・メダック ●出演‥マンディ・パティンキン︵カジモド︶、リチャード・ハリス︵フロロ︶、サルマ・ハエック︵エスメラルダ︶オペラ[編集]
●﹃ラ・エスメラルダ﹄︵La Esmeralda︶ ●音楽‥ルイーズ・ベルタン ●初演‥1836年11月14日︵パリ国立歌劇場︶ ●台本‥ヴィクトル・ユーゴー ●﹃エスメラルダ﹄︵Esmeralda︶ ●音楽‥アレクサンドル・ダルゴムイシスキー ●初演‥1847年12月17日︵ボリショイ劇場︶ ●台本‥アレクサンドル・ダルゴムイシスキー ●﹃エスメラルダ﹄︵Esmeralda︶ ●音楽‥アーサー・ゴーリング・トーマス ●初演‥1883年3月26日︵ロイヤル・ドルリー・レーン劇場︶ ●台本‥テオ・マーツィアルズ とアルベルト・ランデッガー ●﹃ノートルダム﹄ ●音楽‥フランツ・シュミット ●初演‥1914年4月1日︵ウィーン宮廷歌劇場︶ ●台本‥レオポルト・ウィルク、フランツ・シュミットバレエ[編集]
●﹃エスメラルダ﹄︵La Esmeralda︶ ●台本・振付‥ジュール・ペロー ●音楽‥チェーザレ・プーニ ●初演‥1844年3月9日︵ロンドン王立劇場︶ ●現在は1866年にプティパがマリインスキー劇場での全幕改訂上演に際して新たに振付けたグラン・パ・ド・ドゥが、ガラ公演等で披露されることが多い。 ●﹃ノートルダム・ド・パリ﹄︵Notre-dame de Paris︶ ●台本・振付‥ローラン・プティ ●音楽‥モーリス・ジャール ●衣装‥イヴ・サン=ローラン ●初演‥1965年12月11日︵パリ・オペラ座︶ ●牧阿佐美バレヱ団などがレパートリーとしている。 ●DVD化されている1996年の舞台では、エトワールとして、エスメラルダ役にイザベル・ゲラン、カジモド役にニコラ・ル・リッシュ、フロロ役にローラン・イレール、フェビュス役にマニュエル・ルグリが出演している。ミュージカル[編集]
●﹃ノートルダム・ド・パリ﹄ ●作詞‥リュック・プラモンドン、作曲‥リシャール・コッシアンテ ●1998年9月16日にパリで初演を迎え、ヨーロッパを中心に世界各国で上演された。 ●﹃ノートルダムの鐘﹄ ●作曲はアラン・メンケン、作詞はスティーヴン・シュワルツ、脚本はピーター・パーネル、演出はスコット・シュワルツ、製作はディズニー・シアトリカル・プロダクションズが担当し、2014年にアメリカで初演[2]。 ●日本では、劇団四季公演として、2016年12月11日に初演[2]。作品論[編集]
●鹿島茂﹃大聖堂物語 ユゴー﹁ノートル=ダム・ド・パリ﹂﹄︵NHK出版、2019年8月︶ 元版は﹁100分de名著﹂2018年2月度 放送テキスト脚注[編集]
(一)^ ジョン・バクスター﹃二度目のパリ 歴史歩き﹄ディスカヴァー・トゥエンティワン、2013年、51頁。ISBN 978-4-7993-1314-5。
(二)^ ab“劇団四季がミュージカル﹁ノートルダムの鐘﹂上演!公開オーディションも実施”. ステージナタリー (2016年2月29日). 2016年2月29日閲覧。