万力
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万力︵まんりき︶とは、対象物を2つの口金の間に挟み固定する工具や機構。英語風にバイス (米国語圏 vise、英国語圏 vice) の名称でも呼ばれている。
概要[編集]
万力は材料︵素材︶の加工・成形などの作業の際にこれを強い力で挟み込んで固定するものである。当然ながら、素材の強度を超えて圧力を加えると破損してしまうため、適宜力加減される。 作業の種類は切削や研磨、切断、接着において接着剤が硬化するまでの固定、作業中に材料が動いてしまっては具合の悪いネジ留めやネジを外す等、各種作業に利用される。また、チャック装置のように工作機械に機械要素として組み込まれているものもある。 クランプと機構的には同じ部分があるが、クランプはそれ自身は何かに固定されることなく、複数の対象をまとめたり、対象を作業台などに一緒に挟み込んで固定するといった使い方を主にするものを指すのに対し、万力はそれ単体で作業台などに据え付けて、対象を単体で固定するものを主に指す︵そもそも文化圏の違いによる用語の違いでもあり、明確な区分があるものではないが︶。 後述するように様々な種類があり、形状や圧力や固定方法も様々である。種類[編集]
横万力 万力︵バイス︶といえば、横万力︵parallel bench vices︶の事をいう。作業台にボルトで取付けて使用する。工場には必ずと言ってよいほどあるバイスである。呼び寸法は、口金の長手方向寸法からとり、75, 100, 125, 150の4サイズがある。口金は、外す事が出来るので加工物に傷を付けない為に材質︵硬度︶の異なる口金に交換すると良い。通常は銅板かアルミニウム板をL型に曲げた物を口金に当てて加工物をはさむ事が多い。可動する口金側の胴部が、四角形になっているものをJISB4620﹁角胴形﹂[1]と言い円筒状になっているものをJISB4621﹁丸胴形﹂[2]と言う。丸胴形は、角胴形に比べ﹁ねじの精度﹂﹁口金の平行移動精度﹂が優れている。横万力は、メンテナンスとして摺動部の磨耗予防のため注油を一日一回行なう。 マシンバイス詳細は「プライヤ」を参照
シャコ万力
シャコ万力
バーコ形とC形があり、サイズは口幅でいう。通称シャコマンと呼ばれている。バーコ形はスウェーデンのバーコ社(BAHCO)が最初に出した形状タイプ品。C形の方が深いところまで使用でき、フレーム強度も強い。シャコ万力は、強度を必要とするため、本体が鍛造品で締付ねじは角ねじで出来ている。締め付けねじの先端部は自在首になっていて、少し斜めになっても挟めるようになっている。日本では万力の分類となるが、日本以外ではクランプの分類となっている[4]︵概要で前述したように、そもそも明確な区分があるものではない︶。
パイプ万力
パイプ加工専用のバイス、通称パイプバイスと呼ばれ水道・ガス配管業者が使用する。パイプを切断したり、パイプと継手をパイプレンチで締め付ける時に使用する。平行の口金では、パイプを固定する事は難しいため、パイプ専用の歯のあるV形状口金で上下よりパイプの4ヶ所に噛み込んでパイプが回転しないように保持する。作業台に取付けるタイプと最初から脚が付いているタイプ︵脚付パイプバイス︶がある。
テーブルバイス
机に取り付けてつかう万力のこと。机を傷つけないために当て木をつけたりする。簡易なものでは吸盤の働きをするゴム板で机に固定するものもある。