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人工岩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

人工岩(じんこういわ)は擬岩(ぎがん)とも称される、人工的に製作された岩壁岩塊のことである。 庭石のように単体かつ小規模に使われる場合は擬石(ぎせき)と呼ぶ場合が多い。

概要

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人工岩は主に、公園や遊戯施設などに野性味のある自然景観を持ち込む手段として多く用いられる。

景観演出として本物の石なり岩を用いる場合、それが大きくなればなるほど採取するのも運搬するのも大変な労力が必要となる。この手間を省くため、岩の表情がついたパネル状の部材を組み合わせて大きな岩塊としたり、盛ったモルタルにコテで岩目を造形したりする手法によって人為的・擬似的に岩を創出する。

逆に本物の岩塊を持ってきて積み上げても見た目は石垣にしかならないうえにそうした工事自体が困難を伴うため、大きな岩壁の表現などは人為的に造ったほうが、より容易に自然な空間を生み出すことができる。

使途

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昭和7年に恩賜上野動物園でサルの展示空間に人工的に造形した岩山(いわゆる「サル山」)を導入したのが最も初期の国内例。以後、各地の動物園のサル展示に同様のものが流行した。

近年は動物園がただの檻の集まりから行動展示型へと移行しているのに伴い、展示生物の生活環境を表現するために岩山を人工で造形したり、他展示との境界線をフェンスではなく自然な土塊に見せて目立たなくするといった活用が増えている。

東京ディズニーシーの中心に立つプロメテウス火山が人工岩の用例としては典型的であるが、軽度なものではゲームセンターの柱の装飾などにもこうしたものが見られる。

自然環境下

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防災設備としてのダムや砂防堰堤、河川のコンクリート護岸に対し、周辺景観とのマッチングを図る目的で人工岩によるある種のカムフラージュをしたり、名所景観の岩の侵食が進んだものを保護するためコンクリートで固めその表面をもともとの岩に似せたりといった用例がある。こうした激しい用途に用いる場合は、内部もコンクリートで充填し強度を高める。

インドアクライミング用の、人工的な手掛かりを設定した壁面も人工岩や擬岩と呼ぶことがある。これは見た目のリアルさは求められておらず、用途・機能的には上記と全く異なる。

素材

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人工岩は大きく、プラスチック系かセメント系に大別される。以下に挙げるような素材を、鉄骨や鉄筋、金網などによって内側から支えている。

プラスチック

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プラスチックの場合、多くはグラスファイバーを編み込んだFRP(繊維強化プラスチック))である。プラスチック系は比較的造形力に優れ、費用も安いものの、強度や耐候性に劣る面がある。室内に岩の装飾を施す場合は、その建物の荷重条件をクリアするためにできるだけ軽くする目的でプラスチック系にする場合が多い。叩くと、岩とは思えない軽い音がする。

セメント

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セメント系は耐久性に優れ、激しい使用環境下での利用にも耐えうる。なにより素材感が岩そのものに近似している。セメントの場合は、骨材を混ぜないモルタルから、グラスファイバーを編みこんだGRCや同じくカーボンファイバーによるCFRCなどまで多岐に渡る。場合によっては内部をコンクリートで充填し、叩いてもまったく空洞感のないものにすることができる。

造形手法

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岩らしさを表現する手段は2種類ある。

ハンドカービング

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人間の手による彫刻的な技によって作り出す方法で、主にセメント系素材の場合に用いられる。練った素材を対象部分に塗りつけ、コテで鋭角的なディテールを造り込んだり、逆に含水比の高いセメントを塗ることで有機的に侵食された岩肌を表現することができる。

パネル

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実物の岩から型を採取し、この型をもとに岩目を作る方法で、これはプラスチック系とセメント系どちらでも使われる。自然の岩から型を採れば簡単にリアルな岩を作れるというものでもなく、逆に自然の岩がどう成立しているかといった地学面をよく理解していなければ、複数の型を組み合わせたときに不自然さが目立つものとなってしまう。

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色は予め基本色を部材に織り込むほかは塗装による。塗装はそれを岩らしく見せる重要な工程のひとつであり、エイジングウェザリングなどさまざまな技法が用いられる。

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鹿

2010宿使

使 Vol.82-19974 Vol.81-8-199682131998

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(1933)使

 

 

 1978 

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関連項目

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