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この項目では、落語の演目について説明しています。日常用語の大安売りについては「廉売」をご覧ください。 |
大安売り︵おおやすうり︶は、上方落語の演目の一つ。
長らく埋もれていたのを、昭和40年代後半に長老の橘ノ圓都が若手に伝授したネタである。比較的軽い話でくすぐりも多く、上方では多くの演じ手がいる。桂三枝︵現・六代桂文枝︶も若いころは好んで演じており、その音源がレコード化された。現在では、三遊亭歌武蔵︵元力士︶が十八番としている。
なお、上方落語で相撲を題材とした演目は、ほかに﹁鍬潟﹂、﹁花筏﹂︵東京では﹁提灯屋相撲﹂︶、﹁相撲場風景﹂などがあり、今日でもよく演じられている。
あらすじ[編集]
近所の若い者が、向こうから通りかかってくる町内出身の関取﹁玉二つ﹂に声をかける。
﹁もし、関取。﹂
﹁これはこれは、町内の若い衆でごんすかい。﹂
﹁この前の場所はどないでした。﹂
﹁いやあ、勝ったり負けたりでごんす。﹂
﹁どや、ええ、なかなか言えるもんやないで。こんだけ勝ちましたなんて自慢せえへん。勝ったり負けたり。て、言うことが憎いなあ。こういうの贔屓にしたらなあかん。・・・で、初日はどないでした。﹂
と聞くが、全戦全敗である。
﹁せやけど、勝ったり負けたり言うたやないか。﹂
﹁いやあ。むこうが勝ったり、こちらが負けたりでごんす。﹂
﹁あ・・・そうか。﹂とあきれてしまう。
では次の場所はどうかと聞くと﹁全日土つかずで。﹂との返事。
﹁おい。えらいがな。こんどはしっかりみんな勝ちよったで。こういうの贔屓にしたらなあかん。﹂
﹁いやあ。休場していたのでごんす。﹂
﹁ンな。あほな。・・・あんたもう関取やめなはれ。﹂
﹁それも考えたのでごんすが、親方に聞くと、お前に今やめられたら困る。お前おらなんだら誰がちゃんこ鍋作るんじゃいときつうとめられました。﹂
﹁あ、料理番でかいな。もう情けないなあ。﹂
﹁はい。私もこのままではいかんと思い、親方の勧めで、心機一転、シコ名を改めるでごんす。﹂
﹁それがええわ。で、どんなシコ名にしたんでっか。﹂
﹁はい。親方も色々考えてくれまして、今場所から﹃大安売り﹄というシコ名にしたでごんす。﹂
﹁何じゃケッタイな名やなあ。﹃大安売り﹄て。何でまたそないない名にしたんでっか。﹂
﹁これからは誰にでも気前よう負けてあげます。﹂