小絞りボケ
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小絞りボケ︵こしぼりボケ︶とは、写真撮影においてカメラの絞りを絞れば絞るほど、光の回折により、画質の鮮明さが失われ、全体にぼけた画像になる現象。単に回折現象と呼ぶことも多い。フィルムカメラでもデジタルカメラでも起こる現象であるが、撮像素子の小さいデジタルカメラ︵特にコンパクトデジタルカメラ︶では問題が顕著となる。
写真1 画像の全体像 F2.8
小絞りボケの実態を示すために、同じ木彫りの人形を同じカメラ、同じレンズ︵焦点距離90ミリの固定焦点レンズ︶で、三脚を用いて被写体との距離、アングルを固定し、露出が変化しないように絞りを変化させて撮影した︵露出値が変化しないよう、シャッター速度は変化させている︶。
写真1は絞りF2.8で撮影した写真の全体像である。なお、肩の部分などがぼけているのは、﹁小絞りボケ﹂ではなく被写界深度が浅いことが原因である。カメラはAPS-Cサイズのデジタル一眼レフである。[1]
写真2 F2.8におけるボケ
小さい画像ではボケの実態が表現できないので、写真1を等倍にまで拡大して、口の周辺をトリミングしたのが写真2である。被写界深度は浅いが、ピントのあっている部分は非常に鮮明かつシャープに写っている。
写真3 F11における小絞りボケ
写真3はF11における同じ部分のトリミングである。F2.8に比べると若干不鮮明である。
写真4 F32における小絞りボケ
写真4はF32における同じ部分のトリミングである。F11に比べさらに不鮮明になっている。このように実際の写真を拡大して比較してみると、小絞りボケの存在が明らかに現れてくる。