市村九郎右衛門
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市村 九郞右衞門︵いちむら くろうえもん、新字体‥九郎右衛門︶は、歌舞伎役者の名跡。
かつては市村羽左衛門や市村竹之丞・市村竹松などとともに、江戸三座の一つ市村座の座元︵座を主宰し芝居小屋を経営する者︶が襲名する名跡だった。
●初代 市村九郎右衛門
●市村座の前身村山座の座元・村田九郎右衛門、1622–52。初代座元・村山又三郎の女婿で、承応元年 (1652) に座元を継ぐが、すぐにその興行権を市村宇左衛門に売却、その後間もなく死去した。後代市村座では、歴代の座元にこの村山座の座元だった村山又三郎と村田九郎右衛門を加え、これに初代と二代目の﹁市村宇左衛門﹂を追贈した︵市村宇左衛門本人は三代目とした︶。このため﹁村田九郎右衛門﹂には市村姓を冠して﹁初代市村九郎右衛門﹂とみなすようにもなった。
●村田九郎右衛門︵=贈二代目市村宇左衛門 =初代市村九郎右衛門︶
●二代目 市村九郎右衛門
●十二代目市村羽左衛門の子、1844–1903。母は三代目尾上菊五郎の次女。市村羽左衛門として市村座の座元を継承した後、こんどは母方の大名跡を継承。五代目尾上菊五郎として九代目市川團十郎・初代市川左團次とともにいわゆる團菊左の黄金時代を築いた。こうして五代目菊五郎が不世出の大役者となると、その初名だった﹁市村九郎右衛門﹂に今度は尾上姓を冠して﹁初代尾上九郎右衛門﹂とみなすようにもなった。
●二代目市村九郎右衛門︵初代尾上九郎右衛門︶→ 十三代目市村羽左衛門 → 八代目市村家橘 → 五代目尾上菊五郎