教訓抄
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概要
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﹁歌舞口伝﹂5巻と﹁伶楽口伝﹂5巻を合わせた10巻より構成され、雅楽の口伝を体系的に集成する。治承・寿永の乱、承久の乱を経て、公家社会から武家社会に変容する激動の時代の中、雅楽の口伝の絶えることを憂い、後世に伝えることを企図した近真によって起筆され、1233年︵天福元年︶に成立した。後世の雅楽の模範となる書物となり、後、本書を基に近真の孫狛朝葛によって﹁続教訓抄﹂が著された他、﹁體源抄﹂などの楽書にも影響を与え、総合的な楽書の先駆となった。高野辰之蔵本、東京音楽学校蔵旧阿波国文庫本、東北大学蔵本などを土台に、山田孝雄が校合したものが﹁日本古典全集﹂2巻に収録され、﹁続群書類従﹂に翻刻されている他、内閣文庫蔵本、神田喜一郎旧蔵本を底本とした翻刻が﹁日本思想大系﹂に収録される。
各巻の構成
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1巻から3巻までは、左舞の楽家である狛家に伝承された舞曲の作法、由来、関連するエピソードが記述される。4巻﹁他家相伝舞曲物語﹂は文字通り他家に伝承する舞曲に言及し、伎楽の指針についても記述する。
﹁高麗曲物語﹂という題目の5巻は、右舞に関する記述が中心。左舞の家である狛家にとって右舞は専門外だが、右舞の作法、由来、装束に関する豊富な記述が緻密に綴られている。6巻﹁無舞曲楽物語﹂は管弦の楽曲に関する解説で、六調子に分割される。
7巻﹁舞曲源物語﹂は、一区切りごとの所作を表した﹁舞曲名目﹂、舞台への登壇方法、番舞など、実演に関する記述が中心となる。8巻﹁管弦物語﹂、9巻﹁打物部口伝物語﹂、10巻﹁打物案譜法﹂は、楽器についての口伝、故事や演奏法を記す。