新津油田
新津油田（にいつゆでん）は新潟県新津市（市町村合併により現在は新潟市秋葉区）に存在した油田である。丘陵地帯を中心に、江戸時代以前から平成にかけて採掘が行われていた。
概要
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明治時代後期から大正時代にかけて、日本一の産油量を誇った油田である[3]。当初は手掘りであったが、のちに上総掘り、綱掘式、ロータリー式掘削などが導入され、2,000坑を超える坑井が掘削された[4]。
金津鉱場を中心に、朝日・塩谷、矢代田、小口など新津丘陵の様々な場所で採掘が行われていた[5]。
麓の能代川︵現・新津川︶沿いや信濃川下流の関屋︵新潟市中央区︶には製油所が多く建てられ、船で原油が運ばれていた[5][6]。また、金津鉱区から信濃川の船着き場までは後にパイプラインが敷設された[6]。
現代においても油やガスが湧いている箇所があるほか[5][7]、民家の敷地で石油を含む泥水が噴出し被害が発生することがある[8][9]。
歴史
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●江戸時代以前‥表層付近ににじみ出る原油の採取が行われる。
●1874年‥地域の庄屋であった中野家が政府に採掘を出願[10]。翌年、認められて開坑する。後に日本石油︵現在のENEOS︶も参入。
●明治時代末期‥殖産興業の進展に伴う消費量の増加により、中・小の採掘企業及び個人の採掘場が100前後に達する。
●1912年‥日本石油がロータリー鑿井に成功し、新津油田にも導入される[11]。この前後から採掘の機械化が進む。
●1917年‥年産12万キロリットルを達成。産油量日本一となる[10]。
●1980年代‥組織的な採掘がほぼ終了。
●1996年‥最後の井戸の採掘が終了[12]。
●2007年5月‥日本の地質百選に選定[10]。
●2018年10月‥新津油田金津鉱場跡が国の史跡に指定[13]。
石油の里公園
[編集] 石油の世界館Petroleum Museum | |
|---|---|
 石油の世界館（2019年5月） | |
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| 施設情報 | |
| 事業主体 | 新潟市 |
| 管理運営 | NKSコーポレーション（指定管理者）[14] |
| 開館 | 1988年[14] |
| 所在地 |
〒956-0845 日本新潟県新潟市秋葉区金津1172番地1[14] |
| 位置 | 北緯37度45分0秒 東経139度6分49秒 / 北緯37.75000度 東経139.11361度 |
| 最寄バス停 |
泉観光バス金津線「金津」バス停 区バス「金津・石油の里」バス停 |
| 外部リンク | 石油の世界館 公式ウェブサイト |
| プロジェクト:GLAM | |
油井のある一帯は1980年代から﹁石油の里公園﹂として整備されており[12][15]、1988年︵昭和63年︶には﹁石油の世界館﹂が[16]、1991年︵平成3年︶には﹁石油の古代館﹂[17]がそれぞれオープンした。また、石油王として隆盛を極めた中野家の屋敷も整備され﹁中野邸記念館﹂となった。石油の世界館は、2019年に石油文化発信の姿勢に感銘を受けたサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの日本法人︵アラムコ・アジア・ジャパン︶から寄付を受けて改修が行われ、2020年にリニューアルオープンした[18][19][20]。
一帯には展示用も含め数基の石油櫓が現存するほか、ポンピングパワーなど石油産業に関連する施設が多く残っている[12]。また、周辺の地層からはオイルサンドを見いだすことができる。
菩提寺山をはじめとした新津丘陵の散策路の玄関口のひとつとなっており、﹁里山ビジターセンター﹂が園内に設置されている。
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C3号井（綱式機械掘り石油井戸）とポンピング装置の遺構 -
集油タンクの遺構 -
泥溜（濾過池）の遺構
その他
[編集]脚注
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(一)^ ﹁歴史の重みズッシリと 市指定文化財はただいま9件﹂︵PDF︶﹃広報にいつ﹄第458号、新津市、1982年1月15日、2-3頁。
(二)^ “史跡‥煮坪︵にえつぼ︶︵市指定文化財︶”. 新潟市秋葉区役所 (2012年6月1日). 2019年5月6日閲覧。
(三)^ “日本一の産油量を誇った旧新津の﹁石油の世界館﹂と﹁石油の里﹂”. にいがた経済新聞. (2017年8月27日)
(四)^ 加藤進、秋葉文雄、平松力、岩野英樹﹁新潟県新津丘陵における金津層の珪藻化石と地質年代﹂﹃瑞浪市化石博物館研究報告﹄第35巻、2009年2月、111-125頁。
(五)^ abc“みりょくノート コミぶら散歩”. 新潟市秋葉区. 2021年9月4日閲覧。
(六)^ ab﹁みなとまち新潟 歴史探訪31明治・大正時代の新津油田と原油輸送﹂︵PDF︶﹃市報にいがた﹄第2714号、新潟市、2020年3月1日、5頁。
(七)^ “新津川パンフレット 中開き”. 新潟県新潟地域振興局 新津地域整備部. 2021年9月4日閲覧。
(八)^ “止まらぬ石油に住民悲鳴、新潟・旧油田跡﹁手作業もう限界﹂”. 日本経済新聞. (2013年8月17日)
(九)^ “国際帝石、新潟市の石油噴出にトラブル解消支援”. 日本経済新聞. (2013年8月22日)
(十)^ abc“新津油田”. 新潟市秋葉区役所 (2012年6月1日). 2019年5月6日閲覧。
(11)^ 下川耿史 ﹃環境史年表 明治・大正編(1868-1926)﹄289頁 河出書房新社刊 2003年11月30日刊 全国書誌番号:20522067
(12)^ abc“石油の里に残る産業遺産”. 新潟市秋葉区役所 (2018年6月18日). 2019年5月6日閲覧。
(13)^ 新津油田金津鉱場跡 - 国指定文化財等データベース︵文化庁︶
(14)^ abc“石油の世界館 トップページ”. 石油の世界館. 2019年5月6日閲覧。
(15)^ ﹃広報にいつ﹄第524号 1984年10月15日 pp.2-3 ﹁石油の里﹂構想 新津市
(16)^ ﹃広報にいつ﹄第616号 1988年8月15日 pp.1-3 石油の世界館がオープン 新津市
(17)^ ﹃広報にいつ﹄第683号 1991年6月1日 p.2 石油の古代館が6月9日オープン 新津市
(18)^ “石油文化発信に感銘2千万円寄付 サウジ企業の日本法人が新潟市に”. 新潟日報. (2019年6月27日). オリジナルの2020年5月19日時点におけるアーカイブ。
(19)^ “映像充実してリニューアル 秋葉・石油の世界館で内覧会”. 新潟日報. (2020年10月23日)
(20)^ “アラムコ・アジア・ジャパン、﹁石油の世界館﹂リニューアルオープンを祝福”. アラムコ・ジャパン (2020年11月12日). 2021年12月5日閲覧。
(21)^ “新津温泉”. 新潟県観光協会. 2021年9月4日閲覧。
関連項目
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外部リンク
[編集]- 石油の里 - 新潟市秋葉区
- 石油の世界館 公式ウェブサイト
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