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旭川市国保料訴訟

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
最高裁判所判例
事件名 国民健康保険料賦課処分取消等請求事件
事件番号 平成12年(行ツ)第62号、同年(行ヒ)第66号
2006年(平成18年)3月1日
判例集 民集60巻2号587頁
裁判要旨
国民健康保険料の保険料率について、具体的に条例で定めずこれを告示に委任しても、憲法84条の趣旨に違反しないとされた事例
大法廷
裁判長 町田顯 
陪席裁判官 濱田邦夫 横尾和子 上田豊三 滝井繁男 藤田宙靖 甲斐中辰夫 泉德治 島田仁郎 才口千晴 津野修 今井功 中川了滋 堀籠幸男 古田佑紀
意見
多数意見 全員一致
意見 なし
反対意見 なし
参照法条
憲法84条、14条、25条など
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688425141831退

法令の定め

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旭川市国民健康保険条例(本件条例)における保険料率の定め方は、具体的な保険料率の定めは市長の告示に委任されていて、具体的な保険料率は条例においては規定されておらず、その代わり保険料率の算定方法を定めるのみであった。

事件の経緯

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被告である旭川市は平成6年7月14日、原告である杉尾正明に対し平成6年度分の国民健康保険料納付通知書を送付した。原告は、平成6年8月、自らの平成5年の収入は生活保護基準以下の収入であったことを理由に平成6年分の保険料の減免を申請したが、同月10日付で非該当の通知がされた。原告は、その後不服申立て手続等を経て、旭川地方裁判所に対し、平成6年度分から平成8年度分の保険料の賦課処分の取消しを主位的に求めるとともに、保険料の減免非該当処分の取消しを予備的に求めた。第1審(森邦明裁判長)は、本件条例は憲法92条及び84条に違反するとして賦課処分を取消したが、控訴審の札幌高等裁判所(濱崎浩一裁判長)は、租税法律主義を定めた憲法84条が国民健康保険料には直接適用されず、その趣旨にも反せず、また、減免非該当処分も憲法25条に違反しないとして、原告の請求を退けた(平成7年度分については不服申立てを経ていないとして訴えを却下)。

これに対し、原告が最高裁に上告及び上告受理申立てを行い、平成18年3月1日最高裁大法廷が以下のような判決を言い渡した。

判旨(最高裁平成12年(行ツ)第62号、同年(行ヒ)第66号平成18年3月1日大法廷判決)

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全員一致。上告棄却。

租税条例主義の適用について

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憲法25条違反の主張について

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  • 国民健康保険法は恒常的に生活が困窮している状態にある者を生活保護法による医療扶助等の保護を予定しているなどの事情の下で本件条例が恒常的に生活が困窮している状態にある者を保険料の減免の対象としていないことは、著しく合理性を欠くということができず、経済的弱者について合理的な理由なく差別をしたものということができないから、憲法25条、14条に違反しない。

個別意見

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関連項目

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外部リンク

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