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練馬事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
最高裁判所判例
事件名 傷害致死、暴行、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、窃盜被告事件
事件番号 昭和29年(あ)1056
1958年(昭和33年)5月28日
判例集 刑集12巻8号1718頁
裁判要旨
  1. いわゆる共謀共同正犯が成立するには、二人以上の者が特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となつて互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よつて犯罪を実行した事実が存しなければならない。
  2. いわゆる共謀共同正犯成立に必要な共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行つたという意味において、共同正犯の刑責を負うもので、かく解することは憲法第31条に違反しない。
  3. 「共謀」または「謀議」は、共謀共同正犯における「罪となるべき事実」にほかならず、これを認めるためには厳格な証明によらなければならない。
  4. 共謀の判示は、謀議の行われた日時、場所またはその内容の詳細、すなわち実行の方法、各人の行為の分担役割等についてまで、いちいち具体的に判示することを要しない。
  5. 憲法第38条2項は、強制、拷問若しくは脅迫による自白または不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白の証拠能力を否定したものである。
  6. 憲法第38条3項の規定は、被告人本人の自白の証拠能力を否定または制限したものではなく、かかる自白の証明力(証拠価値)に対する自由心証を制限し、被告人本人を処罰するには、さらにその自由の証明力を補充しまたは強化すべき他の証拠(いわゆる補強証拠)を要することを規定したものである。
  7. 共同審理を受けていない単なる共犯者は勿論、共同審理を受けている共犯者(共同被告人)であつても、被告人本人との関係においては、被告人以外の者であつて、かかる共犯者または共同被告人の犯罪事実に関する供述は、憲法第38条2項とごとき証拠能力を有しないものでない限り、独立、完全な証明力を有し、憲法第38条3項にいわゆる「本人の自白」と同一視し、またはこれに準ずるものではない。
  8. 同一の犯罪について、数人の間の順次共謀が行われた場合は、これらの者のすべての間に当該犯行の共謀が行われたものと解するを相当とし、数人の間に共謀共同正犯が成立するためには、その数人が同一場所に会し、その数人の間に一個の共謀の成立することを必要とするものではない。
大法廷
裁判長 田中耕太郎
陪席裁判官 真野毅 小谷勝重 島保 齋藤悠輔 藤田八郎 河村又介 小林俊三 入江俊郎 池田克 垂水克己 河村大助 下飯坂潤夫 奥野健一 高橋潔
意見
多数意見 田中耕太郎 島保 斉藤悠輔 河村又介 入江俊郎 池田克 垂水克己 下飯坂潤夫 高橋潔
意見 なし
反対意見 真野毅 小谷勝重 藤田八郎 小林俊三 河村大助 奥野健一(4~6の論点について)
参照法条
憲法38条2項、3項、刑法60条、刑訴法319条2項
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19531226退[1]

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[1]

脚注[編集]

注釈[編集]



(一)^ 

(二)^ II[1]

(三)^ [1]

(四)^ [1]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 田中, 佐藤 & 野村 1980, pp. 67–82.
  2. ^ a b c d 警備用語辞典 2009, p. 34.

参考文献[編集]

  • 『警視庁史(第4)』(警視庁史編さん委員会編 1978年)
  • 田中二郎; 佐藤功; 野村二郎 編『『戦後政治裁判史録2』(、1980年)』第一法規出版、1980年。 
  • 『戦後ニッポン犯罪史』(礫川全次 1995年)
  • 『日本共産党の戦後秘史』(兵本達吉 2005年)
  • 『新 警備用語辞典』立花書房、2009年9月1日。ISBN 9784803713022 

関連項目[編集]