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船舶工学

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naval architecturenaval engineering


概要

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速度

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knot:kn

1111,852mNautical Mile:nm111,609m116011使204km360x601,852m



15-20%80-85%

馬力

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使Watt使21使使






1PS = 735.5 watt





1HP = 745.7 watt

使使

Nominal Horse Power, NHP



Indicated Horse Power, IHP



Brake Horse Power, BHP



Shaft Horse Power, SHP



使使

エンジン

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使使使



2



   ×  ÷ 75

2

ディーゼルエンジン

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使



1. 2. 3. 4. 5.AC 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12.-14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21.



30024

11

100-300使3,00075-1101,000150-180





300-1,000380-600411

RORO



使1,000-2,000使使4

ユニフロー掃気方式のディーゼルエンジン
ターボ過給器によって加圧された空気はシリンダー下部の吸気ポートから押し込まれ、排ガスは上部のポペット・バルブから出てゆく。
船舶用ディーゼルエンジンでも2サイクルのもののほとんどは、排気用のポペット・バルブをシリンダーの上に持ち、掃気を一方向にして掃気性能を高めた「ユニフロー掃気方式」をとっている。 排気用ポペット・バルブの駆動は一般に油圧空気ばねが使われている。

低速回転域での効率を優先しているため、ピストンはストロークとボアの比率が3前後の超ロングストロークになっている。

長いストロークをそのままクランクで受けずに、ピストンとコンロッドの中間に側圧を受け止める潤滑部のあるクロスヘッド機構を持ち、コンロッドの長さを抑えている。 超ロング・ストロークのピストン・シリンダーとクロスヘッド機構のためにエンジンの背は高くなる。

船体の大型化と推進力の大出力化を阻むもの

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2190cm3m12


ガスタービンエンジン

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小型軽量で比較的大出力が得られるガスタービンエンジンは艦船や高速客船や高速カーフェリーなどで使用される。

ディーゼルエンジンのような大きな振動も発生せず、使用燃料の灯油は大型ディーゼルエンジンの重油と異なり比較的良質なため、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)といった有害な排気ガスは少なくて良いが、燃費は悪くなり、エンジンそのものとメンテナンスのコストがディーゼルエンジンに比べて高い。ガスタービンエンジンには航空機用のものと陸上での発電などで使う産業用のものがあるが、船舶に使われるものは航空機用エンジンの転用品がほとんどである。 ガスタービン・エンジンは陸揚げしての整備が可能なように取り付けられている[1]

焼玉エンジン

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従来漁船に多く用いられた焼玉エンジン(Semi-diesel engine)はディーゼル・エンジンに代わった[2]

蒸気ピストン・エンジン

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蒸気ピストン・エンジン(Steam reciprocate engine)を使用する船は21世紀の現在、全くない[2]

蒸気タービン・エンジン

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21LNG使LNG 使

機関補機

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低速回転ディーゼル・エンジンの補機

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(沿Fuel Oil Tank)
Fuel Oil Transfer Pump

調使

Fuel Oil Settling Tank



Purifier

C130-135使A

Fuel Oil Service Tank



Fuel Oil Booster Pump



(Fuel Injection Pump




Turbo charger

使

Intercooler





使













300400使































その他の補機

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Auxiliary Boiler

Scotch BoilerDry conbustion Boiler使15






使







調




使

Distilling Plant100700mmHg



Generator, Dynamo engine

[3][4]

推進器

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20使

スクリュー・プロペラ

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スクリュー・プロペラ(screw propeller)は最も一般的な形式の推進器である。

固定ピッチと可変ピッチ

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調Pitch



Controllable Pitch Propeller




プロペラの回転によって生み出される水流そのものの回転運動によって、プロペラが生み出すエネルギーの3分の1が推進力に寄与せずに失われる。二重反転プロペラ(Contra Rotating Propeller, CRP)では、前のプロペラで生じる回転水流とは逆方向に回転する後ろのプロペラによって受け止めることで、後ろのプロペラの回転力に加えて前からの水の回転力も推進力に転化できるため、一重プロペラに比べてエネルギーの無駄が少なくなる。

25万トン級のVLCCタンカーに採用された例では、約15%ものエネルギー効率の改善が報告されている。

ノズル・プロペラ

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ノズル・プロペラの一種であるコルト・ノズル

使

1934Kort nozzle30-45%[5]

ポッド推進

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360調使
DCBAAB

Z

T



AZIPODAzimuthing Electric Propulsion Drive200422360'04

ポッド推進の利点

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使使180Double Acting[2]

シュナイダー・プロペラ

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24-6使21

ウォータージェット推進

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ウォータージェット。2つの噴射方向を組み合わせれば前進、後退、横移動、その場旋回が行なえる。

ウォータージェット推進は船底から水を取り込み、導入流路を絞り幾分加圧された環境下でプロペラによって高圧にして吐出ノズルから後方に噴き出すしくみである。ノズルを可変にすると舵の機能を持たせられ、前方へのリバースドア(後進バスケット)を備えれば逆進も可能になる。

通常のプロペラ推進ではキャビテーションの発生による高速回転域での制限があるが、この方式では流路を狭めることで40-50ノットでの高速航行時にも高回転・高圧力が維持できる。高速船での使用だけでなく、岩場でスクリューを傷めたり魚網を巻き込んだりしないため浅瀬や河川を航行する船にも使われる。沿岸警備において不審船や密漁船が故意にロープ漁網を絡ませ進行を妨害することを防止可能であることから採用されることもある。

外輪(外車)

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使12

1845438002002.5

アルキメディアン・スクリュー

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使4[6]

推進軸の周辺

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1使

1

使使

1123232112

腐蝕対策

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アルミは鋼鉄に比べて腐蝕を起こしにくいため、水に浸かり続ける船体には適した金属であるが、長い時間の経過と共に少しずつ腐蝕は進行するため、やはり塗装は必要となる。

異種金属腐蝕

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使Anode

快適性

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減揺装置

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ビルジキール
小型船を除くほとんどの船では、ローリング(Rolling)を抑制して安定した航走の為に「ビルジキール」(Bilge Keel)と呼ばれるフィンが船体の2/3程の長さに渡って船底の両側面の角に取り付けられている。
フィン・スタビライザー
Fin Stabilizer
アンチローリング・タンク
21
船の重心から離せば効果が増すため比較的高い位置に置かれることが多いがそれだけ重心が高くなる。船の排水量の2-3%程度の水による重量も増し、場所も占めるために客船以外で使用されることはあまりない。
可動質量型減揺装置
可動質量型減揺装置では金属のかたまりのような重りをモーターの力で左右に動かすことでローリングを抑制する装置であり、減揺水槽での効果を最適にするようコントロールできるとされているが、まだ装備している船はない。
アンチピッチング・スタビライザー
PitchingHeaving
[1]

サイドスラスター

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バウスラスター





33使5使

振動対策

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使



11


燃費向上・コスト削減

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エンジン

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大まかに言えばディーゼル・エンジンの出力はシリンダー内の体積に比例するが、低速で航海する船体が受ける抵抗は水と接する表面積に比例する。このため、3乗の出力効率と2乗の抵抗成分によって船の大型化が輸送効率という意味での燃費効率の向上につながる。

船舶用のディーゼル・エンジンは長ストローク化や低回転化、排気タービン過給器やインタークーラーの装備によって大きく燃費が向上した。また、ディーゼル・エンジンで電子制御システムを採用して、燃料噴射と排気弁の制御タイミングを最適化することで、燃費を向上しながらNOx排出量を抑制している[1]

プロペラ

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12[1]

高速化

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排水量型船体の高速化は造波抵抗と粘性圧力抵抗の急速な増大化を招き、摩擦抵抗も比例して増大するが、ウェーブ・ピアーサーのような船型によって大きな抵抗の増大が避けられ、高速を生かして1隻で2隻分の働きを行なえるなら人件費や燃料費、船体購入費やメンテナンス費などの総合的なコストを勘案すれば必ずしも割高とは限らないといえる。

ただ、東京⇔小笠原航路に就役予定で東京都が三井造船に求めた高速船「スーパーライナーオガサワラ」号の事例では、14,500総トンの船体で最高速度39knを実現したものの、定員740人で運べる貨物はたった210トンであり、しかも往復で700トン以上の燃料を消費することから、計画は白紙に戻されて完成した船体の使い道がなくなってしまう事態となった。 このように、高速船を長距離航路で運用することはコスト的に引き合わない可能性が高い。

関連項目

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脚注

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  1. ^ a b c d 池田良穂著 「図解雑学 船のしくみ」 ナツメ社 2006年5月10日初版発行 ISBN 4-8163-4090-4
  2. ^ a b c 野沢和夫著 「船 この巨大で力強い輸送システム」 大阪大学出版会 2006年9月10日初版第一刷発行 ISBN 4-87259-155-0
  3. ^ 池田宗雄著 「船舶知識のABC」 成山堂書店 第2版 ISBN 4-425-91040-0
  4. ^ 檜垣和夫著 「エンジンのABC」 ブルーバックス 講談社 1998年3月20日第6刷発行 ISBN 4-06-257129-3
  5. ^ 野沢和夫著 「氷海工学」 成山堂書店 2006年3月28日初版発行 ISBN 4-425-71351-6
  6. ^ 拓海広志著 「船と海運のはなし」 成山堂書店 平成19年11月8日改訂増補版発行 ISBN 978-4-425-911226

参考文献

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外部リンク

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