頭部移植
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頭部移植手術を試みた例は、古くからある。最古の記録は1908年5月21日に残っており、この頃にアメリカの生理学者であるチャールズ・クロード・ガスリーによる犬の頭部移植が成功している[1]。1950年代のソ連︵現在ロシア︶では、軍医のウラジミール・デメカーが犬での頭部移植実験を行ったが、激しい拒絶反応を起こして死亡した[2]。
サイエンスライターの金子隆一は著書﹁新世紀未来科学﹂︵2001年刊︶で﹁密かに伝えられるところによれば、イスラエルではすでに何度か、死刑囚を使ったヒトの首のすげかえ実験が行われ、ある程度生存させることにも成功しているという﹂と書いているが[3]︵80ページ︶、イスラエルでは通常犯罪に対する死刑は廃止され、同国建国以来死刑判決が下され、執行されたのはアドルフ・アイヒマンのみである。
2000年代以降では、イタリアの医師であるセルジオ・カナヴェーロが技術のけん引を行っている。カナヴェーロ医師は、2016年にサルの頭部移植を成功させ、2017年にはラットの手術も成功し、術後にラットが歩く映像も公開され、同年11月にはカナヴェーロと協力者の中国ハルビン医科大学教授任暁平は二体の脳死した遺体を用いて世界初の頭部移植を行ったと発表した[4]。2018年には、カナヴェーロらは生きた人間の頭部移植を中国で実施する計画を発表し、被験者は脊髄性筋萎縮症を患っており、車椅子生活が余儀なくされているロシア人のバレリー・スピリドノフとされた[5]。しかし、スピリドノフは申し入れを撤回したことで計画は中止された[6]。
移植技術の他、人体から取り出した脳を生存させる研究も行われている[7]。
脚注[編集]
(一)^ Anna Claybourne, What Are the Limits of Organ Transplants?
(二)^ Pace, Eric (November 25, 1998). “Vladimir P. Demikhov, 82, Pioneer in Transplants, Dies”. New York Times.
(三)^ Shinseiki mirai kagaku.. Ryuichi Kaneko, 隆一 金子. 八幡書店. (2001.2). ISBN 4-89350-395-2. OCLC 675922205
(四)^ Sharon Kirkey (17 November 2017). "World's first human head transplant successfully performed on a corpse, scientists say". National Post. 2019年1月27日閲覧。
(五)^ “世界初の頭部移植は年明けに中国で実施予定”. ニューズウィーク (2017年9月21日). 2019年1月27日閲覧。
(六)^ “﹁頭部移植﹂手術計画中止のワケ 不老不死の夢﹁ヘブン計画﹂どうなる”. 東スポ (2019年1月19日). 2019年1月27日閲覧。
(七)^ Louth, Emma Louise; Jørgensen, Rasmus Langelund; Korshoej, Anders Rosendal; Sørensen, Jens Christian Hedemann; Capogna, Marco (2021). “Dopaminergic Neuromodulation of Spike Timing Dependent Plasticity in Mature Adult Rodent and Human Cortical Neurons”. Frontiers in Cellular Neuroscience 15: 135. doi:10.3389/fncel.2021.668980. ISSN 1662-5102.