高駢

高駢︵コウベン、コウヘン、字は千里、821 - 887年9月︶は幽州出身。元和初の功臣南平郡王に封じられた高崇文︵中国語版︶ の孫で、代々禁衛に仕えた家柄の出で、若い時から文芸に秀で儒者たちと交遊し理・道を語りあった。 憲宗皇帝時代の名將として知られる。

また晩唐の詩人として﹃山亭夏日﹄などの作品で知られる。

略歴

高駢の伝記を含む文献は、正史﹃旧唐書︵945年成立︶﹄﹃新唐書︵1060年成立︶﹄、﹃旧五代史﹄︵974年成立︶、﹃資治通鑑﹄︵1084年完成︶、﹃唐詩紀事﹄などがある。

●841年︵会昌元年︶高駢は21歳のとき禁衛配属となる。

●848年︵大中2年︶28歳のとき霊武節度使朱叔明の司馬となる。1本の矢で雕︵おおわし︶2羽を射止めたという逸話から落鵰侍御と号した。

●851年︵同5年︶右神策軍︵中国語版︶の都虞候︵中国語版︶になり、慶州に赴任。左右両軍中の貴人として翕然と名声を重ね、さらにこれらを縻ぐ勇爵の歴をかさねた。

●859年︵同13年︶8月、宣宗崩御。長安に召還される。新皇帝懿宗即位。

●860年︵咸通元年︶春、西蕃︵黨項羌︶が辺境を侵したとき、秦州に移され、秦州刺史と本州経略使に任命され，禁兵一万人を令率し長武を城と成した。当時、諸武将が黨項羌の防衛に失敗していたが、高駢のみが隙をうかがい、怯むことなく兵を用い功を上げ、懿宗は之を深く嘉んだ。

●864年︵同5年︶7月、安南都護安南経略招討使に任命される。

●866年︵同7年︶11月、静海軍節度使に改為となる。

●868年︵同9年︶8月、長安に召還され、右金吾大将軍に任命される。数月後、天平軍節度使︵鄆州︶に任命される。

●873年︵同14年︶7月、懿宗崩御。宦官らの謀略で五男の僖宗が即位する。

●874年︵乾符元年︶4月、 検校司空を恩賜される。同年、西川節度使に任命され都尹に成る。都築羅城に成る。

●875年︵同2年︶5月、塩賊︵塩密売人︶の王仙芝、濮州で挙兵。6月、同業の黄巣が呼応して黄巣の乱︵中国語版︶が発生。

●878年︵同5年︶この年、荊南節度使︵中国語版︶、塩鉄転運使に任命される。

●879年︵同6年︶1月、王仙芝、黄巣軍を撃破、敵将畢師鐸︵中国語版︶等を降伏させる。10月、淮南節度使に転任する。この頃から高駢は邪悪で愚昧な道士の呂用之︵中国語版︶を重用するようになった。

●880年︵広明元年︶11月、朝廷は朱玫︵中国語版︶らに黄巣を打つよう命じたが、黄巣は12月、長安に入り皇位を簒奪した。

●881年︵中和元年︶1月、僖宗は長安を脱出、成都へ。

●884年︵同4年︶7月、朱全忠の功により黄巣は自刃。

●885年︵光啓元年︶10月、混乱に乗じて朱玫が襄王李熅︵中国語版︶を皇帝に擁立したが、12月伏誅。

●886年︵同2年︶呂用之に唆され高駢偽朝に与し、中書令を授けられる。

●887年︵同3年︶3月、高駢麾下の畢師鐸等により高駢は幽閉される。9月、被殺。