鴎座
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﹃鷗座﹄︵かもめざ︶は、加藤楸邨門下、古沢太穂師系の月刊俳句雑誌。太穂の死を発端とした2001年の﹃道標﹄分裂を契機に松田ひろむが創刊。ここでは母体となった﹃道標﹄と、その前身となった﹃沙羅﹄や戦中についても併せて取り上げる。
歴史
[編集]戦中
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1942年、加藤楸邨の﹃寒雷﹄同人、古沢太穂が太平洋戦争の最中、横浜在住の﹁寒雷﹂、﹁馬酔木﹂、﹁鶴﹂、﹁暖流﹂の句友と始めた雑誌﹃藤﹄が源流である[1]。1943年、﹃藤﹄は戦時下の言論統制の厳しさと紙不足から13冊で終刊、﹃椎﹄と改題、手書きの回覧雑誌とした[2]。﹃椎﹄の通巻は不明だが、現存資料で1949年3月号までが確認できる[3]。
沙羅
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1947年、太穂と同じ﹁寒雷﹂の楸邨門下、赤城さかえと、戦後の新たな社会性俳句運動を目指し﹃沙羅﹄を創刊[4]。各地のサナトリウムにおける﹁療養所俳句﹂やプロレタリアートによる﹁職場俳句﹂、飛鳥田一雄の﹁地域文化会﹂を中心に集まった[4]。また広く原稿を募り、石田波郷、大野林火、三谷昭、加藤楸邨、石橋辰之助らが執筆している[5]。しかし赤城さかえ自身の結核が悪化したこと、1950年の﹁レッドパージ﹂を契機に[6]、古沢太穂は﹃沙羅﹄とは別に、自身が組織した神奈川県職場俳句協議会の機関誌﹃俳句サークル﹄を母体として翌年、﹃道標﹄を創刊させる[6]。
道標
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1951年、﹃道標﹄創刊とともに療養所俳句や職場俳句を詠んでいた若者たち、板垣好樹、岩間清志、望月たけし、松田ひろむ、敷地あきら、石塚真樹らが参加[7]。
また自由律俳句の横山林二[8]や、一時的に回復した赤城さかえ、しばらく後に谷山花猿[9]が加わる。
1955年、古沢太穂が栗林一石路の後任として[10]新俳句人連盟の委員長(のち会長︶に就任すると、道標と連盟との関係はより深いものとなる[11]。月刊﹃俳句人﹄の編集長は赤城さかえ、岩間清志、板垣好樹、橋本夢道、敷地あきら、谷山花猿と、橋本夢道を除けばすべて道標の同人が起用された。また太穂が顧問に退いた後も石塚真樹、谷山花猿、敷地あきらと会長職を独占した[7]。
当初は他結社との交流も盛んで、1956年から﹁氷海﹂の秋元不死男と﹁横浜俳話会﹂を、佐藤雀仙人の﹁雑草﹂や金子兜太の﹁海程﹂、佐藤鬼房の﹁小熊座﹂、見學玄の﹁五季﹂等と、連盟を通して社会性俳句運動を共にしている[12]。
1967年、赤城さかえ死去。1972年、﹃沙羅﹄と合併[13]。新﹁道標﹂体制となる[13]。
鷗座
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2000年、古沢太穂死去。その翌年の2001年、﹁道標﹂の﹁鷗俳句会﹂を運営していた松田ひろむと岡崎万寿、乗本眞澄ら道標同人の一部が離脱、松田を代表に﹁平明清新・抒情・生活感覚﹂をかかげ﹁鷗座﹂を創刊する[14]。誌名は鷗俳句会の﹁鷗﹂に俳諧の﹁座﹂[14]を合わせた造語。﹃道標﹄、﹃鷗座﹄ともに太穂の師系を名乗り、師系の分裂は2017年まで続いたが、印刷所の閉鎖に伴い﹁道標﹂終刊[11]。古沢太穂の師系は16年の時を経て再び一本化された。
2017年、ホテルメトロポリタンで創刊15周年記念祝賀会を開催。日本伝統俳句協会副会長の大久保白村や全国俳誌協会会長、現代俳句協会理事の秋尾敏、世界俳句協会の夏石番矢、俳人協会の岩淵喜代子らが出席した[15]。
代表は現代俳句協会参与、第9回新俳句人連盟賞、第28回現代俳句評論賞受賞の松田ひろむ[16]、編集長は第51回現代俳句全国大会賞[17]受賞の石口榮。副編集長は東京都区現代俳句協会の小髙沙羅・古川塔子、主要同人に日野百草、東京都区創立30周年俳句賞受賞の小平湖、旧華族久我家当主の久我誠通︵女優、久我美子の実兄︶らがいる[18]。この他に顧問同人に、長谷川ヱミ・宮沢子・柳瀬亜湖・古川塔子。終身会員に倉本岬︵前編集長︶がいる。同人会長は初代山中蛍火・倉本岬・柳瀬亜湖につづいて小髙沙羅が務めている。歴代の編集長は︵初代︶倉本岬・︵二代目︶姉崎蕗子・︵現︶石口栄である。
結社の賞として同人賞、鷗座賞、新風賞︵新人賞︶。公募の賞として新樹賞を設けている。
参考文献
[編集]出典
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(一)^ ﹃古沢太穂全集﹄953頁。
(二)^ ﹃古沢太穂全集﹄954頁。
(三)^ ﹃資料収集・整理事業﹄﹁古沢太穂資料﹂神奈川近代文学館、151頁。
(四)^ ab﹃赤城さかえ全集﹄1037頁。
(五)^ ﹃俳句人﹄1948年2月号、27頁。
(六)^ ab﹃古沢太穂全集﹄955頁。
(七)^ ab﹃新俳句人連盟70年 歴史と作品﹄年表、2016年。
(八)^ 古沢太穂﹁横山林二さんをおくる﹂﹃赤旗﹄、1973年3月6日版。
(九)^ ﹃俳句人﹄1979年2月号﹁特集・第七回新俳句人連盟賞﹂。
(十)^ ﹁新俳句人連盟一九五五年度役員一覧﹂﹃俳句人﹄1955年11月号、24頁。
(11)^ ab﹃俳句人﹄2017年5月号、後記。
(12)^ ﹃古沢太穂全集﹄年譜。
(13)^ ab﹃古沢太穂全集﹄958頁。
(14)^ ab創刊のことば
(15)^ ﹃俳句展望﹄第176号、31頁。
(16)^ 現代俳句協会
(17)^ 第51回現代俳句全国大会
(18)^ ﹁色即是空﹂﹃鷗座﹄2016年10月号、41頁