CA125
CA125 | |
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医学的診断 | |
MUC16/CA125の構造 | |
目的 | 卵巣癌、子宮体癌、などの腫瘍マーカーとして、診断の補助、治療効果判定、経過観察に用いられる。 |
CA125(糖鎖抗原125、英: carbohydrate antigen 125)は、主に卵巣癌と子宮体癌(子宮内膜癌)に用いられる腫瘍マーカーである。
概要
[編集]CA125は、ヒト卵巣漿液性嚢胞腺癌の培養細胞を免疫原とするモノクローナル抗体OC (Ovarian Cancer) 125で測定される抗原であり、ムチン(高分子性糖タンパク)のMUC16(Mucin-16)のコア蛋白部分と考えられている[※ 1]。CA125は、健常人の漿膜、卵管、子宮内膜を含む多数の臓器に分布している[1]。
臨床的意義
[編集]基準値と生理的変動
[編集]悪性疾患におけるCA125高値の意義
[編集]- 婦人科癌
CA125は卵巣癌の約80%で陽性となる。特に、漿液性腺癌や類内膜腺癌で陽性率が高い[5]。また、子宮内膜癌・その他の婦人科癌(原発性腹膜癌も含む)でも高頻度に陽性となる。CA125は、婦人科癌の診断の補助、および、治療の効果判定や治療後の経過観察に有用であり、婦人科領域で最も頻用される腫瘍マーカーであるが、癌の早期発見(健常人のスクリーニング)には感度・特異性が不十分であり、使用できない。
CA125陽性率[6] | StageⅠ | StageⅡ | StageⅢ | StageⅣ | 良性腫瘍 |
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卵巣癌 | 22% | 71% | 78% | 100% | 14% |
- 婦人科系以外の癌
消化器癌、および、次項の胸膜・腹膜に浸潤した進行癌では上昇が見られるが、腫瘍マーカーとしては頻用されない。
- 癌の胸膜・腹膜浸潤
悪性腫瘍におけるCA125高値は、原発臓器を問わず、癌が胸膜または腹膜に浸潤している可能性を示唆する。 胃癌・腸癌・膵癌などCA125非産生性の癌(肺癌は産生例あり)においてCA125が上昇している場合、胸膜・腹膜・心嚢などの漿膜にがん細胞が浸潤・播種している可能性を考える必要がある
良性疾患におけるCA125高値の意義
[編集]- 良性婦人科疾患[3]
良性卵巣腫瘍、子宮内膜症の半分以上で陽性になる。 子宮内膜症においては、モニタリングマーカーとしても使用される。 また、卵巣過剰刺激症候群で上昇する。
- 胸膜・腹膜の刺激[3]
胸膜や腹膜への各種の侵襲により非特異的に上昇する。
- 胸膜や腹膜に及ぶ手術(試験開腹、腹腔鏡、なども含む)
- 胸膜や腹膜の炎症
- 肝硬変、心不全などの浮腫性疾患による胸水や腹水の貯留
CA125低値の意義
[編集]通常、CA125低値は臨床的に問題にならないが、腹膜透析患者においては、腹膜劣化のマーカー(低値は腹膜機能の低下を示唆)として使用されることがある[7]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ CA125以外の卵巣癌マーカー、CA130(試薬販売中止)、および、CA602も、CA125と同じムチン様糖蛋白分子のコア蛋白上のエピトープを認識しており、意義はCA125と同様である。同時に測る意味はない。
- ^ 閉経前女性であるにもかかわらずCA125が測定感度以下の場合は、抗CA125自己抗体の存在による偽低値が疑われる。
- ^ CA125値は、ABO血液型に影響され、O型で低値である。