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HDCD

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

HDCD (High Definition Compatible Digital)20  24bit16bit16bit16bit20  24bit

特徴

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A/D HDCDCDHDCDHDCDHDCDHDCD16bitHDCD調

HDCDPeakExtensionLowLevelExtend

HDCD1986  1991HDCDModel1HDCDPMD100HDCDCDRR-S3CD19941996

基本機能

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A/D420bit16bitA/DHDCDA/DHDCDHDCDΣA/DHDCDA/D使

  LPFA/DLPFbitΣ調A/D420bitA/DA/DLPFΣA/D使  

24  20bitCD16bitS/N HDCD16kHz16kHz 16bitCD A/D 16kHzCDD/AA/D20bit24bit16bit16bitCD4HDCD20bit16bit4bit

HDCDHDCDCD HDCD16bit1bit20bit24bit20bit16bit20bit16bit16bit1bit16bit20bit24bitPCM16bit16bitHDCD16bit16bitSBMPONSSBMPONSHDCD16kHz

オプション機能

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HDCD



0 dB+ 9dBCDHDCDHDCDCDHDCDCDCDHDCDCD



HDCD

エンコーダーの基本構成

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HDCDA/DHDCDD/A3

A/Dbit20bitHDCD24bitA/D使HDCD44.1kHzModel188.2kHz96kHzModel22

過去行われてきた急峻なLPFが必要とされる低速標本化A/D変換回路の改善方法

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キース・ジョンソンはリファレンス・レコーディングス社を経営し、ソニー製PCMエンコーダーユニットを用いて数々のクラシック音楽のレコーディングを手掛けていた。このPCMエンコーダーは二重積分型A/D変換回路を採用していたので、折り返しノイズ防止用アンチエイリアス・アナログフィルターは急峻な減衰特性だった。このため次数が大きいLPFが常時挿入されるので位相が回転してしまうという欠点があった。

しかしジョンソンは、「音楽ホールで演奏されるクラシック音楽の場合には高い周波数成分はそれ程無い」と考えたので、Apogee社製244GというLPFに換装して改造して使用していた。244Sという、本来A/D変換器に用いる急峻な特性のLPFもあったが、位相回転を嫌い、あえて244Gを用いていた。(Gはジェントル、Sはシャープの略)

HDCDプロセス

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A/D変換

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まず、アナログ信号は、4倍オーバーサンプリング・マルチビット逐次比較型A/D変換回路で20bit176.4kHzでデジタル符号化される。 その後標本化周波数は1/2の88.2kHzに間引かれた後で1/4の44.1kHzにデシメーションされる。デシメーション回路ICは20bitだが、インターフェースは24bitに対応している。

現在主流の⊿∑変調器を用いた高速標本化低bitA/D変換回路に比較するとノイズフロアが平坦なので、どのようなパワースペクトル密度を有する楽曲でも“キャラクター”が付くことなく自然な音質で収録できるという利点がある。しかし、4倍という低速な標本化周波数であるためにLPFは急峻な減衰特性を要求されるという弱点があるが、この課題に関してHDCDはLPF次数を可変させる回路で対処した。常時入力信号の高域特性を監視し、高域信号が弱い場合にはLPF次数を短くし、減衰特性は比較的緩やかな特性とする。パルシブな信号が入力された時は急峻なLPFが挿入される。コンサートホールで収録するクラシック音楽などでは、元々のアナログ信号の高域エネルギーは小さいので、常時急峻なフィルターを挿入する必要は無いと考えた訳である。

HDCDエンコード

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CDHDCDA/D20bit16bitHDCD16kHzA/D16kHz

+9 dBHDCDD/AHDCDD/A+9 dBS/N   6 dbHDCD6 dB/1bit使CD4HDCDCD16bit

HDCDHDCD16bit

HDCDCD44.1kHz16bit調

HDCD音源の編集およびマスタリング・HDCD盤のプレス製造

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HDCD音源を編集する場合、調整卓のフェーダーやエフェクト機能を用いるとHDCD音源に埋め込まれたHDCD判別用隠しコードが離散してしまう。このような編集を行った音源をCD盤としてプレスし再生した場合、HDCD判別用インジケーターが点滅したり点灯しなくなったりする。HDCD音源を編集した場合には、再度、そのデータをHDCDエンコーダーに入力し、隠しコマンドを打ち込まなければならない。

HDCDデコーダー内蔵デジタルフィルター

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HDCDデコーダーはD/A変換ユニット内部のオーバーサンプリングデジタルフィルター回路に内蔵されている。 初期のHDCDデコーダー内蔵デジタルフィルターは、パシフィックマイクロソニックス社製PMD-100が供給され、米国マークレビンソン社を始めとする高級CDプレーヤーD/A変換ユニットに搭載されていた。(PMD100の日本での代理店は高千穂交易) また、1999年にバーブラウン社からD/A変換回路も内蔵し、96kHz24bitハイビットハイサンプリングに対応したDAC-ICも発売されたが、このPCM1732は⊿Σ変調回路を用いたD/A変換部を搭載しており、基本クロックの設定によっては通過帯域内のノイズフロアが平坦ではなくなるという使いこなし上の課題を有した。 数年後、モトローラ社製DSP56300をベースにハイビットハイサンプリングに対応したHDCD単体デジタルフィルターPMD200が発売されたが、この時期にモトローラ社の半導体DSP事業はオン・セミコンダクター社へ事業譲渡され、パシフィックマイクロソニックス社のHDCD関連事業もマイクロソフト社へ身売りしてしまったのでPMD200はごく一部のメーカーが採用したに留まった。その後、アナログデバイセス社製SharcDSPにHDCDデコード回路が搭載され、今日に至る。

HDCD盤(コンパクトディスク)およびHDCD音源(wavefile)の再生とデコード

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本来、HDCD対応機器はパシフィックマイクロソニックス社のライセンスを受けて製造されるが、一部メーカーは独自ルートでPMD100を入手し製品に搭載していた。この欧州メーカーの製品ではライセンス上義務づけられていたHDCDロゴ記載やHDCDインジケーターは無く、デジタルインターフェースレシーバーICであるクリスタルセミコンダクターズ社製CS8412の後ろにアナログデバイセズ社製ASRC非同期サンプリングコンバーターであるAD1890を設け、クロックを打ち直していた。AD1890の出力をPMD100に入力していたために、HDCD隠しコマンドを検出することが出来ずにピークエクステンションやローレベルエクステンションなどのHDCD特有の機能が動作しておらず、単なる8倍オーバーサンプリングデジタルフィルターとして機能していた。HDCD判別信号は元の16bit音源の中に隠しコマンドとして記録されているために、fs変換回路を通過した際に隠しコマンドが消失してしまったわけである。 また、当時発売されていたCD-Rレコーダー/プレーヤーの中には、常時fs変換回路が動作していたモデルもあったために、このメーカーのCD-RでHDCD盤をコピーするとHDCD判別信号が消滅してしまうということもあった。 この点では最近普及しているパソコンへのリッピング再生に於いても同様な問題がある。HDCDエンコードされたCDの44.1kHz16bit符号をリッピングし、そのデジタル音楽信号をパソコンのサウンドカード上のデジタル端子から出力し、外部D/A変換ユニットで再生する場合、パソコンがバイナリー一致でなければHDCD判別信号は消失する。

その他

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HDCDHDCDCD

HDCDHDCDCD HDCD0 dBCDHDCDCD調 HDCDCD-6 dB

HDCDD/A2 便CD-6 dBHDCDD/A-6 dB HDCDICPMD100PMD200DSPHDCDNo.30.5L HDCDICHDCD/CDHDCDIC-1 dB CD CDJASCDJAS CD-1NPCSM5842D/APMIPMD100 HDCDIC-1 dBCDD/A

MODEL1MODEL2HDCDHDCDHDCD A/DHDCD HDCDHDCD

HDCDHDCD

Windows PCでのHDCDデコード

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HDCD CDMicrosoft Windows XP9 Windows Media Player DACHDCDD/AHDCD2010HDCD

Windows Media PlayerHDCD16bitWAVE24bit24bit24bit16bitD/A

Windows Media PlayerHDCD

2010Windows PCHDCDfoobar2000HDCDWaveFLACWavPackHDCDHDCDHDCD
  • もともとWindowsでは、hdcd.exeというソフトウェアHDCDデコーダ(CUIアプリケーション)が存在し、リッピングされたWaveファイルにHDCDコードが埋め込まれているかの判定や、HDCDデコードを施した24bit Waveファイルの出力を行うことができる。前述のfoobar2000のコンポーネントもhdcd.exeの実装を流用している。

他の24bit→16bit丸め技術の近況

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HDCD は24bitを16bitに丸める際に高域集中ディザを用いていたが、Apogee社のUV22もほぼ同様の高域集中ディザによって量子化語長を丸めている。

関連項目

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外部リンク

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