女王様のご生還 VOL.278 中村うさぎ
前回、「ハイブリストフィリア(犯罪性愛者)」は女性の中にある「ワル好き」という性的嗜好の延長線上にあるのではないか、という仮説を述べた。確かに、少女漫画において「不良に恋するヒロイン」という設定は珍しくない。いや、珍しくないどころか、むしろ王道である。その一方、少年漫画で「悪女に恋する主人公」というのは、さほど多くはない。峰不二子に恋するルパン三世くらいのもんか。まぁ、その場合、主人公はたい...
続きを読む...
女王様のご生還 VOL.277 中村うさぎ
女王様のご生還 VOL.276 中村うさぎ
三島由紀夫は自伝的小説「仮面の告白」の中で、初めての射精のオカズが「聖セバスチャンの殉教」を描いた宗教画であったと書いている。上半身裸で木に縛りつけられ矢に貫かれた美青年の苦悶の姿が、幼い彼の同性愛的嗜好とマゾヒズム的嗜好を強烈に刺激したらしい。このエピソードで思い起こすのは、私が小学生の頃に衝撃を受けた「聖テレジアの法悦」という彫像だ。天使の槍で貫かれ身をよじらせて恍惚の表情を浮かべる聖女...
続きを読む...
女王様のご生還 VOL.275 中村うさぎ
一昨年の夏に知人が死んでいた事を今さらながら知った。石田千尋という名前の陰陽師だ。「ちひろちゃん」と呼んでいた。ちひろちゃんは非常にインパクトのある人物だったので、交流があったのはもう30年くらい前だけれども、今でもその姿をありありと鮮明に思い出せる。真夏でもスリーピースのスーツに身を包み、ステッキを持ち歩いていた。初めて会った時「マジシャンですか?」と訊いてしまったほど、そのいでたちは異彩...
続きを読む...
女王様のご生還 VOL.274 中村うさぎ
相手を論破しようとしたり説得しようとしたりする時に、いわゆる「偉人の名言」みたいなのを持ち出す人っているよね。たとえば、こんな感じだ。「私の人生なんてどうせ負け戦ですからねぇ、ははは」「うさぎさん、サルトルはこう言ってますよ。『負け戦とは、自分が負けてしまったと思う戦いの事である』と」「はぁ……」そうですか。サルトルはそう言いましたか……んで?だから何っ!?サルトルがそう言ったからって、私も...
続きを読む...
女王様のご生還 VOL.273 中村うさぎ
女王様のご生還 VOL.272 中村うさぎ
自分の事を名前呼びする女子がいる。身の回りには見当たらないが、ネットゲームでは「名前呼びする女子」が圧倒的に多くて、これはいったい何故なんだろうといつも不思議に感じていた。ちなみに名前呼び男子はネトゲ上にもほとんどいない。どうして、女子だけ?そして何故、ネットだけ?ネトゲで自分を名前呼びする女子も、たぶんリアルではそれをやってないと思う。というのもネトゲの名前呼び女子は若い子とは限らず、「今...
続きを読む...