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夏のブラバン甲子園、ベスト3発表!
済美の応援団には美しい奇跡も……。
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![梅津有希子](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/0/b/90/img_0b49dc8d3a672604e4d9da3188a0c3b513376.jpg)
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2017/08/25 07:00
![夏のブラバン甲子園、ベスト3発表!済美の応援団には美しい奇跡も……。<Number Web> photograph by Yukiko Umetsu](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/8/350/img_6889bd8373463bcc541456c0e5ea17e0195669.jpg)
名応援曲『ワッショイ!』でアルプスがひとつになった、天理高校吹奏楽部。
64歳のOBでも参加できる、天理の伝統的なスタイル。
吹奏楽部にとって、大切な大会である吹奏楽コンクールと日程がかぶることの多いこの時期、応援をOBに頼ることも多いことから、﹁いつでもすぐに吹いてもらえるように、あえて新曲を入れない﹂と、同校吹奏楽部指揮者の吉田秀高氏はいう。
準決勝にも多数のOBが駆けつけていたが、今回の最年長OBである64歳の松谷一弘氏も、﹁私が高校生の頃からずっと同じ曲なので、いつでも応援に参加できる。親子2代でトランペットを吹いているが、天理の吹奏楽部で過ごせたのは一生の宝物﹂と目を細める。
基本的に3曲しか演奏しないにもかかわらず、何度繰り返されてもまったく飽きることがなく、﹁応援曲は、多ければいいというものではない﹂ということを、再認識させられた。
自分たちのスタイルを決して崩さない伝統応援は、凛として美しく、学校の誇りすら感じた。
青森の郷土色が色濃く反映した応援歌。
2位 青森山田 回の頭は、オリジナル曲の﹃OSE-OSE-YAMADA﹄から始まる。疾走感あふれるファンファーレに、野球部のコールを組み合わせたもので、﹁押せ押せ山田! 押せ押せ山田! ファイト!︵ファイト︶ ファイト!︵ファイト︶ 押せ押せ山田!﹂という勢いのあるコールが響き渡る。
アルプスが一体となるこのかけ声に続いて演奏する﹃ねぶた節﹄は、橋幸夫のCD﹃北回帰線﹄︵2002年︶のカップリング曲で、木村隆文・元理事長が橋と友人だったことから応援に取り入れたという。﹁ラッセーラー! ラッセーラー!﹂というねぶた祭でおなじみのかけ声が、野球応援にも見事にハマり、今大会でダントツの郷土色が出ていて素晴らしかった。
同校は早稲田大学の応援曲﹃大進撃﹄も使用するが、途中に何度も﹁山田﹂コールが入るのが特徴。
元吹奏楽部で、大の野球応援好きのNHK大阪アナウンサー・山田朋生氏も、最初の赴任地である青森で同校の﹃大進撃﹄を聴いて感銘を受けたひとりだ。﹁何度も山田山田と連呼されるため、いつも自分が励まされている気持ちになった。久々に甲子園で聴けて感激しました﹂と、感慨深そうに話していた。
︻次ページ︼ 作曲者が、まさかの“吹奏楽ポップスの父”だった!