与謝野晶子詩歌集

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その友はもだえのはてに歌を見ぬわれを召す神きぬ薄黒き 
 
そのなさけかけますな君罪の子が狂ひのはてを見むと云ひたまへ 
 
 
 
 
 
 
 
  賀頌 
 
よろこびありて、 
東の空、 
見よ、この日の、 
かがやく、 
いみじき光を。 
 
めでたきかなや、 
日嗣ひつぎ皇子みこ、 
世の星なる、 
麗はし、 
良き姫めとらす。 
 
雄雄しくいます、 
日嗣の皇子、 
げに、人皆、 
とこしへ、 
たのまん御柱みはしら、 
 
ならびています、 
天つ少女をとめ、 
そのみなさけ、 
優しく、 
みけしき気高し。 
 
長五百秋ながいほあきに、 
咲きつぐ花、 
此の白菊、 
いざ、いざ、 
かざして祝はん。